税金の基本と全体像| 税金の種類と主な控除制度を分かりやすく解説
- 公開日:
- 2026.08.28
収入を得たときや買い物をしたとき、資産を取得したときなどに税金の負担が生じることがあります。そのため、税金は私たちの日常生活に深く関わっています。
税金にはさまざまな種類があるため、「制度が複雑でよく分からない」「自分はどのような税金を支払っているのだろう?」と疑問に感じる方も多いでしょう。
税金の全体像を把握することで、自分に関係する税金や活用できる控除制度を理解しやすくなります。
この記事では、税金の種類や税負担を軽減する方法を紹介します。
税金の種類は大きく3つ|全体像を把握しましょう
税金はおよそ50種類あり、大きく「所得にかかる税金」「消費にかかる税金」「資産にかかる税金」の3つに分けることができます。
どのような税金があるのか、確認しましょう。
所得にかかる税金
所得にかかる主な税金は、次のとおりです。
- 所得税
- 法人税
- 住民税
- 事業税
例えば、会社員が勤務先から受け取る給与は、所得税や住民税の対象です。
受け取った給与にかかる所得税には「累進課税制度」が採用されており、所得が多くなるほど税率が高くなります。
多くの会社員は、「源泉徴収」「特別徴収」により給与からあらかじめ税金が差し引かれ、勤務先を通じて納税しています。
なお、給与から差し引かれている所得税や住民税は、給与明細で確認できます。「自分がどれくらいの税金を納めているか分からない」という方は、一度確認しましょう。
所得税や年収別の所得税額に関する記事はこちら
所得税はいくら? 早見表で分かる! 年収別の所得税額消費にかかる税金
消費にかかる主な税金は、次のとおりです。
- 消費税
- 酒税
- 揮発油税(ガソリン税)
- 関税
- 自動車に関する税金
私たちの生活と特に関わりが深いのが、商品を購入したり、サービスを受けたりするときに課される消費税です。
2026年5月1日現在、消費税には「標準税率10%(消費税率7.8%、地方消費税率2.2%)」と「飲食料品などに適用される軽減税率8%(消費税率6.24%、地方消費税率1.76%)」の2つの税率があり、取引の内容に応じて税率が異なります。
資産にかかる税金
資産にかかる主な税金は、次のとおりです。
- 相続税
- 贈与税
- 登録免許税
- 印紙税
- 不動産取得税
- 固定資産税
- 自動車税、軽自動車税
住宅を購入するときは、資産にかかる税金を確認しましょう。
まず、住宅を購入したときは、登録免許税や印紙税、不動産取得税などの税金を納める必要があります。
また、住宅の購入後は毎年固定資産税を納めます。固定資産税はまとまった金額になることもあるため、計画的に納付の準備をしておくことが大切です。
専門家からのアドバイス
自動車を所有している場合、自動車税は、毎年1回、5月末日までに納める必要があります。
また、贈与税は、財産を受け取ったときではなく、受け取った翌年の2月1日から3月15日の間に申告・納税する必要があります。
- 期限日が土・日・休日にあたる場合は、その翌日が納期限となります。
このように、納税の時期をあらかじめ確認しておき、事前に備えておくと、計画的に税金を納付できます。
贈与税について詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです。
贈与税とは? 仕組み・計算方法のポイントを解説国税・地方税の種類と特徴
税金は、納付先によって「国税」と「地方税」に分けられます。
| 区分 | 国税 | 地方税 |
|---|---|---|
| 課税主体 | 国 | 地方公共団体 |
| 主な税金 | 所得税 法人税 消費税 相続税 贈与税 登録免許税 |
住民税 事業税 地方消費税 不動産取得税 固定資産税 自動車税、軽自動車税 |
表のとおり、国に納める税金を「国税」、地方公共団体に納める税金を「地方税」と言います。
なお、地方税は各自治体が主体となって課税するため、同じ種類の税金でも自治体によって税負担が異なる場合があります。
例えば、住民税は基本的にどの自治体でも一律の税率が課されていますが、税率を上乗せしている自治体もあります。地域ごとに違いがある点が特徴です。
- もっとも、個人住民税の所得割は標準税率を10%としている自治体が多く、自治体間で大きく異なるわけではありません。
専門家からのアドバイス
「国税」と「地方税」は、それぞれ財源としての使い道が異なります。
国税は、年金や医療、防衛など、国全体を支える財源として使われています。
一方、地方税は、教育やごみ処理、消防・救急など、暮らしに身近な行政サービスを支えるための財源として使われています。
税金の負担を軽減する制度もチェック
税負担を軽減するためには、控除制度を理解しておくことが大切です。
ここでは、税負担を軽減する主な控除制度を3つ紹介します。
生命保険料控除
生命保険料控除とは、契約者(保険料負担者)がその年(1月1日から12月31日までの間)に払い込んだ保険料を、一定金額までその年の所得から差し引くことができる制度です。
現行の生命保険料控除(新制度)には保険の種類に応じて「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3つの区分があり、区分ごとに払い込んだ保険料に応じて控除額が設定されています。所得税と住民税の控除額の計算方法は、次のとおりです。
<所得税の控除額計算方法>
| 年間の払込保険料等 | 所得税の控除額 |
|---|---|
| 2万円以下 | 払込保険料等の全額 |
| 2万円超~4万円以下 | 払込保険料等×1/2+1万円 |
| 4万円超~8万円以下 | 払込保険料等×1/4+2万円 |
| 8万円超 | 一律4万円 |
<住民税の控除額計算方法>
| 年間の払込保険料等 | 住民税の控除額 |
|---|---|
| 1万2,000円以下 | 払込保険料等の全額 |
| 1万2,000円超~3万2,000円以下 | 払込保険料等×1/2+6,000円 |
| 3万2,000円超~5万6,000円以下 | 払込保険料等×1/4+1万4,000円 |
| 5万6,000円超 | 一律2万8,000円 |
この控除は、「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」のそれぞれに適用され、所得税は合計で最大12万円、住民税は合計で最大7万円の控除を受けられます。
2026年(令和8年)分の所得税については、居住者に23歳未満の扶養親族を有するご契約者の一般生命保険料控除の控除限度額が、4万円から6万円に引き上げられます。詳細は次の記事でも解説していますので、併せてご確認ください。
生命保険料控除について詳しくはこちら
生命保険料控除の基本| 控除の区分や税金の軽減効果についても解説医療費控除
医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費の自己負担額が10万円を超えたとき(総所得金額等が200万円未満の場合は、総所得金額等の5%を超えたとき)に利用できる所得控除制度です。
この医療費には、自身の医療費だけでなく、生計を一にするご家族のために支払った分も含まれます。医療費の負担が大きくなったときは、この制度が活用できないか確認してみましょう。
住宅ローン控除
住宅ローン控除とは、住宅ローンなどを利用して住宅を購入した場合や、リフォームを行った場合に、年末のローン残高に応じた金額を所得税から控除できる制度です。
控除の対象となるのは年末時点の住宅ローン残高の0.7%です。例えば、2,000万円の住宅ローン残高がある場合、14万円が所得税から控除されます。
このとき、所得税から控除しきれなかった金額は、一定額を翌年度の住民税から控除できる場合があります。
また、住宅の種類や世帯の状況により借入限度額(控除対象となる住宅ローンの最大金額)や控除期間が異なり、環境に配慮された住宅や子育て世帯、若年層の方などは、より優遇を受けられる制度です。
例えば、通常の既存住宅の控除期間は10年、借入限度額は2,000万円ですが、新築の長期優良住宅・低炭素住宅は、控除期間が13年、借入限度額は4,500万円(子育て世帯の場合は5,000万円)となります。
なお、住宅ローン控除の適用を受ける最初の年は、確定申告を行う必要があります。初回の手続きは必要書類も多いため、計画的に準備してください。
年末調整の対象となる給与所得者の場合、2年目以降は年末調整で控除が受けられます。
専門家からのアドバイス:医療費控除の交通費について
医療費控除の対象には、治療を受けたときに支払う費用だけでなく、通院にかかる交通費(※)も含まれます。
- 電車やバスなどの公共交通機関が対象であり、タクシー代(病状からみて急を要する場合や、公共交通機関を利用できない場合を除く)や自家用車で通院する場合のガソリン代、駐車場の料金などは、控除の対象に含まれません。
控除制度の詳細を把握しているかどうかで、税負担の軽減効果に差が生じます。最新情報をきちんと確認しておきましょう。
将来の税負担に備えるために
税負担は、ライフステージや社会情勢によっても変化します。
将来の税負担に備えるためには、現行の制度を活用しつつ、税金に関する知識を更新していくことが大切です。
私たちが納める税金は、先ほど紹介した控除制度などを活用することで負担を軽減できます。
重要なのは、「制度を知らなければ活用できない」という点です。
例えば、毎年10万円以上の医療費を支払っていたとしても、医療費控除について知らなければ、確定申告をしていない可能性があります。
このように、必要な手続きをしなければ適用されない制度も多いため、自分がどのような税金をどれくらい支払っているのか正しく理解し、その負担を軽減できる控除制度がないかを確認しましょう。
専門家からのアドバイス
控除制度や優遇措置は多岐にわたります。
最新の税制改正情報を確認する習慣を持つことで、将来の税負担軽減につながる知識を習得できます。税負担を適切に把握するために、普段からテレビやインターネットで情報を確認しましょう。
よくあるご質問と回答
自分がどれくらいの税金を納めているか確認する方法はありますか。
所得税は、毎年12月頃に勤務先から受け取る源泉徴収票で確認できます。
住民税は、毎年5月から6月ごろに発行される「税額決定通知書」に記載されており、勤務先を通じて交付されます。
いずれの書類も手元にない場合は、勤務先の給与担当部署に問い合わせる方法のほかに、 マイナポータルで所得情報や住民税を確認することもできます。
ただし、確認できる内容には制限があり、勤務先や自治体の手続き状況によって表示されない情報もあります。
まとめ
税金は、私たちの日々の暮らしに深く関わる制度です。いつ、どのような場面で税金を納める必要があるのか、税金の種類とともに正しく理解しておきましょう。
また、税制は、その時々の経済情勢などが反映されるため、毎年見直しが行われています。
大きな税制改正が行われることも珍しくなく、最近では、NISA制度の改正や所得控除の見直しなどが記憶に残っている方も多いでしょう。
制度を有効に活用していくため、最新の情報に積極的に関心を持ちましょう。
- 税制に関わる記述は、2026年5月1日現在の税関係法令等に基づき記載したものです。税制改正により、記述内容と異なる場合もあります。税理士法において、税理士または税理士法人以外の者が税務に関する事項について、相談に応ずることは禁じられています。税務に関わる個別具体的なご相談については、税理士または所轄の税務署にお問い合わせください。
この記事の監修

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員新井智美(あらい ともみ)
マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。現在年間200本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績は3,500本を超える。
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