前々回(Vol.179掲載)、生物に備わっている「体内時計=サーカディアンリズム」について解説しました。このリズムにより、人間にとって一般的に眠りにくい時間帯は、脳が活発に働く10時ごろからお昼近くまでと、夕方18時〜22時ごろまでになります。
反対に、最も眠くなる時間帯は昼の12時〜13時ごろと深夜の1時〜2時ごろ。つまり、24時間のうち眠気のピークが2回あり、そのひとつが昼過ぎに来るわけです。
また、昼食も眠くなる要因です。食後に血糖値が上がり、それを下げるために分泌されるインスリンが眠気を誘います。昼に眠くなるのは当然の反応なのです。
眠気がピークに達している時間帯は、脳のパフォーマンスが大きく低下します。できれば15分〜20分、短い昼寝をしましょう。浅い眠りのレム睡眠にはストレスを和らげる効果もあるので、午後の集中力が向上し、能率アップが図れます。
そこで、昼寝前の新しい習慣の提案。意外に感じるかもしれませんが、コーヒーを飲むことをおすすめします。
コーヒーの良い香りには副交感神経を優位にして、気持ちをリラックスさせる効果があります。言い換えれば、催眠作用が期待できるということです。
一方で、コーヒーに含まれているカフェインには、交感神経を刺激して眠気をなくす覚醒作用があります。
コーヒーのアロマは嗅いだ瞬間からリラックス効果を生じさせますが、カフェインは摂取してから覚醒効果が出るまでに20分〜30分を要します。そこにはタイムラグが存在するので、この時間を昼寝に充てるわけです。起きた頃にはカフェインが効いてきて、すっきりと頭が冴えることでしょう。
ただし、20分以上は眠らないようにしてください。これ以上寝てしまうと、眠りが深くなって目覚めが悪くなります。
昼寝前にコーヒーを飲む効果
監修=白濱龍太郎
医学博士、産業医。医療法人RESM(リズム)グループ理事長。これまで睡眠に悩む2万人以上の人を救ってきた。『ぐっすり眠る習慣』など著書多数。