すこやかコラム 第51回

すこやかコラム 第51回

夏の屋外での暑さ対策と夏場ウォーキングのポイント

まだ暑さが続くこの時期でも、ウォーキングは負荷が少なく、継続しやすい運動です。今回は、暑さに負けず、楽しくウォーキングを続けるためのポイントをご紹介します。

セクション01

ウォーキングは夏バテ対策にも有効?

冷房の効いた室内と暑い屋外の気温差によって自律神経のバランスが乱れると、体温調節機能が低下します。疲れやだるさを感じたり、食欲不振を引き起こしたりするなど、夏バテの症状につながります。
夏バテ対策としておすすめなのがウォーキングです。ウォーキングは、中強度(うっすらと汗ばむ程度の速歩き)程度の運動です。汗をかくことで体内の熱を放出して体温調節を行い、ウォーキングを継続することで、暑さへの耐性を得られます。

夏バテ対策以外の夏のウォーキングのメリット

夏にウォーキングをする主なメリットは、次の4つです。

基礎代謝アップ

気温が高い夏は、体温を維持するためのエネルギー消費量が少なくなり、基礎代謝が低下します。ウォーキングは血行促進や筋力を鍛えるのにも役に立つため、基礎代謝を高める効果が期待でき、また、脂肪燃焼を促し、健康的な体重管理をサポートします。

骨粗しょう症予防

日光にあたることで、体内でビタミンDが合成されます。ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける役割を果たし、骨を強くするために欠かせない栄養素です。また、筋肉を作る際にも必要な栄養素です。

睡眠の質の向上

夏の寝苦しい夜は、熟睡できないこともあります。そんなときには、涼しい時間帯にウォーキングをしてみましょう。ウォーキングは心地よい疲労感を与え、より良い眠りを促します。高温多湿な夏は体温調節がしにくく、深部体温が下がりにくくなりますが、ウォーキングなどで日中の活動量を増やして体温を上げておけば、その反動で夜に体温が下がりやすくなるため快眠につながります。

心身のリフレッシュ

夏の花々と緑の木々を見ながらの屋外ウォーキングは心身のリフレッシュにおすすめです。「ひまわり」や「あさがお」などの美しい花々を眺めながら歩くことで、その鮮やかな色彩に心が和むでしょう。また、緑の木々が放つ爽やかな香りや豊かな緑色も心を癒やしてくれます。自然の美しさに触れながら歩くことで、日々のストレスや疲れを忘れ、心の安らぎを取り戻すことができるでしょう。

夏場のウォーキングおすすめの頻度

夏場のウォーキングは、毎日30分程度を目安に行いましょう。ウォーキングを継続することで、暑さへの耐性が2週間ほどで獲得できるといわれています。
その日の気温や体調も鑑みながら無理のない範囲で行ってください。

セクション02

夏のウォーキングは熱中症のリスクを忘れずに

熱中症は、気温や湿度が高い環境下に長くいることで、体内の水分・塩分(ナトリウム)のバランスが崩れ、体温調節機能がうまく働かなくなる症状です。7月から8月上旬の気温や湿度が高い時期は、特に熱中症の発生リスクが高まるため、注意しましょう。

こんな症状が出たら要注意!主な熱中症の症状 軽度:症状 めまい、たちくらみ。こむら返り、大量の発汗、失神、筋肉痛。手足のしびれ 対処法 涼しい場所に移動し、安静。体を冷やし、水分・塩分を補給。(改善しなければ、医療機関へ) 中度:症状 頭痛、吐き気、体のだるさ(倦怠感)、集中力・判断力の低下 対処法 速やかに医療機関を受診 重度:意識障害、けいれん、運動障害 対処法 救急車を呼び、積極的に体を冷やす こんな症状が出たら要注意!主な熱中症の症状 軽度:症状 めまい、たちくらみ。こむら返り、大量の発汗、失神、筋肉痛。手足のしびれ 対処法 涼しい場所に移動し、安静。体を冷やし、水分・塩分を補給。(改善しなければ、医療機関へ) 中度:症状 頭痛、吐き気、体のだるさ(倦怠感)、集中力・判断力の低下 対処法 速やかに医療機関を受診 重度:意識障害、けいれん、運動障害 対処法 救急車を呼び、積極的に体を冷やす

セクション03

屋外での活動や、ウォーキングする際のポイントや注意点

暑い日の屋外での活動や、ウォーキングするためには、日頃からバランスの良い食事を摂り、十分な睡眠を心がけることが大切です。
活動の際は次の点に気をつけて、暑さや紫外線から身を守りましょう。

POINT1

適切な服装と紫外線対策

夏場のウォーキングでは、通気性の良い服装を選びましょう。吸湿性が高く速乾性のある素材を選び、薄着で体が蒸れないように気をつけることがポイントです。帽子やサングラスを着用することで頭や顔の直射日光を遮り、紫外線対策も行えます。

POINT2

十分な水分補給

夏場は、のどが渇いてなくてもこまめな水分補給を心がけたいものです。ウォーキング中は、こまめに水分補給を行い、スタート前にもコップ一杯程度の水分を補給し脱水症状対策を行いましょう。大量の汗をかいた場合は、塩分の補給も忘れないようにしましょう。

POINT 3

時間帯

直射日光の強い時間帯は熱中症のリスクが高まるため、夏場のウォーキングは早朝や夕方がおすすめです。1日の中で、もっとも紫外線が多くなる時間帯は10~15時頃までの間となるので、この時間帯のウォーキングは、避けるようにしましょう。涼しい朝や夕方であれば、心地よくウォーキングを楽しめるでしょう。

POINT 4

スピード

夏は暑さによる体温上昇が懸念されるため、スピードの調整をしましょう。話しながら歩ける程度のスピードを目指し、少し汗ばむ程度が目安です。

POINT 5

距離

ウォーキングの距離は、自身の体力や目標に合わせて設定しましょう。初めての方や運動不足の方は、まずは短い距離から始めて徐々に伸ばしていくと良いでしょう。無理をせず、継続することが大切ですので、自分に適した距離を見極めてください。

POINT 6

コース

ウォーキングのコースを工夫するのも良いでしょう。ウォーキングをより楽しく続けやすくなります。自然豊かな公園や川沿いのコース、木陰の多い場所など、涼しい場所を選ぶと良いでしょう。歩きやすいように、歩道や公園の整備された道を歩いてみるのもおすすめです。気持ちよく歩けるコースを見つけましょう。

セクション04

熱中症の予防に冷やすと効果的な場所は?

熱中症予防のためには、暑さを感じたら、衣類をゆるめ、体の熱を逃がしやすくしましょう。首筋や脇の下、太ももの付け根など太い血管のある部分に冷えたペットボトルや保冷剤を当てて冷やすこともおすすめです。血液循環が促進され、体温を下げる効果が期待できます。
体の露出した部分に冷水をかけることも効果的です。適度な冷却を心がけながら、体温を適切に調節しましょう。熱中症の症状が持続する場合や悪化する場合は、医療機関を受診することが重要です。

冷たいものを直接肌に当てると凍傷になることがあるため、注意が必要です。保冷剤を使用する際は、直接肌に触れないようにタオルなどで巻いたり、長時間同じ場所に当てたりすることは避けましょう。体の反応をよく観察しながら冷やし、体温が下がりすぎたり、不快さを感じたりする場合は即座に中止してください。

豆知識
歩数は多ければいいわけではない?

健康管理としてウォーキングの歩数や運動量の目安について気になる方は多いのではないでしょうか。以前は「目指すは1日1万歩」と歩数が多いほど健康に効果があるといわれていましたが、歩数を多くしても健康度に大きな差はないという報告があります。東京都健康長寿医療センター研究所の青栁幸利さんは、健康に良い平均的な歩数は1日8,000歩で、その中には中強度の活動として20分以上の速歩きを含めることが重要だと述べています。

まとめ

夏場のウォーキングは、水分補給や適切な服装、時間帯に気をつけながら行うことが大切です。無理な負荷をかけないように注意し、体調に合わせたペースで取り組みましょう。適度に休息を取りながらウォーキングを楽しんでください。

2023年8月公開

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