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Vol.194事業の柱を立て替える。

生き残りをかけた 業態変革 の種の育て方。

 時代の変化に事業をどう合わせて変えていくか、悩んでいる経営者も多いことでしょう。そこで、業態変革を考える際の参考に、タカレン株式会社の事例を紹介します。同社は、服地加工の受託業から特殊薬液のメーカーへ、しかもファブレス※1企業へと、大胆な変身を遂げました。なぜこの発想の転換ができたのか、発想を実現するための技術や販路をどう開拓していったのか、高橋聖介社長の取り組みを見ることで、中小企業経営者に、サバイバルのヒントをつかんでもらいたいと考えます。

  • 自社で工場を持たず、製造は外部に委託し、製品の企画・開発、販売のみに特化する事業形態。
高橋氏の写真
「現状の枠を突破するのが社長の役目」と高橋氏。

強い浄化力を発揮するDEOFACTOR。

 ファブレス化したタカレンの従業員は7名。この人数で年間約5億円を売り上げる。その稼ぎ頭の商材(薬液)が、制菌※2、抗ウイルス、抗カビ、消臭に画期的な効果を発揮する「DEOFACTOR(デオファクター)」だ。2018年に発表し、新型コロナ禍もあって爆発的に売り上げを伸ばした。
「当初は飲食店や医療機関などのユニホーム生地に制菌・抗ウイルス機能を付加する目的で開発しましたが、出来上がったDEOFACTORは無色・透明・無臭の液体なので、何にでも噴霧できます。そこで応用を広げて、今ではカーテンやカーペット、寝具、着物、事務器、人工観葉植物、そして建物の内壁、車の内装などにも使われています」
 新型コロナ禍の21年に「STOP感染症大賞」※3最優秀賞を受賞したことで一気に知名度が高まり、右にあげた業界から多数の引き合いがあったという。
 DEOFACTORの主成分は高濃度の天然ミネラル。これに空気中の水分が反応するとOHラジカル※4が発生。細菌やウイルス、カビ、花粉などのアレルゲン、ホルムアルデヒドなどの有機化合物を捉えて分解する。分解後、OHラジカルは再び水に戻り、空気中に帰っていく。その効果や耐久性、安全性は各種の試験で証明済みで、繊維加工品と吹き付け加工の認証マークを取得している。

  • 抗菌が菌の増殖を抑制する(減らない)のに対し、制菌は菌を減少させる。
  • 第7回 ジャパン・レジリエンス・アワード(強靱化大賞)「STOP感染症大賞」。
  • 分子式はHO。水の分子(H2O)が水素(H)を1つ失った状態で、強い酸化力を発揮する。

画期的な薬液を生んだ中核技術へのこだわり。

 タカレンの前身は高橋練染株式会社。高橋氏はその3代目。24年8月に工場をたたみ、ファブレス企業に転換して社名も変更した。
「高橋練染は、繊維の街京都で70年以上にわたり『整理仕上げ』という生地加工の最終工程を担ってきました。ところが、私が社長になった03年ごろには海外生産が進み、同業者の多くは廃業して、当社も最盛期約80人いた従業員が50人ほどに減っていました。そこで生き残りのために、生地に冷感や温感、防臭、防汚、撥水などの機能を持たせる加工技術を開発し始めたのです」
 100種類を超える機能性加工を生み出したが、採用されたのは3割程度。しかも当時は、機能は大手繊維メーカーが糸への加工で付加するのが主流で、生地への後加工は傍流扱いされ、軽んじられていた。
「それが悔しくてね。本当は、生地の全面で機能が発揮できる後加工のほうが優れているはずなんです。それに、糸加工は生地の製品種類が限られるのに対し、後加工はどんな生地にも機能を付けられ、多品種少量生産に対応できます。後加工を世間に認めさせる、わが社が生きる道はこれしかないと、もう、意地でした」
 そこで高橋氏は、衣類に求められる機能について考え抜き、行き着いた先が消臭だった。そして、機能性加工の核心は薬液なので、臭いの元になる菌を減らせる薬液の開発にねらいを定めた。
「私は、高校生のころから工場でアルバイトをしてきたので、化学の知識はなくても薬液のことは分かります。それであるとき、OHラジカルを発生させる技術の存在を知り、『これだ』と思いました。すぐにこの技術を発明した学者を訪ね、生地加工に使用する独占契約を結んだのです」
 もちろん、発明された技術は原型で、そのままでは実用化にはほど遠い。試作に試作を重ね、DEOFACTORの完成までは、エビデンスの取得を含めて8年の歳月を要した。後加工、薬液と、自社の中核技術にこだわり続けたことが、高橋練染の復活につながった。

DEOFACTORを含ませた医療用ユニホーム。
建物の内壁にDEOFACTORを噴霧。これで24時間365日、室内の制菌・抗ウイルスが実現。

新しい業態を生み、支えるのは会社の歴史。

 薬液の完成に8割がた近づいた時点で、高橋氏は売り込み先を考えた。
「当社は、それまでファッション・アパレルが主な得意先でしたが、DEOFACTORの制菌機能から、ユニホーム・アパレルにターゲットを絞りました」
 飲食店向けのユニホームメーカーに飛び込むと、〝繰り返し洗濯しても制菌力が落ちない〟との条件を突きつけられた。さらに、抗ウイルスの機能も求められた。
「抗ウイルスは、OHラジカルの原理から可能と思いましたが、難題は洗濯への耐性。でも当社には、生地に機能を確実に定着させるバインディング技術の土台がある。営業先のメーカーには『10カ月あればできます』と宣言し、会社に帰って、皆で必死に目標を追いかけました」
 このときも自社の中核技術が役立ち、80℃で3時間洗濯機を回しても効能が落ちない助剤※5の開発に成功。これにより、医療用・オフィス用ユニホーム、寝具へとDEOFACTORの販路は拡大していった。
 高橋氏は、「中小企業だから、開発も営業も、社長が陣頭指揮をとるのは当たり前」と強調する。そして、「開発は、出口(販売先)を定めて逆流させることが大事」とも語る。この出口戦略はユニホーム用途の開発で実行されたが、建物の内壁、車の内装などへの応用では代理店方式の採用に結びついている。
「〝餅は餅屋〟の発想で、当社は薬液と噴霧器、施工ノウハウを提供し、チャネル展開は、例えば建物なら建設会社を総代理店に決めて任せています。異業種からの引き合いが殺到したとき、この方式を考えました」
 噴霧器や施工ノウハウの開発では、高橋練染の長年にわたる取引先が協力してくれた。また、生地の後加工の工程は、ファブレス化する際に従業員の再就職を受け入れてくれた染色工場に委託し、仕事を熟知した元従業員が担っている。
 タカレンの歩みを振り返ると、新しい業態を生み、支えるのは、会社が培ってきた歴史だといえるだろう。

  • 主剤のDEOFACTORに加えて特定の性能を持たせる薬液。

タカレン株式会社 
〒615-0065
京都市右京区西院日照町116
TEL:075-950-5588
https://www.takaren.co.jp/


いい睡眠、いい人生 7.入眠の儀式

 寝つきを良くし、深く眠るために、就寝前に励行したい"儀式"をご案内します。

ぬるめのお湯にゆっくり入浴

 深睡眠(Vol.176掲載)の状態に至りやすいように、ぬるめのお湯に10分以上ゆっくりつかります。入浴のタイミングは、深部体温が下がるまでの時間を確保するため、就寝の1時間半〜2時間前がベストです。

入浴中のイラスト

寝室は東側、室内の光はオレンジ色に

 できれば、朝日が入る東窓がある部屋を寝室に。朝日は、睡眠ホルモンのメラトニン(Vol.179掲載)の原料となるセロトニンの生成を促します。
 また、寝室のルームライトは、オレンジ色など暖色系の柔らかな光を選びます。リラックスできて、心地よく眠りにつくことができます。ただし、就寝時には消し、メラトニンが分泌されやすいように部屋を真っ暗にしましょう。

オレンジ色のルームライトの写真

軽い静的ストレッチがおすすめ

 ラジオ体操のような反動をつけた動的ストレッチと、静止した状態で筋肉を伸ばす静的ストレッチ。前者は交感神経を優位にし、後者は副交感神経を優位にします。寝る前に静的ストレッチを1分ほど行うだけで熟睡効果が期待できます。

ストレッチをしているイラスト

必ずパジャマに着替える

 睡眠にとって、理想的な服はパジャマです。就寝中の体温調節でかく汗を吸収し、寝返りのときにも柔軟に伸縮してくれます。Tシャツやジャージーを着て寝る人も多いと思いますが、パジャマに着替えることをおすすめします。

冬場は湯たんぽを活用

 体が冷えて眠れないとき、靴下をはくのは良くないと前回(Vol.192掲載)説明しました。代わりに、湯たんぽを布団の中に入れて温めておきましょう。ただし、寝る前には取り出すようにしてください。

湯たんぽの画像

あおむけ・大の字で寝る

 深睡眠を得るためには、深部体温を下げることが必要です。あおむけ・大の字で寝ると、手足の先から熱が放出され、深部体温をスムーズに下げることができます。また、脇や股に汗をかきにくくなり、熱がこもるのを防ぐことができます。

監修=白濱龍太郎

医学博士、産業医。医療法人RESM(リズム)グループ理事長。これまで睡眠に悩む2万人以上の人を救ってきた。『ぐっすり眠る習慣』など著書多数。

  • 記事中に記載の法令や制度等は取材当時のもので、将来変更されることがあります。詳細につきましては、各専門家にご相談いただきますようお願いいたします。
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