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取締役兼代表執行役社長 千田 哲也

取締役兼代表執行役社長
千田 哲也

信頼回復は私に課せられた使命

 はじめに、新型コロナウイルス感染症の影響を受けられた皆さまに心よりお見舞い申し上げますとともに、医療の最前線で今なお治療や感染予防にあたっておられる皆さま、生活インフラを支えておられる皆さまに深く感謝申し上げます。
 かんぽ生命の前身である簡易生命保険事業は、1916年に「簡易な手続きで、国民の基礎的生活手段を保障する」という社会的使命を持って誕生し、民間企業となった現在でも、その社会的使命を堅持し、「いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を、守り続けたい。」という経営理念の実現を目指しております。このコロナ禍のもとにおいては、各種保険金の支払いに加えて、保険料の払込猶予期間の延伸や貸付利率減免の非常取扱いなどを行ってきましたが、引き続き、生命保険会社としての社会的使命をしっかり果たしてまいります。

 私は、2020年1月6日に代表執行役社長に就任して以来、お客さまの信頼を回復することが自らに課せられた使命と考え、全力を尽くしてまいりました。
あらためて、当社の募集品質に係る諸問題について、多くの皆さまにご迷惑、ご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。これまでに、すべてのお客さまを対象にご契約調査を行ってまいりましたが、お客さまのご都合によるものを除き、ご契約調査は完了いたしました。また、お客さまへの募集の過程における法令違反などに係る関係者の処分も進めてまいりました。引き続き、ご契約内容を確認する活動を続け、お客さまに不利益が生じている場合はその回復を行ってまいります。
 あわせて、二度とこうした事態を招かないため、経営トップである私自らが先頭に立って、お客さま本位の業務運営を徹底するとともに、社員一人ひとりがお客さまのお役に立てるよう自律的・主体的に行動する会社を実現するための企業風土改革にも取り組んでいるところでございます。

ゼロからの発想と原点回帰に基づく中期経営計画

 当社はいま、創業以来の厳しい事業環境に直面していると考えております。昨今の新型コロナウイルス感染症の世界的な流行をきっかけに、従来の価値観が急速に変化し、生命保険業を含むあらゆる業態において、過去の成功体験やビジネスモデルが通用しない時代に突入しております。そのような環境のなかで、当社がどのように生まれ変わるべきかについて、これまでのビジネスモデルの延長線上で考えるのではなく、ゼロから発想することによって、新しい中期経営計画(2021年度~2025年度)を策定いたしました。
 今回の中期経営計画は、会社の原点である経営理念「いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を、守り続けたい。」に立ち返り、「お客さまから信頼され、選ばれ続けることで、お客さまの人生を保険の力でお守りする」ことこそが私たちの社会的使命であることを明確に示しております。また、この計画の基本方針として、信頼回復に向けた取り組みの継続や事業基盤の強化によりお客さまから真に信頼される企業へと「再生」すること、お客さま体験価値(CX(注1))の向上や社会課題の解決への貢献を通じて「持続的成長」を目指すこと、さらにこれらを実現するための土台として企業風土・働き方の改革およびガバナンスの強化・資本政策を掲げました。

(注1)Customer Experience(カスタマーエクスペリエンス)の略。商品やサービスの価格や性能といった機能的な価値だけではなく、保険加入前から加入後のアフターフォロー、保険金支払までのプロセスすべてを通じてもたらされる満足感などの感情的・心理的な価値も含めた、お客さまが体験されるすべての価値。

お客さまから真に信頼される企業への再生

 当社は2019年7月以降、お客さまへの信頼回復に向けた対応に最優先で取り組み、積極的なご提案を控えてまいりましたが、2021年4月からお客さまへのご提案活動を再開しました。生命保険会社としての本来あるべき姿である、質をともなった営業活動を実践できる状況に「再生」していくため、旧来の営業活動を抜本的に転換し、お客さまがご納得・ご満足いただいたうえで保険サービスをご利用いただく活動を徹底してまいります。

新しいかんぽ営業体制により全国のお客さまを支える

 「再生」のためには、信頼回復に向けた取り組みを継続することに加えて、事業基盤の強化が必要となります。
 今後さらに多様化するお客さまの保障ニーズに対応するためには、きめ細かく丁寧なアフターフォローとともに、お客さまのライフプランやご家族の生活に寄り添うことが不可欠です。このため、日本郵便からコンサルタント(主にお客さまのお宅などを訪問して活動する社員)など約13,000人をかんぽ生命に受け入れ、新しいかんぽ営業体制を構築いたします。
 新しい営業体制においては、コンサルタントと郵便局窓口の役割を明確にします。すなわち、コンサルタントは高い専門性と機動力を活かした生命保険のプロフェッショナルとして、生命保険のご提案およびアフターフォローに専念いたします。また、お客さま担当制を導入することによって、質の高い細やかなアフターフォローをご提供いたします。一方、郵便局窓口では、幅広い金融商品をご提案することで、多様なお客さまニーズにお応えしてまいります。さらに、これらのコンサルタントと郵便局窓口の連携によって、日本郵政グループ一体で専門性と幅広さを兼ね備えた総合的なコンサルティングサービスを実現してまいります。
 この新しいかんぽ営業体制の構築は、会社の将来をかけたプロジェクトであり、「私を含む経営陣が率先して行動し、絶対に成功させて、お客さまに喜んでいただく」という決意のもと、全社一丸となって取り組んでまいります。

「人生100年時代」を支える保険サービスの充実

 新しいかんぽ営業体制の構築に加えて、事業基盤の強化として必要となるのが、お客さまニーズに応える商品開発です。「人生100年時代」を迎え、あらゆる世代のお客さまの保障ニーズにしっかりとお応えする商品開発に取り組まなければなりません。低廉な保険料で手厚い保障に備えたいなどといったお客さまの保障ニーズに的確に応えるため、基本契約に付加する医療特約の保障内容の充実などに取り組んでまいります。また、高齢・中高年層の保障等のニーズに応える商品の拡充、健康寿命延伸に貢献する商品の研究など保険サービスの開発を進めてまいります。
 当社には、保険業法にもとづく一般的な規制に加え、郵政民営化法にもとづく上乗せ規制が課せられていますが、2021年5月に自己株式の取得を実施し、2021年6月には日本郵政による当社株式の議決権比率が49.9%程度となりました。これにより、新規業務に係る上乗せ規制が認可制から事前届出制へと緩和されるため、今後は、お客さまニーズに応える商品開発にスピード感を持って取り組んでまいります。

市場での競争力をつける「持続的成長」

 上記の「再生」とともに、中期経営計画の柱と位置づけられているのが「持続的成長」です。この「持続的成長」の実現に向けて、「お客さま体験価値(CX)の向上」と「社会課題の解決への貢献」に取り組んでまいります。
 「お客さま体験価値(CX)の向上」は、生命保険会社として、当社が生命保険市場でいかに競争力をつけていけるかの重要なポイントであると考えております。保険金の迅速な支払いや各種お手続きの簡素化や多様化など、お客さまの利便性やサービスを向上させることで、「かんぽ生命に入っていてよかった」と心から感じていただき、まわりの方々にも「かんぽ生命のサービスの良さ」をお伝えしお勧めいただくことができれば、新たなお客さまとのつながりを広げていくことができると思います。
 具体的な取り組みとしては、保険の各種お手続きをお客さまと接する場面で概ね完結できるようなビジネスモデルに変革することを考えております。例えば、新規契約のお申し込み時に、営業社員に加えて、お客さま対応を行うカスタマーサービスセンターなどがリモートで同席させていただき、その場でお申し込み内容の確認業務を行わせていただくことによって、お申し込みの手続きを完結させることを目指します。また、ご家族が遠くにお住まいでも、リモートでご同席いただけるようにし、安心をお届けいたします。
 これらに加えて、お客さまデータベースの構築にも力を注いでまいります。一人ひとりのお客さまに関する情報を、コンサルタントや郵便局窓口、カスタマーサービスセンターなどすべてのチャネルで同じように把握し、個人ではなくチームとしてお客さまをサポートできる共通のプラットフォームを早急に実現してまいります。
 なお、「お客さま体験価値(CX)の向上」を検討する際には、お客さまとの直接のコミュニケーションである「リアル」と、WebサービスやICTの活用など「デジタル」を織り交ぜることを重視してまいります。
DX(注2)を通じて、お客さまとの接点を増やし、そこにきめ細やかなあたたかみのあるサポートを加えることで、お客さまの満足度を高めてまいります。日本郵政グループの強みである郵便局という「リアル」なチャネルと、新しいデジタルの力を融合させることによって、お客さま体験価値(CX)、すなわちお客さまの感動体験を広げてまいります。

(注2)Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略。企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

サステナビリティ(持続可能性)をめぐる社会課題の解決への貢献

 「持続的成長」の実現に向けてもうひとつの重要なポイントとなるのが、「サステナビリティ(持続可能性)を巡る社会課題の解決への貢献」です。
 簡易生命保険が100年以上前に生み出された背景には、その当時、一握りの方々を除いて加入が難しかった生命保険を小口化して簡易な取り扱いにすることにより、郵便局という身近なネットワークを通じて基礎的な保障を広めたいという思いがありました。かんぽ生命は、こうした創業時からの「社会課題の解決への貢献」という思いを引き継ぎ、現在の社会課題である「少子高齢化」「健康寿命の延伸」「環境問題」などに主体的に貢献してまいります。
 具体的には、SDGs(持続可能な開発目標)に照らし合わせて、ご高齢の皆さまにやさしいあたたかいサービス、健康寿命の延伸、Well-being(注3)の向上、カーボンニュートラル(注4)に向けた取り組み、ダイバーシティの推進といった重点項目を掲げ、これらに優先的に取り組むことで、さまざまな社会課題の解決を図ってまいります。
 とりわけ健康づくりに関しては、ラジオ体操の普及促進に長年努めてまいりました。今後は例えば、ラジオ体操の健康効果を研究し、そのデータを蓄積し活用する商品を開発することなどにより、ラジオ体操の良さを広めながら保険サービスの価値を高めていきたいと考えております。
 さらに、当社は、約70兆円の運用資産を有するたいへん大きな機関投資家でもあります。生命保険会社は長期の投資が可能であることから、再生可能エネルギー分野や新型コロナウイルス感染症対策への支援、女性活躍の推進など、社会課題を解決するためのESG(環境・社会・ガバナンス)投資を行ってまいりました。今年度からすべての運用資産にESG投資の考え方を適用しており、かんぽ生命らしい「あたたかさ」を感じられる投資を実行することにより、持続可能な社会の実現に向けたリーダーシップを発揮したいと考えております。

(注3)Well-being(ウェル・ビーイング)。肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること。

(注4)カーボンニュートラルとは、「温室効果ガスの排出を全体としてゼロ」にすることであり、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、森林などによる吸収量を差し引いてゼロを達成すること。

持続的な企業価値の向上をめざす

 私は、その時代、その地域に生じる課題と真剣に向き合い、行動していくことこそ、お客さまに信頼され、選ばれ続けることにつながっていくと考えております。今回の中期経営計画の5年間は、かんぽ生命が生まれ変わるために非常に重要な期間です。お客さまや株主の皆さま、社員や地域の皆さまなど、さまざまなステークホルダーの皆さまお一人おひとりの思いやご意見をしっかりと受け止め、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。かんぽ生命の未来に向けた「再生」と「持続的成長」にご期待を寄せていただきますよう、心よりお願い申し上げます。

取締役兼代表執行役社長 千田 哲也