先進医療とは? 対象となる治療や治療を受ける際の注意点を解説
- 公開日:
- 2026.03.23
病気の治療に関して「先進医療」という言葉を耳にすることも多いでしょう。
近年、がん治療などで注目されている先進医療ですが、実際の治療内容や受療時の条件・手続き、そして費用について気になる方も多いはずです。
本記事では、先進医療の仕組みや対象となる治療、受療時の注意点について解説します。
先進医療とは
ここでは、先進医療の仕組みと保険診療との違いを踏まえて、主な特長を確認しましょう。
先進医療の定義
先進医療とは、公的医療保険の適用前の段階にある治療などのことを指します。科学的根拠を積み重ねた結果、有効性や安全性等が認められた場合は、公的医療保険の対象となることもあります。一方で、対象から外れることもあり、先進医療の内容は時とともに変化します。
また、保険診療の場合、医療費の自己負担割合は1〜3割ですが、先進医療部分の費用は全額自己負担となります。
先進医療の特長
先進医療は、主に特定の大学病院などで研究・開発されており、実績の蓄積が進められている、新しい治療法や手術法です。高度な技術を活用することで、従来、治療が困難とされてきた病気にも高い有効性が期待できます。
特に、がんなどの重大な病気の治療において、選択肢が増えることは大きな特長と言えるでしょう。治療の選択肢が増えることにより、自分の病症に合った治療法を選択できる可能性が高まります。
ただし、先進医療は通常の保険診療を受けている過程で、患者本人が希望し、医師がその必要性と妥当性を認めた場合に行われます。
専門家からのアドバイス
先進医療を受ける患者の数は年々増加しています。厚生労働省の「先進医療の実績報告」(2024年度)によると、2020年6月30日時点では年間5,459人でしたが、2024年6月30日時点では年間177,269人に増加しました。先進医療を受けた方は4年間で30倍以上に増えています。
かつては限られた方が受ける治療でしたが、現在では多くの方が選択できる治療となりつつあります。「自分も受ける可能性がある治療」として、常に最新情報を確認しておくようにしましょう。
代表的な先進医療の治療
先進医療にはさまざまな種類がありますが、ここでは代表的な治療をご紹介します。
重粒子線治療・陽子線治療
重粒子線治療や陽子線治療は、がん細胞をピンポイントで攻撃する放射線治療です。通常の放射線治療と比べて、がん細胞にエネルギーを集中的に照射できるため、周囲の正常な組織へのダメージを抑えられます。
前立腺がん、肺がん、肝臓がんなど多くの疾患が適応例として挙げられます。
その他の主な先進医療
内視鏡的憩室隔壁切開術(ないしきょうてきけいしつかくへきせっかいじゅつ)も該当します。こちらは、Zenker憩室(※)を口から挿入した軟性の内視鏡(胃カメラ)を使って切除する治療です。外科手術と比較すると、手術時間が短く、入院期間が短いなどのメリットがあります。
- 食道の粘膜が押し出されて食道外に膨らんだものを指す。食事が喉につかえる原因になる。
また、歯科治療や不妊治療などにも先進医療が適用され、各分野で高度な技術が用いられています。
先進医療百科の紹介
かんぽ生命の「先進医療百科」では、治療内容や対応している医療機関などの情報を掲載しています。先進医療の詳細情報を確認できるため、治療を検討する際の参考にご活用ください。
先進医療技術と対応している医療機関の情報についてはこちら
かんぽ生命 先進医療百科専門家からのアドバイス
先進医療の医療技術は、「先進医療A」と「先進医療B」に分類されます。
「先進医療A」は薬機法(※)上で承認済みの薬剤・医療機器や人体への影響が極めて小さい未承認検査薬を用いた医療技術が該当します。
「先進医療B」は薬機法上で未承認の薬剤・医療機器を用いた医療技術です。
- 薬機法とは「医薬品、医療機器などの品質、有効性及び安全性の確保などに関する法律」の略称です。医薬品や医薬部外品、化粧品などの品質・有効性・安全性を確保するため、開発・承認・製造・販売・広告などを規制しています。
先進医療を受ける際の注意点
条件を満たす必要がある
先進医療は希望すれば誰でも受けられる治療・手術ではありません。患者本人の希望に加えて、医師がその必要性と妥当性を認めることが前提となります。
対応している医療機関が限られている
先進医療は、全ての病院で受けられるわけではなく、厚生労働省が承認した特定の医療機関のみが提供しています。都道府県によっては、先進医療に対応する医療機関がない場合もあります。
例えば、がん治療の先進医療である「重粒子線治療」の場合、2026年1月1日現在で対応している治療施設は全国に7か所のみです。また、「陽子線治療」に対応している治療施設は20か所であり、「重粒子線治療」と「陽子線治療」の両方を受けられる施設はそのうち1か所しかありません。
お住まいの地域に対応する医療機関がない場合は、遠方への移動や宿泊が必要となることも考えられます。
すぐに受療できるとは限らない
先進医療は予約が混み合うため、待ち期間が発生する場合があります。また、治療の適応条件を満たし、医師からの紹介が必要な場合もあります。
事前の検査や準備期間を含めると、治療開始までに時間がかかることを考慮しましょう。
費用が高額になりやすい
先進医療を受療する際は、高額な医療費が必要となるケースがあります。厚生労働省の「先進医療の実績報告」(2024年度)によると、重粒子線治療は1件あたり約314万円、陽子線治療は約268万円の費用がかかります。治療内容によって金額は異なるため、事前に確認しましょう。
専門家からのアドバイス
先進医療にかかる費用は自己負担ですが、診察・検査・投薬・入院など、通常の治療と共通する部分の費用は保険診療扱いになります。保険診療部分の自己負担割合は1~3割です。
保険診療部分には「高額療養費制度」が適用されるため、自己負担額が上限を超えた場合は払い戻しを受けられます。また、医療費控除は保険診療分だけでなく、先進医療分についても対象になります。確定申告の際には領収証が必要になるため、必ず保管しておきましょう。
高額療養費制度について詳しくはこちら
高額療養費制度とは? 医療費負担を軽減する仕組みを分かりやすく解説先進医療への備え方
高額な医療費への備えが必要
先進医療にかかる費用は全額自己負担となるため、数百万円単位の費用が必要になることもあります。急な治療が必要になった場合、家計への負担は大きくなります。
がんなどの病気は誰でもかかり得るものです。治療の選択肢を狭めないためにも、事前に万一に備えることが大切です。
先進医療特約の活用
生命保険会社の中には、先進医療にかかる費用をカバーするため、オプション(特約)として「先進医療特約」を販売している会社もあります。
先進医療特約の大きなメリットは、少ない保険料負担で大きな保障を得られることです。
先進医療にかかった技術料が、各生命保険会社で定められた上限額の範囲内で実費給付されます。
例えば、先進医療の代表的な治療として、がん治療の「重粒子線治療」や「陽子線治療」などがありますが、これらを受ける場合も対象となります。
なお、先進医療特約の保障上限額は保険会社や保険商品によって異なるため、必ず事前にご確認ください。
医療保障の見直しのタイミング
現在ご加入の生命保険に先進医療特約が付加されているかを確認しましょう。
先進医療は、定期的に新しい技術が承認されます。逆に、一定の効果や安全性が認められて公的医療保険(保険診療)に移行した場合や、十分に効果が認められなかった場合、除外されるケースもあります。したがって、加入時だけではなく、定期的に先進医療の対象が変わっていないかを確認することも大切です。
まとめ
先進医療は高度な医療技術ですが、費用は全額自己負担となり、対応する医療機関も限られています。2026年1月1日現在、70種類の先進医療が承認されており、多くの方ががん治療などで利用しています。
例えば、がん治療の「重粒子線治療」や「陽子線治療」は高額であり、突然治療が必要になった場合には大きな経済的負担が生じます。
万一の備えとして、先進医療特約に加入しておくことで治療の選択肢を広げることができます。医療保障を見直す際には、先進医療への備えもあわせて検討しましょう。
- 社会保障制度に関わる記述は、2026年1月1日現在の社会保障関係法令等に基づき記載したものです。今後、社会保障制度が変わる場合もあります。
- 本記事に記載している先進医療や医療制度に関する内容は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の治療法の有効性・安全性・治療結果を保証するものではありません。
先進医療の対象となる治療内容や適応可否、費用、対応医療機関は、患者の状態や医師の判断、医療機関の体制等により異なります。
実際に治療を受ける際には、必ず主治医や医療機関の説明を受け、最新の公的情報をご確認ください。
この記事の監修

2級ファイナンシャル・プランニング技能士、マネーライター、証券外務員一種資格保有田尻宏子(たじり ひろこ)
証券会社、生命保険会社、銀行など複数の金融機関での勤務経験後、2016年から主に生命保険、損害保険、株式投資、ローン、相続関連等の金融分野専門のライターとして活動中。お金の初心者から上級者向けに幅広く執筆。
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