育休手当(育児休業給付金)はいつ・いくらもらえる? 仕組みや申請方法・手順を徹底解説
- 公開日:
- 2026.02.16
子どもの誕生は大きなライフイベントです。ご家族が増える喜びとともに、新生活への期待に胸を膨らませる方も多いでしょう。
一方で、育児休業(以下、「育休」という。)中に働けなくなり収入が減少することに不安を感じる方もいます。
そんなときに頼りになるのが「育児休業給付金(以下、「育休手当」という。)」です。
この記事では、育休手当の仕組みから申請方法・手順までを分かりやすく解説します。
そもそも育休手当とは?
育休手当は、育児中の生活を支えるための給付金です。
最初に、制度の概要と支給の仕組みを解説します。
育休手当の基本と出産手当金との違い
労働者には、育休を取得する権利が法律で定められています。
一般的なケースは、原則1歳未満の子どもの養育のため、「育休を取得して育児を行う」ことになります。
育休中は会社に在籍していても働いていないので、基本的に給与の支払いはありません。独自の手当を支給する企業もありますが、まだまだ少数です。
このような状況を受け、育休中の生活を支えるために「育休手当」があります。この制度は雇用保険法で定められています。
育休手当は、出産の翌日から数えて57日目から始まる育休期間が支給対象となります。
では、56日目までの期間はどうなるのでしょうか。この期間は「出産手当金」でカバーされています。
出産手当金は育休手当と混合されやすい制度ですが、健康保険法で定められた給付金で、出産のために休業している期間が対象です。
具体的には、出産日(出産が予定日より後になった場合は、出産予定日)の42日前(多胎妊娠の場合は98日前)から出産日の翌日以降56日までの間が支給期間となります。
- 民法の規定上、誕生日の前日をもって満年齢に達したとみなされるため、「1歳に達する日の前日まで」とは1歳の誕生日の前々日までを指します。
支給元は会社じゃない? 雇用保険の仕組み
育休手当は「育休中に会社からもらう給与」だと誤解している方もいるかもしれません。
しかし、育休手当の支給元は勤務先ではなく、雇用保険(失業や育児休業などの際に給付を受けられる公的保険制度)です。雇用保険は事業主と労働者が保険料を折半し、国が運営する制度です。つまり、育休手当の財源は、会社と従業員が半分ずつ負担していることになります。
申請は勤務先を通じて行いますが、審査や振り込みなどの対応をするのはハローワークです。公的な保険の給付なので、どの会社に勤めていても申請の基本的な仕組みは変わりません。
育休手当の「条件・金額・期間」を徹底解説
ここでは、育休手当を受け取るための条件、金額の計算方法、支給期間について具体的に解説します。制度を正しく理解し、スムーズな申請に備えましょう。
育休手当を受け取るための3つの条件
厚生労働省によると、育休手当を受け取る条件は次の3つです。
- 1歳未満の子どもを養育するために育休を取得した被保険者である(2回まで分割取得可能)
- 育休を開始した日の前日から遡って2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は、就業した時間数が80時間以上の)月が12カ月以上ある
- 一支給単位期間中(※)の就業日数が10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)以下である
- 支給単位期間:育休を開始した日から起算した1カ月ごとの期間(その1カ月の間に育休終了日を含む場合は、その育休終了日までの期間)を指します。
育休は、当該休業に係る子が1歳(いわゆるパパ・ママ育休プラス制度を利用して育児休業を取得する場合は1歳2カ月。さらに保育所における保育の実施が行われない等の場合は1歳6カ月または2歳)に達する日までの期間に、育児を行うために会社を休める制度になります。
なお、育休開始時点において、有期雇用労働者の場合は、養育する子どもが1歳6カ月に達する日までの間(保育所が決まらないなどの理由で、子どもが1歳6カ月に達する日後の期間も育休を取得する場合は、2歳に達する日までの間)に、労働契約期間(労働契約が更新される場合は更新後のもの)が満了することが明らかでないことも支給要件となります。
性別や雇用形態にかかわらず、これらの条件を満たせば支給が受けられます。
条件2つ目の賃金支払基礎日数は、育休を開始した日の前日から遡って2年間のうち、1カ月に11日以上給与支払いの対象となる日数が12カ月以上あれば、連続していなくても問題ありません。
なお、第1子の育休やご本人の病気などで30日以上賃金の支払いを受けることができなかった期間がある場合は、最大4年間まで遡って計算することが可能です。
専門家からのアドバイス
出産後の育児は、夫婦で協力して行うことが求められます。
産後パパ育休は、出生日(または出生予定日)から8週間以内(※)に最大4週間(28日間)取得できる制度で、出生時育児休業給付金も受け取ることができます。
なお、産後パパ育休に続けて通常の育休を取得することもできますので、夫婦で育休取得のタイミングを調整し、協力しながら子育てを進めていきましょう。
- 「子どもの出生日または出産予定日のうち早い日」から「子どもの出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間を指します。
【シミュレーション】支給額の計算方法と目安
では、育休手当はいくら受け取れるのでしょうか。目安は以下のように分かりやすくなっています。ぜひ覚えておきましょう。
- 育休開始から180日目まで:休業開始時賃金日額×支給日数×67%
- 育休開始から181日目以降:休業開始時賃金日額×支給日数×50%
例えば、月収25万円の方であれば、育休開始から180日目までは16万7,500円、181日目以降は12万5,000円が支給されます。
具体的な計算は、以下の手順で行います。
ステップ1:休業開始時賃金日額を計算する
まず、1日当たりの賃金額を算出します。
育休開始前6カ月間の賃金の総支給額÷180日=休業開始時賃金日額
ステップ2:月額支給額を計算する
ステップ1で求めた「休業開始時賃金日額」を当てはめ、月額支給額を計算します。
- 育休開始後6カ月間の月額支給額:休業開始時賃金日額×30日×67%
- 育休開始後7カ月目以降の月額支給額:休業開始時賃金日額×30日×50%
なお、賃金の総支給額には残業代や各種手当などを含みますが、ボーナスは含まれません。税金や社会保険料を差し引く前の額面給与で計算します。
また、支給額には上限と下限があります。
休業開始時賃金日額の上限は1万6,110円、下限は3,014円です。
- 2026年1月現在(2026年7月末まで)
例えば、最初の6カ月間の下限の計算式は、次のようになります。
3,014円×30日✕67%≒6万581円
月額での支給額の幅は以下になります。
- 最初の6カ月間(給付率67%):6万581円(下限)~32万3,811円(上限)
- 7カ月目以降(給付率50%):4万5,210円(下限)~24万1,650円(上限)
育休に入る直前の収入が少なかった方も、育休開始後の半年間は少なくとも月額6万円を受け取れる仕組みになっています。
支給期間はいつまで? 延長できるケースも解説
育休手当の支給期間は、原則として子どもが1歳に達する日の前日(※)までです。それまでに職場に復帰した場合は、復職した日の前日までが支給対象日となります。
- 民法の規定上、誕生日の前日をもって満年齢に達したとみなされるため、「1歳に達する日の前日まで」とは、1歳の誕生日の前々日までを指します。
夫婦で育休をとる「パパ・ママ育休プラス」を利用すると、1歳2カ月に達する日まで受給可能です。
また、保育所に入れない場合や、主に子どもの養育を行っている配偶者が病気などで育児ができないといった場合は、最長で子どもが2歳になった日の前日まで支給期間を延長できます。
ただし、延長には申請が必要です。復職時期や保育園の申し込み状況に合わせ、早めに手続きしておくと安心です。
申請から受給までの5ステップ
育休手当をスムーズに受け取るには、申請の流れを正しく理解し、期限を守ることが大切です。大きく分けて、次の5ステップがあります。
ステップ1:育休取得を勤務先へ申し出
ステップ2:必要書類の準備
ステップ3:勤務先からハローワークへ申請
ステップ4:支給決定
ステップ5:受給
勤務先への申し出と必要書類の用意(ステップ1~2)
1つ目のステップとして、育休を取得する旨と休業予定期間を勤務先に伝えます。
育児・介護休業法上、休業開始予定日の1カ月前までに申し出るのが原則となっています。ただ、就業規則で申請期限がそれよりも前に定められている場合もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
2つ目のステップは、必要書類の準備です。勤務先の担当部署の指示に従い、社内の申請書や必要書類である母子健康手帳のコピーなどを用意します。
勤務先は、ハローワークへ提出する育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書や雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書などを準備します。
育休手当の申請は会社経由で行うため、担当部署との連携が大切です。出産日が予定より早まることもあるので、早めの準備が安心につながります。
申請から支給決定と受給時期(ステップ3~5)
3つ目のステップで、勤務先がハローワークに申請書類を提出します。
本人が行うことは特にありませんが、担当部署から確認や追加の書類提出を求められたら、速やかに対応しましょう。なお、ハローワークへの提出期限は、育休開始日から4カ月後の月末までです。
4つ目のステップで、申請を受けたハローワークが、条件や支給額などの審査を行います。
問題がなければ支給が決定し、「育児休業給付金支給決定通知書」が発行され、勤務先経由で本人に届きます。
5つ目のステップで、受給となります。初回の支給は申請から1~2カ月後が目安です。以降、原則として2カ月ごとに支給されます。
初回の支給は審査に時間がかかることがあります。支給に時間を要しても生活に支障がないように生活資金を確保しておくと安心です。
専門家からのアドバイス
育休手当の申請は、基本的に勤務先が行います。本人が準備する書類は、母子健康手帳のコピー(出生届出済証明のページおよび分娩予定日が記載されたページ)や住民票など、育児出生の事実や出生日を確認するための書類です。
勤務先の担当部署から指示がありますので、早めに準備しておきましょう。
なお、特別な事情がある場合は本人が直接ハローワークに申請することもできます。
よくあるご質問と回答
育休中に会社から給与が支払われた場合、育休手当はどうなりますか?
育休中に会社から給与が支払われた場合、その金額によって育休手当の支給額が調整されます。
支払われた賃金が休業開始前の給与の13%以下であれば育休手当は満額受給できますが、80%以上になると育休手当は支払われません。
育休中に会社の福利厚生で手当が支給されたり、一時的に働いて給与が支払われたりする場合は、金額を確認しておきましょう。
まとめ
育休手当の申請は、勤務先と連携して行います。
初回の支給は申請から約1~2カ月後になるため、それまでの生活費も見込んでおきましょう。
支給額は休業前の給与を基に計算され、休業開始から半年間は67%、その後は50%が支給されます。
育休は、子どもとの時間に専念できる貴重な機会です。ご家族の新しい生活を安心してスタートできるよう、育休手当を活用していきましょう。
- 社会保障制度に関わる記述は、2026年1月1日現在の社会保障関係法令等に基づき記載したものです。今後、社会保障制度が変わる場合もあります。
この記事の監修

2級ファイナンシャル・プランニング技能士、マネーライター、証券外務員一種資格保有田尻宏子(たじり ひろこ)
証券会社、生命保険会社、銀行など複数の金融機関での勤務経験後、2016年から主に生命保険、損害保険、株式投資、ローン、相続関連等の金融分野専門のライターとして活動中。お金の初心者から上級者向けに幅広く執筆。
多くのお客さまに選ばれ続けて、マザーズセレクション大賞2025受賞
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