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贈与税とは? 仕組み・計算方法のポイントを解説

贈与税の仕組みと計算方法を解説

個人から財産を受け取った場合、「贈与税」の課税対象となることがあります。

贈与税は、確定申告によって自らが申告・納付する必要があります。税制の仕組みを理解していないと税負担が大きくなったり、控除を活用できなかったりと、後悔することにもなりかねません。

今回は、贈与税の基本的なポイントや税率、計算方法、申告の流れについて解説します。

なお、税制に関わる記述は、2026年5月1日現在の税関係法令等に基づき記載したものです。今後、税制が変わる場合もあります。

目次
  1. 贈与税の基本的な仕組み
  2. 贈与税の課税方法
  3. 贈与税を申告する流れ
  4. 将来の安心のために! 知っておきたい生命保険と贈与税の関係
  5. まとめ

贈与税の基本的な仕組み

贈与税の対象となるのは、個人から財産を受け取った場合です。

贈与税を負担するのは原則「財産を受け取った人」で、その年の1月1日から12月31日までの1年間に受け取った贈与財産が対象となります。

複数の人から贈与を受けた場合は、その贈与を受けた合計額が贈与税の対象になるかどうかを判断する必要があります。

もし、贈与税の仕組みを知らなければ、「納めるべき税金を申告・納付していなかった」「想定していたより税金の負担が膨らんでしまった」という事態にもなりかねません。

大切な財産をきちんと受け取るために、税制を正しく理解し、適切な手続きを行う必要があります。

なお、法人から財産を受け取った場合は贈与税ではなく、所得税の対象となります。

贈与税の課税方法

贈与税の課税方法には、「暦年贈与」と「相続時精算課税」の2つの種類があります。贈与を受けた方は、贈与をした方ごとにそれぞれの課税方法を選択することができるため、詳しく確認していきましょう。

暦年贈与

暦年贈与とは、その年の1月1日から12月31日までの1年間に受け取った贈与財産の合計額をもとに贈与税を計算する方法です。

年間110万円の基礎控除があり、受け取った贈与財産の合計から、この110万円を差し引いた金額に対して税金が課されます。

計算式にすると、次のとおりです。

(1年間の贈与財産の合計額-基礎控除110万円)×税率-控除額=税額

また、このとき適用される税率や控除額は、「一般贈与」と「特例贈与」によって異なります。

贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の方が父母や祖父母などの直系尊属(※)から受けた贈与を「特例贈与」、それ以外を「一般贈与」と呼びます。

  • 直系尊属とは、祖父母や父母など自分より前の世代で、直通する系統の親族を指します。

一般贈与

「特例贈与」に当てはまらない贈与は、「一般贈与」が適用されます。

具体的には、夫婦間の贈与やきょうだい間の贈与、親から未成年の子どもへの贈与などです。税率や控除額は次のとおりです。

基礎控除後の課税価格 一般税率 控除額
200万円以下 10% -
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

例えば、1年間に受け取った贈与財産の合計額が500万円の場合、贈与税は次のように計算されます。

(500万円-110万円)×20%-25万円=53万円

特例贈与

一方、贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の方が父母や祖父母などの直系尊属から受けた贈与については、「特例贈与」が適用されます。税率や控除額は次のとおりです。

基礎控除後の課税価格 特例税率 控除額
200万円以下 10% -
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

例えば、父親から500万円の贈与を受けた場合、納める贈与税は次のように計算されます。

(500万円-110万円)×15%-10万円=48万5,000円

一般贈与より特例贈与で受け取った場合に税負担が軽減されていることが分かります。

ただし、夫の父親など「配偶者の親・祖父母」は直系尊属に該当しないため、一般贈与となる(一般税率が適用される)点に注意が必要です。

相続時精算課税

原則として60歳以上の父母・祖父母などから、18歳以上の子・孫などに贈与を行う場合は「相続時精算課税」を選択することもできます。

相続時精算課税とは、特別控除2,500万円(※)までの贈与財産については贈与税を納めず、贈与をした方が亡くなったときに相続財産として繰り入れて相続税を納める制度です。

  • 前年以前において、この特別控除額を既に控除している場合は、その残額が限度額になります。

贈与税の計算方法

相続時精算課税制度でも年間110万円の基礎控除があり、特別控除の2,500万円とは別に差し引くことができます。

税率は一律20%で、贈与税の計算式は次のとおりです。

(「1年間に受け取った贈与財産の合計額-基礎控除110万円」の累計額-特別控除2,500万円)×20%

分かりやすいように、2つの具体例で考えてみましょう。

【ケース1】祖父から毎年300万円を5年間、合計1,500万円の贈与を受けた場合

(300万円-110万円)×5年間=950万円

このケースでは、特別控除の2,500万円の中に収まるため贈与税が発生しません。

【ケース2】祖父から毎年700万円を5年間、合計3,500万円の贈与を受けた場合

(700万円-110万円)×5年間=2,950万円

2,950万円-2,500万円=450万円

このケースでは、特別控除を差し引いて残った450万円が課税対象となります。相続時精算課税制度では贈与税の税率が一律20%のため、90万円(450万円×20%)の贈与税を納める必要があります。

相続税の計算方法

贈与をした方が亡くなった際に、相続時精算課税により受け取った財産を相続財産に加算します。加算するのは、毎年の基礎控除110万円を差し引いた金額です。

先ほどの例では、ケース1では相続財産に950万円を加算、ケース2では2,950万円を加算して相続税の対象とします。

また、ケース2のように受け取った贈与財産が特別控除の2,500万円を超えて贈与税を納めた場合は、その納めた税額を相続税から控除することが可能です。

ADVICE

専門家からのアドバイス

相続時精算課税制度を利用するためには、最初に贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日の間に、納税地の所轄税務署へ「相続時精算課税選択届出書」と必要書類を提出する必要があります。

このとき注意したいのが、相続時精算課税選択届出書を一度提出すると暦年贈与との併用ができず、後から暦年贈与へ変更することもできなくなる点です。

直系尊属から贈与を受ける場合は、暦年贈与と相続時精算課税のどちらを選ぶべきか慎重に検討しましょう。

贈与税を申告する流れ

贈与税は、贈与により財産を受け取った翌年2月1日から3月15日の間に申告・納付する必要があります。

e-Taxを利用すれば、スマートフォンとマイナンバーカードで確定申告を行うことができるため、税務署へ出向く必要はありません。

もし受け取った金額を誤って少なく申告したり、納付期限を過ぎたりすると、加算税や延滞税が課される場合があります。必ず期限内に贈与税を正しく納めるようにしましょう。

なお、1年間に受けた贈与の合計額が110万円以下の場合は贈与税の課税対象とならず、申告手続きも不要です。

ADVICE

専門家からのアドバイス

「1年間に受けた贈与の合計額が110万円以下なら申告不要」という原則には例外があります。

例えば、相続時精算課税制度を選択する場合や、配偶者控除などの特例を適用したい場合には、納税額が生じなくても申告が必要です。

金額だけで判断せず、「制度を利用するかどうか」によって申告義務が変わる点に注意しましょう。

贈与は将来の相続にも影響するため、不安がある場合は、早めに税務署へ問い合わせるか、国税庁の公式サイトで確認しておきましょう。

将来の安心のために! 知っておきたい生命保険と贈与税の関係

生命保険では、契約者と被保険者、受取人の関係によって贈与税の対象となるケースがあります。

「満期・生存保険金」「死亡保険金」「個人年金」の各ケースについてご紹介します。

満期・生存保険金を受け取ったとき

満期・生存保険金では、実際に保険料を負担した契約者と異なる方が受取人となる場合に、贈与税の対象となります(契約者と満期・生存保険金の受取人が同一である場合は、所得税・住民税の対象となります)。

具体的には、次のようなケースです。

契約者 被保険者 満期・生存保険金受取人

この場合、受け取った満期・生存保険金から基礎控除の110万円を差し引いた残りの金額に対して贈与税が課されます。

死亡保険金を受け取ったとき

死亡保険金では、契約者と被保険者、受取人がそれぞれ異なり、契約者の生存中に死亡保険金を受け取った場合に贈与税が課されます。

契約者 被保険者 死亡保険金受取人

死亡保険金と聞くと相続税の対象となるイメージがあると思いますが、契約内容によっては贈与税の対象となる点に注意が必要です。

死亡保険金が贈与税の対象になるケースでも、受け取った死亡保険金から基礎控除の110万円を差し引いた残りの金額に対して贈与税が課されます。

個人年金保険の年金を受け取ったとき

個人年金保険では、保険料を負担する契約者と被保険者(年金受取人)が異なる場合に贈与税が課されます。

契約者 被保険者(年金受取人)

ただし、贈与税がかかるのは年金が開始した最初の年のみで、2年目以降は雑所得として所得税や住民税の対象となります。

最初の年の課税対象となるのは「年金受給権の権利評価額(※)」で、基礎控除の110万円を差し引いた金額に贈与税が課されます。

  • 年金受給権の権利評価額とは、相続税または贈与税が課される場合に、その課税の基礎となる価額について、相続税法の定めに従い計算した金額のことです。
ADVICE

専門家からのアドバイス

生命保険への課税は、受取人だけを見て判断すると課税される税金を間違える場合があります。同じ保険金への課税でも贈与税、相続税、所得税や住民税に分かれます。

特に個人年金は、初年度のみ贈与税、その後は所得税に切り替わります。契約時点で将来の税負担のことも考えて加入するようにしましょう。

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まとめ

贈与税は、個人から贈与財産を受け取った方が納める税金です。

申告を行わなかったり、期限を過ぎてしまったりした場合は、加算税や延滞税などのペナルティが課されるため、税制について正しく理解しておく必要があります。

また、生命保険の保険金についても、契約者・被保険者・受取人の関係によっては贈与税の対象となる場合があるため注意が必要です。

生命保険に加入する際は、将来の受取時にどのような税金が発生するか事前に確認し、安心して備えられる契約内容になるように検討してください。

  • 税理士法において、税理士または税理士法人以外の者が税務に関し個別具体的な説明をすることは禁じられています。税務に関わる個別の取り扱いについては、所轄の税務署などにご連絡ください。

この記事の監修

監修者新井さんの顔写真

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員新井智美(あらい ともみ)

マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。現在年間200本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績は3,500本を超える。

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