株式会社かんぽ生命保険のコンプライアンス統括部に所属する、磯貝 憲司。磯貝は、現在2児の父。これまで育児休業を2度取得し、家庭と仕事のバランスを取ってきました。男性育児休業取得率80%(2020年度)を超えた高い水準を持つ会社のリアルな環境に迫ります。
コンプライアンス統括部で、業務の品質向上に取り組む
磯貝 憲司が株式会社かんぽ生命保険(以下、かんぽ生命)に入社したのは2008年のこと。初期配属として代理店営業を担当し、その後、2012年にコンプライアンス統括部に異動。以降、コンプライアンスにかかる業務を軸として経験を積み重ねています。磯貝 「現在の主な業務は、お客さまのご契約等について、お客さまのご照会やお申し出に応じて、必要な確認等を行い、また、関係各部に必要な事項を連携し、コンプライアンス違反の未然防止に生かしてもらうことです。
今の部署に異動したのは、2020年の4月で、異動後間もなくして育児休業を取得しました。実は異動の直前に、第一子である長女が産まれていたためです。育児休業は、2020年の4月から9月まで、半年間取得しました」
予想を超えた育児の大変さ。戦いの日々
子どもが産まれたら育児休業の制度を使って一緒に過ごしてあげたい――。磯貝は以前から、そう思っていたといいます。磯貝 「結婚してから妻の妊娠まで数年期間があったのですが、その頃は『子どもができたら自分も育児休業を取れたらいいなあ......』とぼんやり思う程度でした。でも妻の妊娠をきっかけに、より具体的に取得について、意識するようになりました。男女問わず、必要に応じて育児休業を活用することは、かんぽ生命では当たり前になりつつあります。2021年10月からは、子どもの出産を予定している社員に対して、育児休業取得の意向確認、勧奨を行うとともに、男性社員に対しては「パパ育休ガイドブック」を活用することで育児参画の働きかけをしています。
妻の最初の妊娠前は、育児についての知識は不足していました。しかし、実際に何をしなければならないのかを調べていくと、様々な手続が必要なことや、乳児の1日のタイムスケジュール等、勉強すればするほど、育児の大変さを実感するようになりました。そのため、自然と育児休業の取得が必要だと思うようになりました。
社内で育児休業を既に取得している男性がいたことも、決断を後押ししてくれました」
また、企業として、プラチナくるみんマーク(子育てサポート企業として厚生労働省から「くるみん認定」を受けた企業のうち、より高い水準の取り組みを行った企業に認定されることで与えられる) も取得しています。
会社として育児休業を取得しやすい環境が整っているため、磯貝が育児休業を取得した後も、多くの男性社員が育児休業を取得しています。
さらには、働きながら育児や介護を担う社員を支援するために、復帰後の自己キャリア形成の支援を目的としたeラーニングや、オンラインセミナーを受講することができ、2020年度からはテレワークを導入することで、社員の柔軟な働き方の環境整備に取り組んでいます。
磯貝 「育休を取っていた時期は、毎日が戦いのようでした。ご飯を用意して、食べさせて、散歩等で外気に触れさせ、お風呂に入れて、寝かしつけて......。当たり前ですが、子どもは自分達の思うように動いてくれるわけではないです。慌ただしく時間が過ぎていって、夜中も何度も起こされる。僕らの体力も限界。そんな日々でしたね。かんぽ生命では、職場への復帰をスムーズにするため、育児中の社員に向けて夫婦参加型のセミナーを実施しており、その中で、復職で必須となる保育園についても企業主導型保育施設との連携等によってサポートしています。
ただ、仕事のことも気にかかっていました。復職に向けて、保育園を探すなかで、一歳児を地元の保育園に入園させることは、定員の関係で難しいことが分かっていたため、入園できなかった場合どうするか困っていた時、以前会社で開催された『育児休業を考える社員向けのセミナー』に参加した際のことを思い出しました。
そのセミナー内で保育園を紹介するパートがあり、勤務していた大手町のビルの中に、日本郵政グループの社員が利用できる保育園があることを知りました。また、『この保育園には社員枠があるから、安心してもらって大丈夫』という話も聞くことができました。そこで、この大手町のビルにある保育園への入園についても、並行して会社に相談をすることにしました」
結局、地域の保育園への入園は叶いませんでしたが、磯貝は、紹介された大手町のビル内の保育園に長女を入園させることができました。
磯貝 「実は、妻も同じくかんぽ生命の社員で、勤務しているオフィスビルも同じだったため、一時期は妻と娘と一緒に大手町まで行くという日々がありました。
復職後は、仕事の状況に応じて二人で協力し、私が朝の送りを担当して、妻が迎えを担当して......といった具合に、夫婦で送り迎えを分担するという形を取りました。夫婦で分担したことで、効率的に育児に取り組めた部分はありましたね」
チームの支えが人を育てる
磯貝が育児休業の取得を検討し始めたときは、職場は大変忙しい状況でした。そこで、磯貝はまず直属の上司に相談しました。上司から返ってきた言葉は、磯貝にとって身にしみて、ありがたい言葉でした。磯貝 「育児休業を取得したいという旨を上司に伝えた際、取得に対して否定的なことは何も言われず、むしろ、『取ったらいいよ』と快諾してもらえたので、取得にあたって心理的に障壁を感じるようなことは全くありませんでした。本当にありがたいことだと、今思い返してみてもわかります」育児休業を取得後、長女と一緒に過ごす日々。幸せな日々とそのような日々の実現に協力してくれた同僚や上司への感謝を胸に育児休業から復帰しました。
しばらくして、磯貝家にさらに嬉しいニュースが飛び込みます。妻のお腹の中に、第二子がいることがわかったのです。
長女の育児で、育児の難しさ、大変さを痛感していた磯貝は、2度目の育児休業取得を考えます。半年の育児休業から復帰したその翌年の2021年の7月末に第二子である次女が誕生したのをきっかけに、再び育児休業を取得したのです。
磯貝 「このときは、長女のときと違って、2カ月間の取得になりました。保育園との兼ね合いで2カ月という期間になりましたが、それでも育児についてしっかり取り組める時間が持てたと思います。小さい子どものいる今だからこそ、家庭を大切にしたい。そのためにも、仕事に邁進しつつも、効率的な仕事の進め方とそのためのスケジュール管理等、早く家庭に帰るための工夫も前にもまして身につけていったという磯貝。
一方で、私が育休を取った時期は、職場も特に繁忙な時期で、かつ2度目の育休取得ということもあり、申し訳なさを感じていました。どうしても、職場のマンパワーは減ることになってしまうので。
とにかくみんなが忙しくて猫の手も借りたい状況だったと思います。そんな中でも快く送り出してくれた職場の皆さんのサポートに、心の底から感謝しています」
磯貝 「小さな子どものいる家庭という、仕事とは違う意味で大切な場所があるからこそ、日々の効率化を図るモチベーションにも繋がったと思います。育児休業を取得することで、仕事人として磨かれた部分もあると考えています。磨いた力を活かして、チームに貢献し、恩返ししていくつもりです」育児休業に快く協力してくれた職場のチーム一体になった支えが、効率性と利他の姿勢を兼ね備える仕事人を育てます。
自身の経験を活かし、次世代の社員を育て、企業の持続可能性につなげる
磯貝は、仕事に復帰後、『家庭を大切にすること』の本当の意味を知りました。育児休業を経験したことで、育児の大変さを身をもって知ったからです。磯貝 「2人で育休を取っていても毎日が戦いだったので、今、妻がそれを1人でやっていると思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいで......。子どもが産まれる前は、業務が終わるまで残業していましたが、今はなるべく早く業務を終わらせられるよう、『効率的に取り組む』いうことを考えています。周囲の支えのありがたさを痛感する日々。だからこそ磯貝は、自分と同じような立場の社員がいたら、こう伝えたいと思っています。
職場の皆さんには、業務分担の見直し等さまざまなご配慮をいただいています。本当に感謝でいっぱいです」
磯貝 「私自身、こうして快く育児休業を取らせてもらったので、もし後輩や部下から『育児休業を取得したい』と相談を受けることがあれば、『仕事のことは気にし過ぎずに取得しなさい』と快く送り出してあげたいと思います。社会で活躍する女性が増えている中で、男性の育児や家庭への関与が重要と言われはじめて久しい中、かんぽ生命には、子どもがいる社員が女性であっても男性であっても働きやすい環境が整っています。
もちろん、リカバリーのために、職場全体がさらに効率的に業務を進める必要も出てきます。でも、私の場合もそうでしたが、育児の大変さと向き合うことで、仕事にも活かせる面も出てくるんじゃないかと思っています」
企業の宝である社員の一人ひとりが生き生きと活躍できる環境を確立することは、企業の持続可能性を維持・向上させていく上で最優先事項の一つです。かんぽ生命はこの最優先事項の実現のため、働き方改革に継続的に取り組みつつ、ダイバーシティを推進しています。
職場や育児に協力的な同僚や上司に感謝し、感謝を形にして返すため、育児スキルだけでなく仕事人としても研鑽を積む毎日。担当している業務の特性上、データや文章表現において、厳密な正確さを要求されるなか、臨機応変な対応や、チーム全体の動きを考慮した適切なスケジュール管理等も行っています。
中には育児と業務双方に通じるスキルもたくさんあります。新たに得たスキルで職場に貢献し、企業の持続可能性にもつなげていく。子育てを経て、家庭人としても、仕事人としても成長していく。
――そんな若き父親の姿が、ここにはありました。
※ 記載内容は2022年1月時点のものです






