障害年金がもらえる条件とは? 受給要件や申請方法を解説
- 公開日:
- 2026.09.24
障害年金とは、病気やケガによって日常生活や仕事などが制限されるような障害をもつ状態になった場合に、年金を受給できる給付制度です。
対象となるのは、病気やケガによる身体の障害だけではなく、うつ病などの精神疾患や、がんなどの内部疾患も含まれます。
ただ、「受給するための具体的な手続きが分からない」「自分が受給対象になるのか判断できない」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、障害年金の受給要件やもらえる年金額、申請から受給までの流れを分かりやすく整理して解説します。
障害年金とは?どのような場合に受給できる制度なのか
障害年金は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」に分かれています(※)。
- 障害厚生年金の受給要件に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。
また、障害年金は、障害の程度によって受給できるかどうかが決まります。
基準となる障害の程度は、法令により次のように定められています。
| 障害等級(※) | 受給対象 | 障害の程度 |
|---|---|---|
| 1級 |
|
他人の介助を受けなければ、日常生活のことがほとんどできない状態 身のまわりのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方(または行うことを制限されている方)。 入院や在宅介護を必要とし、活動範囲がベッドの周辺に限られるような方。 |
| 2級 |
|
必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができない状態 家庭内で軽食をつくるなどの軽い活動はできてもそれ以上に重い活動はできない方(または行うことを制限されている方)。 入院や在宅で、活動範囲が病院内・家屋内に限られるような方。 |
| 3級 | 障害厚生年金受給者 | 労働が著しい制限を受ける、または労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態 日常生活には、ほとんど支障はないが労働については制限がある方。 (障害基礎年金受給者は対象外) |
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- 障害年金の等級は、身体障害者手帳の等級とは異なります。
障害年金の対象となる病気
障害年金は、病名やケガの部位によってではなく、病気やケガで生活や仕事に支障があると認定された場合に支給されます。
また、うつ病や統合失調症などの精神疾患、がんや心疾患などの内部疾患なども、日常生活や就労に大きな制限がある場合には、障害年金の対象となる可能性があります。
専門家からのアドバイス
同じ病気でも、人によって生活への影響は異なるため、障害年金で認定される等級が変わることがあります。
申請する際に「どんなことに困っているのか」「何ができて、何ができないのか」を具体的に伝えることがとても重要です。
症状をたんに列挙するよりも、生活の中で実際に困っていることを丁寧に説明することで、より正しく判断してもらいやすくなります。
障害年金の受給要件
障害年金を受け取るには「初診日要件」「保険料納付要件」「障害状態要件」の3つの受給要件を全て満たす必要があります。障害基礎年金と障害厚生年金に共通する考え方なので、それぞれ詳しく確認していきましょう。
1.初診日要件
障害の原因となった病気やケガについて、初めて医療機関を受診した日(初診日)時点で、国民年金もしくは厚生年金の被保険者であることが必要となります。
障害基礎年金の場合
初診日が、次のいずれかの期間にあることが条件です。
- 国民年金の加入期間
- 20歳前で、年金制度に加入していない期間
- 日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で、年金制度に加入していない期間
障害厚生年金の場合
- 初診日が「厚生年金保険の被保険者である期間」にあることが条件です。
初診日は、障害年金の手続きにおいて重要な基準となるため、受診した医療機関の記録などを初診日証明書類として提出します。
2.保険料納付要件
障害年金を受給するには、初診日の前日において、一定期間の年金保険料を納めていること、または免除されていることが条件となります。
次のいずれかの要件を満たしていること(保険料納付要件)が必要です。
(1)保険料納付済期間と保険料免除期間が3分の2以上ある
初診日のある月の2カ月前までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あることが必要です。
- 厚生年金保険の被保険者期間や共済組合の組合員期間を含みます。
例)
生年月日:1984年5月20日
初診日:2014年5月20日(30歳)
判定対象期間:2004年5月(20歳で国民年金加入)~2014年3月(119カ月)
この場合、判定対象となる119カ月のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が3分の2以上必要です。
119カ月 × 2/3 = 約79.3カ月
そのため、80カ月以上の保険料納付済期間または免除期間があれば、保険料納付要件を満たします。
(2)初診日において65歳未満であり、直近1年間に保険料の未納がない
初診日のある月の2カ月前までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと。
- 初診日が令和18年(2036年)3月末日までの場合
ただし、20歳未満の方で、年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、保険料納付要件はありません。
3.障害状態要件
障害認定日(障害認定日以後に20歳に達した場合は、20歳に達した日)における障害の程度が、国の定める障害等級に該当しているかどうかも障害年金受給の条件となります。
- 障害基礎年金:障害等級表に定める 1級または2級 に該当していること
- 障害厚生年金:障害等級表に定める 1級から3級のいずれか に該当していること
専門家からのアドバイス
「障害認定日」は原則として初診日から1年6カ月後を指し、このときの状態をもとに障害等級が判断されます(※)。
障害厚生年金については、障害認定日時点では状態が軽くて該当しなかった場合でも、その後に障害の程度が重くなったときには、改めて請求して障害厚生年金を受け取れる場合があります。
また、一度不支給となった方でも、その後症状が悪化したときには「事後重症請求」として再度申請することが可能です。障害年金制度は一度きりではなく、状態の変化に応じて活用できる仕組みであることを知っておくと安心です。
- 病気やケガが治った場合(ここでいう「治った」とは、完治だけでなく、これ以上の治療による改善が見込めず障害の状態が安定した「症状固定」の状態を含みます)や、特定の条件に該当する場合は、初診日から1年6カ月以内であっても、その時点が「障害認定日」となります。
障害年金の年金額
障害年金の支給額は、障害等級、対象となる年金の種類、配偶者の有無や子どもの人数によって決定します。2026年度の年間支給額は次のとおりです。
| 障害等級 | 障害基礎年金の支給額(年間) | 障害厚生年金の支給額(年間)(※3) |
|---|---|---|
| 1級 | 105万9,125円(※1)+子の加算額 | 「報酬比例の年金額×1.25」の金額(※4) |
| 2級 | 84万7,300円(※2)+子の加算額 | 「報酬比例の年金額」の金額(※4) |
| 3級 | なし | 「報酬比例の年金額」の金額 (最低保障額は63万5,500円(※5)) |
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- 1956年4月1日以前生まれの方は105万6,125円です。
- 1956年4月1日以前生まれの方は84万4,900円です。
- 報酬比例の年金額は、厚生年金加入期間中の標準報酬月額や加入期間等によって算出されます。
- 生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合、年間24万3,800円が加算されます。
- 1956年4月1日以前生まれの方は63万3,700円です。
障害基礎年金における障害等級1級、2級の支給額は、18歳になった後の最初の3月31日を経過していない子(または障害等級1級・2級の状態にある20歳未満の子)がいる場合、その人数に応じて以下の加算があります。
子の加算額(年間)
- 2人まで:1人につき24万3,800円
- 3人目以降:1人につき8万1,300円
国民年金被保険者で障害等級1~2級の方は「障害基礎年金」を、厚生年金被保険者で障害等級1~2級の方は「障害基礎年金」に「障害厚生年金」が上乗せされた額を受給できます(3級は障害厚生年金のみ)。
障害年金の申請方法
支給申請は本人もしくは代理人が行います。申請の流れは次のとおりです。
1.年金事務所、年金相談センター、ねんきんダイヤルにて事前相談
障害年金の申請手続きは非常に煩雑です。不備なく申請ができるように、事前に日本年金機構の「ねんきんダイヤル」に問い合わせるか、お近くの年金事務所などで相談することをおすすめします。
相談の際には、申請者の基本情報、病歴、障害の状態の確認があります。基礎年金番号や病気・障害の状態が分かる資料を準備しておきましょう。
2.年金事務所に年金請求書と添付書類を提出(障害基礎年金の場合はお住まいの市区町村役場でも可)
市区町村役場、年金事務所、年金相談センターに備え付けの年金請求書に記入し、「戸籍謄本、住民票など本人の生年月日を証明できる書類」「医師の診断書(所定の様式あり、障害認定日より3カ月以内現症のもの)」などの添付書類と合わせて提出します。
年金請求書は日本年金機構のホームページからダウンロードすることもできます。
添付書類は年齢や障害の原因などにより異なるため、事前相談の際に確認しておくことをおすすめします。
3.支給決定後、年金決定通知書や年金証書が送付される
提出した書類をもとに、日本年金機構で審査が行われ、障害年金の支給の可否が決定します。支給が決定すると、「年金決定通知書」と「年金証書」が送付されます。
年金請求書提出から支給決定までは一般的に約3カ月が目安とされており、案件の内容や書類の状況によってそれ以上かかる場合もあります。
なお、実際に支給が開始されるのは、年金証書が送付されてから約1カ月~2カ月後です。
専門家からのアドバイス
20歳前に初診日があり、障害基礎年金を受け取っている場合には、所得による支給制限がある点に注意が必要です。
具体的には、前年の所得額が479万4,000円を超えると障害年金は全額支給停止、376万1,000円を超えると2分の1が支給停止となります。
この所得制限は、受給中は継続して適用されるため、受給者本人の前年所得の確認は毎年必要です。
なお、前年所得に基づく支給対象期間は「10月分から翌年9月分まで」となります。
障害年金と生命保険を併用し、将来に備えよう
障害年金は生活費の一部を支える公的な制度ですが、必要な資金を十分に補えるとは限りません。
実際に入院した際に予想外の出費が発生したり、万一のことがあった場合の資金準備が十分にできなかったりする可能性もあります。
病気やケガなどのリスクに備えるためには、民間の生命保険も組み合わせて検討することが重要です。
例えば、養老保険は、万一のことがあった場合の保障と資金準備という2つの役割を兼ね備えた生命保険です。
生存して満期を迎えた場合には満期保険金を受け取ることができるため、将来の経済的なリスクに備える手段となります。
また、入院・手術などでかかる医療費を補う医療特約を付加できる商品もあります。
このように、公的な保障制度と民間の生命保険をバランスよく活用することで、将来の不安に対して、より安心して備えることができるでしょう。
よくあるご質問と回答
いくつかの病気を併発している場合、障害年金は複数受け取れますか?
「1人1年金」の原則があるため、複数の障害年金を受け取ることはできません。病状が複数ある場合、総合的に判断して障害の等級が認定されます。
まとめ
障害年金は、病気やケガにより生活や仕事に支障が生じた場合に、年金が支給される公的年金制度です。
ただし、希望すれば誰でも受給できるわけではなく、初診日、保険料の納付状況、障害の程度などの条件を満たす必要があります。
障害年金は、障害状態になった場合の経済的な負担を軽減してくれる制度ですが、日常生活で起こり得るさまざまなリスクにも備えておくことが大切です。
満期保険金がある養老保険や、入院・手術時の費用に備えられる医療特約なども活用し、公的な保障と組み合わせながら、より安心できる備えをしておきましょう。
- 本記事の社会保障制度に関わる記述は、2026年4月1日現在の社会保障関係法令等に基づき記載したものです。今後、社会保障制度が変わる場合もあります。
- 本記事に記載している年金制度・年金額の内容は、執筆時点の制度に基づく一般的な情報提供を目的としたものです。実際の年金額や受給条件は、生年月日・加入期間・報酬額・制度改正の有無等により異なる場合があります。具体的な受給額や手続きについては、日本年金機構(ねんきんネット・年金事務所)等の公的機関で最新情報をご確認ください。
この記事の監修

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員新井智美(あらい ともみ)
マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。現在年間200本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績は3,500本を超える。
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