公的年金制度とは? 仕組みや支給額などの基本を解説
- 公開日:
- 2026.01.27
老後の生活を支える重要な収入源となるのが「公的年金制度」ですが、どういう仕組みなのか、年金はいつから、いくらもらえるのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
また、公的年金だけでは生活費を十分に確保できない場合もある、という声を聞くこともあります。将来の資金計画のためには、制度の仕組みや支給額の目安を知っておくことも大切です。
本記事では、公的年金制度の基本的な仕組みから支給額の目安、さらに年金に加えて老後資金を準備する方法を解説します。
公的年金制度とは
日本の公的年金制度は、全ての国民が加入する「国民年金(基礎年金)」と、会社員や公務員などが加入する「厚生年金」の2階建て構造になっています。まずは、この基本的な仕組みを理解しましょう。
公的年金制度の仕組み
日本の公的年金は「2階建て構造」と呼ばれる仕組みになっています。
1階部分:国民年金(基礎年金)
日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての方に加入義務があります。学生、自営業者、会社員、公務員など職業を問わず同じ年金制度が適用されます。年金の受給開始年齢になったら「老齢基礎年金」として受け取ることができます。
2階部分:厚生年金
会社員や公務員などが加入する年金制度です。厚生年金の加入者は、国民年金にも加入しているため、年金の受給開始年齢になったら「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の両方を受け取ることができます。
保険料の負担
国民年金の保険料は、収入に関わらず一律で1万7,510円/月です(2025年度時点)。
厚生年金の保険料は、標準報酬月額(賞与の場合は、標準賞与額)×18.3%で算出され、会社と従業員が折半して負担します。
会社員の場合、給与明細を見ると厚生年金の保険料が引かれていますが、実際には会社も同額を負担しているので、自己負担は保険料全体の半額になります。
それぞれの年金の運営はどこがしている?
国民年金、厚生年金ともに国(厚生労働省)が管理しています。なお、日本の公的年金制度は「賦課(ふか)方式」という仕組みを採用しています。賦課方式とは、現役世代が納める保険料を財源として、現在の年金受給者へ年金を支払う方式です。
自分が納めた保険料を積み立てるのではなく、世代間で支え合う仕組みになっているのが特徴です。
受給開始年齢
国民年金や厚生年金は、原則として65歳から受給できます。
ただし、希望する場合は受給開始年齢を変更することも可能です。繰り上げ受給を選択すれば、60歳から64歳の間に受給開始時期を早めることができますが、受給額は減額されます。
一方で、繰り下げ受給を選択すると、受給開始時期を66歳から75歳の間に遅らせることになりますが、受給額は増額されます。
繰り上げ・繰り下げの判断は、ご自身の生活状況や健康状態等に合わせて検討することをおすすめします。
年金の受給開始年齢や繰り上げ・繰り下げ受給について詳しくはこちら
年金はいつから受け取れる? 受給開始の年齢や繰り上げ・繰り下げ受給について解説専門家からのアドバイス
国民年金の保険料額は、2004年の制度改正で決定した国民年金保険料額(1万3,580円)をもとに、物価・賃金の伸びに応じて決定しています。
物価変動率などを反映して国民年金保険料額を算出しており、例えば2019年度は1万6,410円、2025年度は1万7,510円の保険料額となっています。国民年金保険料額の見直しは毎年度行われるため、確認しておきましょう。
老齢年金の支給額はいくら?
老齢年金の支給額は、加入期間や働いている期間の給与によってそれぞれ異なります。自分がどれくらい年金を受け取れるのか、確認する方法をみていきましょう。
老齢基礎年金の支給額
老齢基礎年金は、40年間(480カ月)保険料を納付した場合に満額を受け取ることができます。加入期間(保険料納付期間)に応じて支給額が計算されるため、未納期間があると減額されます。未納期間がある場合は、将来の年金額に影響が出る可能性があるため注意してください。
老齢厚生年金の支給額
老齢厚生年金は、老齢基礎年金に上乗せされる形で支給され、支給額は次の項目で決まります。
- 加入期間(被保険者期間)
- 平均給与(標準報酬月額)
加入期間や平均給与によって、受給額に差が生じます。
自分の年金額を確認する方法
具体的な金額は、加入期間や平均給与によって異なりますが、自分の年金見込額を確認するには、次の方法があります。
- ねんきん定期便で確認
- ねんきんネットで試算
- 公的年金シミュレーターで試算
- 日本年金機構が管理する年金事務所で相談
毎年の誕生月に届く「ねんきん定期便」では、年齢によって確認できる内容が異なります。
- 50歳未満:これまでの加入実績に応じたご自身の年金額
- 50歳以上:将来受け取れる老齢年金の種類と見込額
日本年金機構が管理する「ねんきんネット」に登録すれば、いつでもオンラインで年金記録の確認や将来の年金額の試算ができます。
また、厚生労働省の「公的年金シミュレーター」でも、生年月日・働き方・年収などを入力するだけでおおよその年金額を試算できます。
具体的な相談や疑問点がある場合は、日本年金機構が設置しているお近くの「年金事務所」にご相談ください。
専門家からのアドバイス
国民年金の保険料を支払っていなかった時期がある場合、追納できる場合もあります。追納できる期限が決まっているため、よく確認しておきましょう。
- 学生納付特例など、納付猶予の承認を受けた場合
保険料の納付期限(原則翌月末)から10年以内であれば追納可能 - 特に申請等をしていない場合
納付期限(納付対象月の翌月末日)から2年以内(2年を超えると納付はできません。)
老後資金への備え方
国民年金や厚生年金などの公的年金は、老後生活の基盤となる重要な資金源です。ただ、老後の生活設計や必要な資金は個人の状況によって異なるため、公的年金に加えて他の備え方を検討することも大切です。公的年金以外にも、老後資金を準備するさまざまな方法があります。ご自身に合った備え方を検討してみましょう。
私的年金(企業年金やiDeCoなど)
公的年金に上乗せして、私的年金で備える方法もあります。
企業年金
企業年金とは、会社が従業員のために用意する年金制度のことです。主な企業年金としては次の2つがあげられます。
- 企業型確定拠出年金(DC)
毎月の掛金額は決まっているが、将来の受取金額は運用の成果次第。従業員が自分で運用商品を選択するため、運用リスクも従業員が負担 - 確定給付企業年金(DB)
将来受け取れる年金額があらかじめ決まっている。運用リスクも企業が負担
日本の年金は国民年金と厚生年金による「2階建て構造」と呼ばれていますが、企業型確定拠出年金や確定給付企業年金はこれらに追加できる3階部分です。
企業年金の導入については、会社ごとに異なるため勤務先に確認しましょう。
個人年金保険
生命保険会社が提供する個人年金保険は、所定の期間、保険料を払い込むと、受取開始年齢から一定期間、もしくは一生涯にわたり年金を受け取ることができます。
なお、年金受け取り前に万一のことがあった場合は、払い込んだ保険料から死亡給付金が給付される個人年金保険もあります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
自分で掛金の拠出、運用を行う年金制度です。掛金は全額所得控除の対象となり、運用益も非課税になるなどの税制優遇があります。
運用商品を自分で選べるメリットはありますが、商品によっては元本割れのリスクもあるので、ご自身のリスク許容度や目的に応じてご検討ください。
また、原則として60歳に到達するまで掛金として積み立てたお金を引き出せない点にも、注意が必要です。
働きながら年金を受け取る
65歳以降も働き続けることで、収入を確保しながら年金を受け取ることができます。在職老齢年金制度を活用すれば、働きながらでも年金の受給が可能になります。
近年は、定年後も再雇用などで働く方が増えており、収入を得ながら老後資金を準備するケースも多いです。
ただし、収入が多いと「老齢厚生年金」の一部または全部が支給停止(減額)される仕組みとなっています。例えば、60歳~64歳の場合、年金と賃金(標準報酬月額+直近1年間の賞与の1/12)の合計額が「月28万円」を超えると、超過分の1/2が年金から減額されます。働きながら年金を受け取る場合は、収入金額によって年金が減ってしまう可能性があるため、注意しましょう。
保険で保障を確保しながら資金準備
保険には、万一のときの保障を確保しながら資金準備できる商品もあります。
例えば、「養老保険」の場合、一定期間の保障を確保しつつ、満期を迎えると、満期保険金を受け取ることができます。満期となる年齢を1歳きざみで選択できる商品もあるため、ご自身のライフプランに合わせて準備することも可能です。
ここまで紹介したとおり、老後資金への備え方は複数あります。それぞれの備え方を確認し、ご自身のライフプランにあわせてより安心な備えをしていきましょう。
専門家からのアドバイス
貯蓄・投資・保険など、老後資金の備え方はさまざまありますが、中には「増える可能性もあるが、元本割れのリスクもある商品」もあります。リターンの高さだけでなく、資産が減るリスクも考慮して検討しましょう。
まとめ
公的年金制度の仕組みと支給額を理解することで、老後資金の不足額を計算することができます。不足分を早めに把握しておくことで、将来の生活費等をどのように備えるか具体的な対策を立てやすくなります。
老後の生活設計や必要な資金は個人の状況によって異なります。将来に向けて、公的年金に加えて貯蓄や資産運用、養老保険や個人年金保険など、さまざまな方法を組み合わせて備えることも選択肢の1つです。ご自身のライフプランに合わせてご検討ください。
- 本記事の社会保障制度に関わる記述は、2026年1月1日現在の社会保障関係法令等に基づき記載したものです。今後、社会保障制度が変わる場合もあります。
- 本記事に記載している年金制度・年金額・国民年金保険料・税制等の内容は、執筆時点の制度に基づく一般的な情報提供を目的としたものです。実際の年金額や受給条件は、生年月日・加入期間・報酬額・制度改正の有無等により異なる場合があります。具体的な受給額や手続きについては、日本年金機構(ねんきんネット・年金事務所)等の公的機関で最新情報をご確認ください。
この記事の監修

2級ファイナンシャル・プランニング技能士、マネーライター、証券外務員一種資格保有田尻宏子(たじり ひろこ)
証券会社、生命保険会社、銀行など複数の金融機関での勤務経験後、2016年から主に生命保険、損害保険、株式投資、ローン、相続関連等の金融分野専門のライターとして活動中。お金の初心者から上級者向けに幅広く執筆。
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