すこやかコラム 第52回

すこやかコラム 第52回

早歩き・ウォーキング・ランニングの違いって?
早歩きのメリットと効果的な取り組みポイントをご紹介

朝の通勤や急な予定など、時間に遅れないように、私たちは日常生活の中で、自然と早歩きをすることがあります。このように急ぐ必要があると、無意識のうちに早歩きになりますが、実は早歩きを意識して日常生活に取り入れることで、健康に良い影響をもたらすといわれております。今回は、早歩きのメリットや、より効果的に行うポイントをご紹介します。

セクション01

ウォーキング・早歩き・ランニングの違いを解説

ウォーキング・早歩き・ランニングでは、それぞれ速度や体への負荷が異なります。

ウォーキング ウォーキングは、時速4km程度の速度で歩きます。着地時に膝にかかる負荷は体重の1.2~1.5倍程度のため、関節への負担は比較的少なく、けがのリスクが低いとされています。体力に自信がない方や高齢者にも適しています。 ウォーキング ウォーキングは、時速4km程度の速度で歩きます。着地時に膝にかかる負荷は体重の1.2~1.5倍程度のため、関節への負担は比較的少なく、けがのリスクが低いとされています。体力に自信がない方や高齢者にも適しています。

早歩き 早歩きは、ウォーキングよりもやや速いペースで歩き、軽く息が弾んで、ややきついと感じる程度のスピード。目安として、時速5~7km程度を目指します。 早歩き 早歩きは、ウォーキングよりもやや速いペースで歩き、軽く息が弾んで、ややきついと感じる程度のスピード。目安として、時速5~7km程度を目指します。

ランニング ランニングは、片足ずつ地面から離れ、一時的に空中に浮いた状態を繰り返しながら進み、着地時には膝に体重の2〜3倍の負荷がかかります。目安としては時速8km以上、ゆっくりとしたペースの場合は、時速6km程度です。 ランニング ランニングは、片足ずつ地面から離れ、一時的に空中に浮いた状態を繰り返しながら進み、着地時には膝に体重の2〜3倍の負荷がかかります。目安としては時速8km以上、ゆっくりとしたペースの場合は、時速6km程度です。

早歩きと競歩との違いは? 早歩きと競歩との違いは?

早歩きと似たスポーツに「競歩」があります。競歩は、足が地面に着地したまま一定距離を速く歩く競技です。競歩で知っておきたいことは2つ。

  • 走らずに歩かなければならず、常に片足が接地していなければならないこと。
  • 前方の足のかかとが地面に触れてから、脚が地面と垂直になるまで膝を曲げてはならないこと。

競歩選手は常に姿勢に注意し、指定された距離で速さを競うのです。一般的に競歩の速度は時速16km程度ですが、早歩きには決められたルールは特になく、主に健康促進とフィットネス向上を目的とします。

セクション02

早歩きがおすすめの理由

早歩きをおすすめする理由は、ゆっくり行うランニングに近い運動ペースでありながら、体への負担が少ない点です。早歩きとランニングで比較すると、時速7km以上の同一の速度の場合、早歩きの方がエネルギー消費は高くなります。

理由1体への負荷が少ない

早歩きは、ランニングに比べて体への衝撃や負荷が少ない運動です。ランニングでは足が地面から離れるために関節や筋肉に大きな負担がかかりますが、早歩きでは常に片足が地面に触れているため、関節への負担が軽減されます。

理由2ダイエット効果が高まる

時速7kmの早歩きは、ウォーキングと比べて、おおよそご飯1杯分(150g/234kcal)多くカロリーを消費します。さらに、時速7㎞以上の早歩きでは、ゆっくり行うランニングの消費カロリーを上回り、継続して行うことでダイエット効果が高まることが期待されます。

各運動を行った場合の消費カロリー 各運動を行った場合の消費カロリー

※(独)国立健康・栄養研究所”が改訂した「体活動のメッツ(METs)表」を基に体重60kgの人が各運動を1時間行った際のカロリーを算出しています。

理由3筋肉量の維持・向上に

早歩きは、身体の中で大きな筋肉が集まる「下半身」を主に使うため、筋肉量の低下予防におすすめです。また、筋力を高めたい時にも役立ちます。

理由4血行促進

血液を心臓に運ぶポンプのような役目を果たすふくらはぎを強化することで、全身の血行をサポートします。

理由5病気予防に

海外の研究によれば、歩行速度が緩やかな人々を基準にした場合、少し早歩きの人々は約2倍以上の割合で、「身体機能に支障がなく、心理的にも健康な状態を維持できる確率」が高いということがわかっています。この研究結果は、早歩きが病気予防につながる可能性も示しています。

セクション03

早歩きのポイント

早歩きをより効果的にするために、以下のようなポイントを押さえておきましょう。

POINT1 ウォーミングアップを行う POINT1 ウォーミングアップを行う

早歩きを始める前には、必ずストレッチなどウォーミングアップを行いましょう。筋肉や関節をしっかりとほぐすことで、けがや筋肉の痛みを防げます。また、呼吸数や心拍数を徐々に主運動に近づけることで、心臓や肺への負担を軽減し、運動のパフォーマンスを向上させることも可能です。

筋肉と関節をしっかりほぐそう!

POINT2 徐々に加速する POINT2 徐々に加速する

ウォーミングアップを行った後、徐々に速度を上げていくことで、筋肉と心肺機能を効果的に活性化させることができます。

POINT3 大股で歩く POINT3 大股で歩く

早歩きを行う際には、大股で歩くことがポイントです。足を大きく前に出し、腕を自然なリズムで振るようにして歩くことで、より速いペースを維持できます。大股で歩くことで、より運動効率が高い歩行が可能となり、より多くのカロリーを消費することが可能です。

足は大股で、地面を踏みしめよう!

POINT4 安定した歩行を心がける POINT4 安定した歩行を心がける

早歩きを行う際には、体をしっかりと安定させることが重要です。姿勢を正しく保ち、足元をしっかりと意識して地面を踏みしめることで、安定した歩行を保てます。

POINT5 心拍数と呼吸を意識する POINT5 心拍数と呼吸を意識する

早歩きはウォーキングよりも運動強度が高いため、呼吸が速くなり、心拍数が上昇します。心拍数が極端に高くなる場合はペースを緩め、十分な休息を取ることも大切です。

無理はせず、休憩しながらやろう!

筋肉と関節をしっかりほぐそう! 足は大股で、地面を踏みしめよう! 無理はせず、休憩しながらやろう!

早歩きは時速5〜7kmで歩くのが良いと言っても、自分はどのくらいの速度で歩いてるのかな?早歩きの速度を知りたいときは?

普段、歩行速度に意識を向けることが少なく、早歩きに適した速度(時速5~7km)が分からない…。

そんなときは、アプリの活用がおすすめです。スマートフォンには、自身の身体状況に合わせた情報を提供する機能が内蔵されているものもあります。
以下では、おすすめのアプリをご紹介します。

ヘルスケア
(iPhone・iPod touch対応)

iPhoneやiPod touchの場合、標準でインストールされています。消費カロリー、階段の上り回数、歩行速度などをリアルタイムで表示してくれます。

Walkmetrix - step count app
(iPhone/Android対応)

目標に応じたウォーキングプログラムを作成できるアプリです。歩数や消費カロリーの記録だけでなく、速度や歩幅も計測可能で、効果的な健康管理が可能です。

スピードメーター、距離計
(Android対応)

このアプリは、移動距離や速度を測定するだけでなく、速度が許容限界を超えるとアラームが振動します。使いやすくシンプルな速度計です。

豆知識
クリエイティブなアイデアは歩くことで生まれる?

2014年に発表された、スタンフォード大学の研究チームが行った実験によると、屋内外に関わらず、歩かないときよりも、歩いているときの方が、創造性が向上するという結果が出ています。気軽に歩いて、創造力を刺激してみてはいかがでしょうか。

まとめ

早歩きとは、ウォーキングとランニングの中間ペースで行う運動です。ウォーキングよりも運動強度が高く、有酸素運動の効果が高まります。ウォーキングに慣れてきたら、早歩きを試してみてはいかがでしょうか。

2023年9月公開

すこやかコラム一覧ページへ