生命保険が満期を迎えたらどうする? 満期保険金にかかる税金や確定申告も解説
- 公開日:
- 2026.03.04
保険会社からの「満期保険金のお知らせ」などの書類が届いて「生命保険の満期」に気づく方も多いのではないでしょうか。
長年積み立ててきた生命保険が満期を迎えると、まとまった保険金が手元に入ります。ただ、税金のことや満期後の保障をどうするかなど、考えるべきことも意外と多くあります。
この記事では、満期保険金にかかる税金と確定申告、そして満期後の保険選びについて解説します。
満期保険金とは? どんな保険が対象か
生命保険が満期を迎えると、契約内容に応じて「満期保険金」が支払われます。まずは、満期保険金の基本と、どのような生命保険が対象になるのかを確認しましょう。
満期保険金が受け取れる保険の種類
満期保険金が受け取れるのは、保険期間が定められている「満期のある保険」です。代表的な保険に、養老保険と学資保険があります。
養老保険は、保険期間中の死亡など万一の際には死亡保険金、満期時に生存していたときには満期保険金を受け取ることができます。老後資金や将来の大きな支出に備えたい方に適しています。
学資保険は、教育資金を計画的に準備したい方に適した保険です。進学のタイミングなど、必要な時期に合わせて満期保険金の受け取り時期を設定できる商品もあります。
ただし、受け取りのタイミングについては、保険会社によって一定の制限が設けられていることもありますので、契約前に確認するのがよいでしょう。また、学資保険には保険料払込期間中に契約者に万一のことがあった場合、以降の保険料の払い込みが免除される制度がついていることがあります。
目的や特長は異なりますが、養老保険と学資保険は、どちらも満期保険金が受け取れることから資金準備ができる保険です。
一方、終身保険や定期保険には満期保険金はありません。終身保険は一生涯の保障が続き、定期保険は保険期間の満了とともに保障がなくなります。
満期のタイミングと受取方法
満期のタイミングは、契約時に設定した保険期間によって決まります。養老保険なら10年満期や20年満期、学資保険なら子どもが18歳になる年など、契約内容によって異なります。
満期保険金は、一括で受け取るのが一般的です。受け取り方法には、登録した口座に自動的に振り込まれる方法と、満期が近づくと保険会社から通知が届き、案内に沿って必要書類を提出することで、指定口座に振り込まれるという方法があります。
満期保険金を一括ではなく年金形式で分割して受け取る商品を取り扱っている保険会社もあります。一括受取と分割受取では税金の計算方法が異なるため、どちらが自分の意向に合っているかを事前に確認しておくとよいでしょう。
専門家からのアドバイス
満期保険金がある保険は、老後資金や教育資金など、将来のための資金準備に適しています。
ただし、途中解約した場合、払い込んだ保険料よりも返戻金が少なくなる場合があるため、保険の加入を検討する際は「無理なく継続できる保険料か」「いざという時のお金を保険以外の手段で準備できるか」などの視点からも、よく考えてから申し込みましょう。
満期保険金にかかる税金と確定申告
満期保険金は、保険料の負担者、保険金受取人が誰かであるかにより、所得税、贈与税のいずれかの課税の対象になります。
満期保険金の課税関係の表
| 保険料の負担者 | 保険金受取人 | 税金の種類 |
|---|---|---|
| A | A | 所得税 |
| A | B | 贈与税 |
所得税が課税されるのは、保険料の負担者、保険金受取人が同一の場合です。
この場合の税金の仕組みと、確定申告が必要なケースについてみていきましょう。
受取方法によって変わる税金の区分
(契約者(保険料の負担者)と満期保険金受取人が同じ場合)
満期保険金の税金は、受取方法によって扱いが異なります。契約者(保険料の負担者)が一括で受け取るのであれば「一時所得」、年金形式で分割して受け取るのであれば公的年金以外の「雑所得」として課税されます。
次の表に、受取方法別の税区分、課税対象額の計算方法、確定申告が必要なケースをまとめました。
| 受取方法 | 税区分 | 課税対象額の計算方法 | 確定申告が必要なケース |
|---|---|---|---|
| 一括受取 | 一時所得 | (満期時受取総額-払込保険料総額-特別控除額最高50万円(※))×1/2 | 給与所得者:一時所得が20万円超 自営業者:金額にかかわらず申告 |
| 年金受取(分割) | 雑所得 | その年に受け取る年金額-(年金年額×払込保険料総額÷年金の受取見込総額) | 給与所得者:雑所得が20万円超 自営業者:金額にかかわらず申告 |
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- 同じ年に満期保険金以外の一時所得がなく、受け取った満期保険金から払込保険料総額を引いた金額が50万円以下の場合は税金がかかりません。
一時所得には最高50万円の特別控除があります。さらに課税対象となるのはその特別控除額を差し引いた額の2分の1の金額ですので、税負担は比較的軽くなります。
一方、雑所得には特別控除がなく、受け取る年金額から対応する保険料を差し引いた金額がそのまま課税対象となります。
どちらの受取方法がよいのかは、受取金額や他の所得状況によって異なります。満期が近づいたら、税務署、税理士などに相談して試算してもらうことをおすすめします。
一時所得(一括受取)の計算方法
一括で満期保険金を受け取る場合、一時所得として課税対象となります。
一時所得に対する課税対象額の計算式は以下の通りです。
一時所得=(満期時受取総額-払込保険料総額-特別控除額最高50万円(※))×1/2
- 同じ年に満期保険金以外の一時所得がなく、受け取った満期保険金から払込保険料総額を引いた金額が50万円以下の場合は税金がかかりません。
例えば、満期時受取総額が200万円、払込保険料総額が150万円だった場合、計算式は次のようになります。
(200万円-150万円-50万円)×1/2=0円
この場合、特別控除額の50万円以内に収まるため、税金はかかりません。
一方、満期時受取総額が500万円、払込保険料総額が300万円だった場合は以下のようになります。
(500万円-300万円-50万円)×1/2=75万円
この75万円が課税対象となり、他の所得と合算して所得税・住民税が計算されます。
雑所得(年金受取)の計算方法
年金形式で分割して受け取る場合、毎年受け取る年金は雑所得として課税対象となります。
雑所得の計算式は以下の通りです。
雑所得=その年に受け取る年金額-(年金年額×払込保険料総額÷年金の受取見込総額)
例えば、10年間で総額500万円を受け取る年金形式で契約し、払込保険料総額が400万円だった場合を考えてみましょう。毎年50万円ずつ受け取るとすると、計算は以下のようになります。
50万円-(50万円×400万円÷500万円)=50万円-40万円=10万円
この10万円が毎年の雑所得として、他の所得と合算されて課税されます。一時所得のような特別控除や2分の1計算はない点に注意が必要です。
契約者(保険料の負担者)と満期保険金受取人が異なる場合の注意点
ここまでは契約者(保険料の負担者)と満期保険金受取人が同じ場合について説明しましたが、契約者(保険料の負担者)と満期保険金受取人が異なる場合にはかかる税金が変わります。
満期保険金にかかる税金は、契約者(保険料の負担者)・被保険者・満期保険金受取人の関係によって以下のように異なります。
*契約関係者を区別するため、アルファベットで記載しています。
| 契約者(保険料の負担者) | 被保険者 | 満期保険金受取人 | 税金の種類 |
|---|---|---|---|
| 夫A | 夫A | 夫A | 「一時所得」(※)として所得税・住民税 |
| 夫A | 妻B | 夫A | 「一時所得」(※)として所得税・住民税 |
| 夫A | 夫A | 妻B | 贈与税 |
| 夫A | 妻B | 妻B | 贈与税 |
| 夫A | 妻B | 子C | 贈与税 |
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- あらかじめ定められた期間に、毎年定額を受け取る場合は「雑所得」として所得税・住民税の課税対象となります。
例えば、親が保険料を負担し、子どもが学資保険の満期保険金を受け取るケースでは、贈与税の対象になります。贈与税には年間110万円の基礎控除がありますが、この金額を超える部分には税金がかかります。
契約形態が複雑な場合は、税金の計算も複雑になるため注意が必要です。詳しい取扱いや具体的な計算方法については、国税庁ホームページの「生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき」のページで確認できます。
不安な場合は税務署や税理士に相談することをおすすめします。
確定申告が必要なケース
満期保険金を受け取った際に、確定申告が必要となるケースがあります。
会社員など給与所得者は、給与所得および退職所得を除く所得の合計が20万円を超える場合に確定申告が必要です。
一時所得の場合は、(満期時受取総額-払込保険料総額-特別控除額最高50万円)×1/2の金額が20万円を超える場合に対象となります。
給与所得者以外の方は、金額にかかわらず確定申告で一時所得を申告する必要があります。
確定申告の期間は、原則として満期保険金を受け取った年の翌年2月16日から3月15日までです。
確定申告を怠ると、後から税務署の指摘を受けて追加納税や延滞税が発生する可能性もあります。
満期保険金を受け取ったときに、税金がかかるかどうかを確認し、必要であれば早めに申告準備を進めましょう。
- 税制に関わる記述は、2026年1月1日現在の税関係法令等に基づき記載したものです。今後、税制が変わる場合もあります。税理士法において、税理士または税理士法人以外の者が税務に関し個別具体的な説明をすることは禁じられています。営業社員は個別具体的な試算ができませんので、税務に関わる個別の取り扱いについては、所轄の税務署などにご連絡ください。
専門家からのアドバイス
まれなケースかもしれませんが、保険が満期になったのに手続きが遅れ、保険金の受け取りが満期の翌年になることも考えられます。
このような場合には保険金を受け取った年ではなく、受け取りの原因(満期)が発生した年の所得となります。
保険が満期を迎えたら、速やかに請求手続きを行い、確定申告も期限内に行いましょう。
満期後も保険で備えを継続しよう
満期保険金を受け取った後は、保険の保障がなくなる点にも注意する必要があります。満期後の備えについても考えておきましょう。
満期で保障がなくなるリスク
養老保険や学資保険が満期を迎えると、それまで続いていた保障もなくなります。これは意外と見落としがちなポイントです。
例えば、20年前に養老保険に加入して満期を迎えた場合、その間に家族構成やライフステージが変わっていることが考えられます。特に子育て世帯の場合、子どもが成長して教育費がかさむ時期に、保障がなくなるリスクがあります。
万一のことが起きてから後悔しないよう、満期のタイミングで保障の見直しをすることが大切です。
ライフステージに応じた保険の見直し
満期を迎えたら、現在のライフステージに合わせて保険を見直すよいタイミングと言えるでしょう。
老後資金や学資資金など、ライフステージに応じた備えをしておくことで、将来の安心につながります。なお、ご自身の老後資金についても考える時期になっている場合は、満期保険金を老後のために貯蓄するだけでなく、新たに保険に加入して将来に備える方法もあります。
保険の見直しでは、死亡保障だけでなく、医療保障やがん保険など、健康リスクへの備えも検討するとよいでしょう。
専門家からのアドバイス
満期保険金を老後資金や教育資金に使う場合は、病気やケガ、万一の際の備えを改めて考える必要があります。医療保障や死亡保障など、現在の生活状況に合った保険を改めて検討することが大切です。
また、年齢が上がると、加入できる保険や保障内容が限られたり、1回あたりに支払う保険料が高くなったりすることもあります。そのため、保障の必要性や内容だけでなく、将来にわたって無理なく保険料を支払い続けられるかも含めて検討してみましょう。
まとめ
生命保険が満期を迎えたら、満期保険金の受け取りだけでなく、税金の確認と今後の保障についても見直しておきましょう。満期保険金は一時所得や雑所得として課税の対象になることがあり、確定申告が必要なケースもあります。
また、満期を迎えると保障がなくなるため、万一の際の備えを改めて考えておくことが大切です。ライフステージに合わせた保険選びで、将来の安心を確保していきましょう。
この記事の監修

2級ファイナンシャル・プランニング技能士、マネーライター、証券外務員一種資格保有田尻宏子(たじり ひろこ)
証券会社、生命保険会社、銀行など複数の金融機関での勤務経験後、2016年から主に生命保険、損害保険、株式投資、ローン、相続関連等の金融分野専門のライターとして活動中。お金の初心者から上級者向けに幅広く執筆。
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