すこやかコラム 第16回

すこやかコラム 第16回
旬の野菜や果物の健康効果と摂取目安

旬の野菜や果物の健康効果と摂取目安

日々の食卓に野菜や果物は並んでいますか?毎日の献立を考えるのは大変ですが、健康を見据えた食事内容を目指すには"旬"を考えた食材選びが大切です。日本人は昔から、季節ごとの食材を取り入れることで体のバランスを整え、健康を保ってきました。その時期に最もおいしい食材を食べることにはどんな意味があるのでしょうか。旬の野菜を食べるメリットと健康効果についてご紹介します。

セクション01

旬の野菜を食べるメリットとは?

旬の野菜を食べるメリットとは?

食べることは、健康の基本。野菜や果物をバランスよく摂るのが大事です。とくに旬の野菜や果物は、野菜にとって一番良い生育条件が整った環境で育てられ、最も成熟している時期のため、本来のおいしさが引き出され、栄養価も高くなります。そういった旬の食材を食べる3つのメリットをまとめました。

旬の野菜を食べるメリット

おいしくて栄養価が高い

栄養成分が豊富でうまみが濃いのが特徴。少ない調味料でもおいしく味わえるので減塩効果が期待できます。同じ野菜でも、旬のものは栄養価が高く、本来の収穫時期に食べることがおすすめです。

体が必要とする栄養を摂取できる

旬の野菜は、その時期に私たちの体が必要とする成分を豊富に含みます。夏には水分やカリウムが豊富な体の熱を冷ます効果が高いもの、冬には体を温める効果が高い根菜類が旬となります。季節に適応した体作りに役立ちます。

安く手に入る

鮮度がよく、価格も安くなるので、毎日の食事にも取り入れやすくなります。

では、旬の野菜は1日にどれくらい食べるのが良いのでしょうか?厚生労働省・農林水産省が作成した「食事バランスガイド」では、1日の野菜目標摂取量は350gと定められています。

しかし「350g」と言われてもピンとこない人もいるでしょう。農林水産省では小皿1皿分の野菜量を70gとし、1日5皿分を摂取目標としています。以下に代表的な野菜の70g分の目安を示しますので、参考にしてください。5種類で1日分の摂取量となります。

野菜70gの目安
キャベツ(中サイズ)約1枚

キャベツ(中サイズ)
約1枚

たまねぎ(中サイズ)約1/4個

たまねぎ(中サイズ)
約1/4個

きぬさや 約2つかみ分

きぬさや
約2つかみ分

ピーマン(小サイズ) 約2個

ピーマン(小サイズ)
約2個

トマト(中サイズ) 約1/2個

トマト(中サイズ)
約1/2個

きゅうり(中サイズ) 約1本<

きゅうり(中サイズ)
約1本

にんじん(中サイズ) 約3cm分

にんじん(中サイズ)
約3cm分

カボチャ(中サイズ) 約1/16個

カボチャ(中サイズ)
約1/16個

だいこん(直径約6cm) 約2cm分

だいこん(直径約6cm)
約2cm分

セクション02

季節ごとの体調と旬の野菜

季節ごとの体調と旬の野菜

旬の野菜は、季節ごとの体調に必要な栄養素が豊富なことはご紹介しました。では、各季節ごとの体調と旬の野菜、その栄養素を確認してみましょう。

春の体調と旬の野菜

この季節の傾向

新陳代謝が活発になり、冬から春の体質へと変化します。気温差が大きくなることや、新しい環境などストレスを受けやすく、体調不良を起こしやすい傾向があります。

旬の野菜(例)

菜の花、アスパラガス

含まれる栄養素

抗酸化作用を持つとされるβ-カロテンが豊富に含まれます。β-カロテンは免疫力がアップする効果があり、ストレスに負けない体づくりができます。

夏の体調と旬の野菜

この季節の傾向

梅雨期は食中毒、猛暑期には食欲不振などを起こしやすくなります。夏バテや多汗などで全身の倦怠感といった症状も見られます。

旬の野菜(例)

トマト、ナス、きゅうり

含まれる栄養素

水分やカリウムを多く含みます。発汗によるカリウム不足は、夏バテを引き起こす一因と言われています。

秋の体調と旬の野菜

この季節の傾向

夏の疲れを引きずり、気温低下などの環境変化から体調を崩しやすい傾向があります。夏に冷たい飲み物などを摂り過ぎると胃腸の働きも弱くなります。

旬の野菜(例)

にんじん、さつまいも、れんこん

含まれる栄養素

夏の疲労回復に役立つビタミン、整腸作用のある食物繊維が豊富です。にんじんに含まれるカロテンは免疫力を高める効果も期待できます。

冬の体調と旬の野菜

この季節の傾向

寒さから体が冷えて血行不良になったり、代謝も鈍くなって風邪を引きやすくなります。あまり汗もかかないため「隠れ脱水」になりがちです。

旬の野菜(例)

大根、白菜、ブロッコリー

含まれる栄養素

カロテン・ビタミンCを豊富に含みます。風邪を引きにくい体作りに役立つほか、冷え性や肩こりをやわらげます。

旬の野菜だから、と1種類をたくさん食べても、健康になれるものではありません。それぞれの食材の栄養素を活かした調理法でバランスよく食べて体の調子を整えましょう。

セクション 03

果物は1日にどれだけ食べればいい?

果物は1日にどれだけ食べればいい?

栄養素が豊富で、美容と健康に良い果物。普段の食生活で不足しがちなビタミンC・E、食物繊維、カリウムを補えるだけでなく、お腹の調子を整えたり、肌の生まれ変わりをサポートしたりするメリットがあります。

また、果物に多く含まれる食物繊維は糖分や脂質の吸収を抑える作用があります。1日の摂取目標量200gを食べても100kcal前後。一般的なスナック菓子を食べるよりもカロリーを抑えられます。

しかし、日本人が食べる果物の摂取量は減少傾向にあります。厚生労働省の調査では、20~40代の約8割は果物摂取量が1日あたり100g未満。10年前の果実摂取量と比較すると50~59歳の落ち込みが目立ち、約3割も減少しています。目標の摂取量200gからはいずれの年代も低くなっています。

世代別果実摂取量
目標摂取量200gとはどのくらい?

果物の目標摂取量は200gと聞いても、どのくらいの量なのか見当もつかない方も多いのでは?果糖の摂り過ぎは血糖値や中性脂肪値の上昇につながるため注意も必要です。以下に代表的な果物の200gの目安とカロリー・栄養素を表にしました。

果物 200gの目安 カロリー(kcal) ビタミンC(mg) 食物繊維(g) カリウム(mg)
いちご 中10粒 68 124 2.8 340
もも 中2個 80 16 2.6 360
すいか 2切れ(大玉1/8カットを8等分) 74 20 1.8 240
なし 中1個 86 6 0.6 280
ぶどう 1房 118 4 1 26
みかん 中2個 90 66 0.8 300
りんご 中1個 122 12 3.8 240
果物の旬と選び方とポイント

果物も野菜同様、なるべく旬のものを食べるのがおすすめです。スーパーなどで手に入りやすい果物の旬の時期とチェックするポイントをご紹介します。

春

いちご
(時期12~4月)

全体的に赤く、ツヤがある。へたがピンとしてツブツブがくっきりしている。

夏

すいか
(時期6~8月)

くっきりした縞模様で、縞模様の境目を触るとデコボコしている。重みがある。

秋

なし
(時期8~9月)

軸が太くて色ムラがなくふっくらしている。皮に張りがあり、重みがある。

冬

みかん
(時期10~1月)

皮が薄くツブツブが小さくきめ細かい。扁平型でへたの切り口が小さい。

旬の野菜と果物は、その時期私たちに起こりやすい体調不良などをカバーするチカラを秘めています。ぜひ、毎日の食卓に取り入れてください。主食、主菜、副菜などで旬の食材をバランスよく摂り、健康的な食生活の基本を身に付けましょう。

豆知識
果物を毎日200g食べる、そのハードルとは?

果物を1日200g食べるどころか、毎日果物を食べている人は少ないようです。「野菜・果物の消費行動に関する調査結果(2016年)」によると、ほぼ毎日果物を摂取している人は約28%だけです。さらに1回あたりの購入金額は500円以下が70%を超えています。

また「果物の消費に関するアンケート調査報告書(2018年)」では、果物を1日200g以上摂取できている人は全体の約16%。その理由として挙げられているものは、「一度にそんなに量を食べられない」「他に食べる食品がある」「値段が高く食費に余裕がない」とうものでした。摂取量もちろんですが、金額的なハードルもあるようです。

それでは実際に家計で果物はどのような割合を占めているのか、総務省統計局データから、1日にかける金額と1人当たりの消費量を都道府県別に確認してみましょう。(2016年~2018年)

1日当たりにかける果物の金額
1日1人当たりの果物の消費量(1世帯4人家族と換算)

このデータを見ると、家庭で果物にかける1日当たりの平均金額は99円、1人当たりの平均消費量は51gとなっています。都会と地方の違いなどで、かける金額や消費量が変わるわけではないようです。

都市別に見ると、福島市が金額で3位、消費量で1位という結果でした。全国的には北日本で消費が多く、九州では消費量が低めという傾向があるようです。 皆さんがお住まいの都道府県はどうですか?

果物によっては金額等の問題などで1日200gの摂取は難しいかもしれませんが、旬で価格が比較的低いものを上手に取り入れたり、複数の果物を食べたり、フルーツジュースや加工品で補うなどして、楽しみつつ健康的に過ごしたいですね。

2020年6月公開

出典:
旬のものが体に良い理由とは?(食育ずかん)
・野菜の1日の摂取目標「350g」とは(九州農政局)
特集 野菜をもっと食べよう!(1)(農林水産省)
菜の花(なばな)・アスパラ菜・紅菜苔:栄養価と効能(旬の食材百科)
β-カロテン当量(栄養成分ナビゲーター/江崎グリコ株式会社)
旬の野菜には旬の効能がある! だから暑さには夏野菜!(熱中症予防声かけプロジェクト)
夏場の血中カリウム値について(広島市医師会)
食欲の秋!栄養満点の旬の秋野菜で夏の疲れをリセットしよう(株式会社フランドル)
食材の旬とは?(福岡県古賀市)
・果実の1日の摂取目標「200g」とは(九州農政局)
果物摂取の現状と食習慣の 改善に向けた課題の整理(農林水産省/千葉県立保健医療大学 林 芙美)
太る?ヘルシー?果物の正しい食べ方・選び方講座(からだカルテ/株式会社タニタヘルスリンク)
・果実の消費動向(農林水産省)
数字で見るくだもの(毎日くだもの200グラム運動)
栄養成分一覧表 果物(果物ナビ)
おいしい果物の選び方(果物ナビ)
野菜や果物を食べる頻度、減少傾向続く(一般社団法人 JC総研)
果物の消費に関するアンケート調査報告書(中央果実協会)
家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(総務省統計局)

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