健診値を医師がわかりやすく解説！

健康診断結果を活用していますか？受けて終わりにしていませんか？

結果に安心した方にもドキッとした方にも知ってほしい健診値の見方について、わかりやすく解説します。

また、性・年代別に基準値範囲を超えてしまう人がどのくらいいるのか、基準値範囲を超えてしまうとどのようなリスクがあるのか、この機会に是非チェックしてみましょう。

肝機能とは？

肝臓は、食べたものをエネルギーに変換する、アルコールなどの有害物質を分解する、腸内での消化吸収に必要な胆汁を作るなどといった、私たちの体に欠かせない働きをしています。

肝臓の状態を示す指標として、GOT（AST：アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ）とGPT（ALT：アラニンアミノトランスフェラーゼ）、γ-GT（γ-GTP：ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ）があります。

GOT（AST）、GPT（ALT）とは

とり入れた栄養素をアミノ酸に変換し、身体を動かすエネルギーに変える働きにかかわる酵素です。
GOT（AST）の多くは、心臓と筋肉、そして肝臓に存在しています。
GPT（ALT）は、他の臓器にあまり含まれておらず、肝臓に多い酵素です。

肥満や飲酒にともなう脂肪肝やウイルス性肝炎などのトラブルで、肝臓の細胞が炎症により破壊されると、GOT（AST）とGPT（ALT）が血液の中に流れ出します。
基準〜異常の目安としては、30以下を基準とし、31～50で要注意、51以上は異常を示す数値とされます。

GOT（AST）の年代別リスク分布（B～D判定（軽度異常以上）の割合）

• 出典：株式会社JMDCが保有する健診データを基に、各年代別のGOT（AST）の「B～D判定：軽度異常以上」の割合を集計

GPT（ALT）の年代別リスク分布（B～D判定（軽度異常以上）の割合）

• 出典：株式会社JMDCが保有する健診データを基に、各年代別のGPT（ALT）の「B～D判定：軽度異常以上」の割合を集計

γ-GT（γ-GTP）とは

肝臓の解毒作用に関わっている酵素です。
アルコールが原因で障害が起きたときに、γ-GT（γ-GTP）が血液中に出てくるとされています。
そのため、検査値からは肝臓や胆道に異常がないかがわかります。基準～異常の目安としては、50以下を基準とし、51～100は要注意、101以上は異常を示す数値とされます。

γ-GT（γ-GTP）の年代別リスク分布（B～D判定（軽度異常以上）の割合）

• 出典：株式会社JMDCが保有する健診データを基に、各年代別のγ-GT（γ-GTP）の「B～D判定：軽度異常以上」の割合を集計

肝臓の数値が高いとどんなリスクがあるの？

肝臓の病気は、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧など、いわゆる生活習慣病に関わっていることがあります。
また、アルコールをほとんど飲まない人にも、脂肪肝が起こり、肝硬変、肝がんへと進行する可能性があります。

ウイルス性肝炎

ウイルス性肝炎は、A型、B型、C型、D型、E型等の肝炎ウイルスいずれかの感染に原因があります。
急性ウイルス性肝炎を発症するのは主にA型とB型です。
黄疸、発熱、食欲不振などの症状が出たときに早期に治療すれば治ります。
B型とC型のウイルス性肝炎は慢性化して、肝がんへと進行することも多いので、注意が必要です。

アルコール性肝炎

アルコール過多を原因とする脂肪肝が進行し、悪化するのがアルコール性肝炎です。
吐き気やだるさ、黄疸などの症状が特徴ですが、症状がはっきりとは現れないケースもあります。
定期的な検査が必要になります。

肝硬変

肝臓の細胞が壊死と再生をくりかえしていくと、肝臓が硬く縮んだ状態になります（線維化）。
肝臓に脂肪がたまると脂肪肝になり、肝硬変・肝がんへと進行するリスクがあるため、定期的な検査が必要です。