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産休とは? 取得条件と期間、出産手当金などを分かりやすく解説

産休とは?

妊娠・出産は、当事者の身体に大きな変化をもたらします。

安心して出産に臨み、産後の回復に専念できる環境づくりを支える制度の1つが、「産前・産後休業(以下、「産休」という)」です。

「休業中の収入はどうなるのだろう」と不安に感じる方もいるでしょう。産休中は、出産手当金の支給や社会保険料の免除など、経済的な負担を軽減する制度もあります。

この記事では、産休の仕組みや対象者、取得できる期間、勤務先での手続き、出産手当金や社会保険料の免除について分かりやすく解説します。

目次
  1. 産休とは? 制度の概要と目的を解説
  2. 産休の対象者と手続き
  3. 産休の期間や出産手当金・社会保険料について確認しよう
  4. 産休後に育休を取得する場合の流れ
  5. よくあるご質問と回答
  6. まとめ

産休とは? 制度の概要と目的を解説

産休とは、労働基準法第65条に基づき、出産前後の女性労働者に認められた休業制度です。

産休は企業の福利厚生制度ではなく、事業規模や就業規則にかかわらず、条件を満たす女性労働者が申請すれば取得できます。

産休の主な目的

産休の主な目的は、次のとおりです。

  • 出産前後の母体の健康を守ること
  • 安全な出産環境を確保すること
  • 産後の回復に専念できるようにすること

産休は「子育てのための休業」ではなく、法律上「出産前後の母体の健康保護を目的とした休業」である点が、育児休業(以下、「育休」という)との大きな違いです。育休との違いについて詳しくは「産休後に育休を取得する場合の流れ」で紹介しています。

産休の対象者と手続き

産休を取得できる方の条件、および取得手続きについて確認しましょう。

産休の取得対象者

産休の対象となるのは、「出産前後の女性労働者」です。

会社に雇われて働く方であれば、勤務先の規模や勤続年数にかかわらず取得できます。

また、正社員だけでなく、次のような雇用形態の方も対象です。

  • 契約社員
  • パート・アルバイト
  • 派遣社員

なお、産休を理由として解雇や雇い止め、減給など、労働者の不利益になる扱いをすることは法律で禁止されています。

派遣社員や有期契約社員が産休を取得する際の注意点

派遣社員の場合でも、派遣元との雇用契約が継続していれば産休を取得できます。

一方で、有期契約社員の場合、産休中の契約満了によって雇用が終了することがあります。なお、雇い止めが違法となるケースもあります。

ただし、後述する出産手当金については、受給中である場合は、条件を満たしていれば退職後も引き続き受給できます。

出産予定日や産休予定期間に雇用契約期間が継続しているかどうか、事前に必ず確認しておきましょう。

産休取得の手続き

産休を取得する場合は、勤務先に産休取得の申し出を行います。

産休取得予定日の1カ月前頃までに、産休申請書や休業届の提出を求める企業が多く見られます。

また、産休中の社会保険や各種手当の手続きについても、一般的には、企業を通して申請します。総務や人事など担当部署に早めに確認しておくと安心です。

特に出産手当金などの給付制度を利用する場合は、必要書類や申請期限を事前に把握しておくことが大切です。

出産手当金について

出産手当金は、会社員や公務員など健康保険に加入している方が出産のために仕事を休み、その間、給与の支払いを受けられない場合に支給される給付金です。

出産に伴い収入が減少する期間の生活を支えるため、健康保険から支給されます。

  • 自営業の方や配偶者の扶養に入っている方は、会社員向けの健康保険による出産手当金の対象外です。
ADVICE

専門家からのアドバイス

出産手当金の支給を受けている途中で退職することになった場合でも、「退職日までに継続して1年以上健康保険の被保険者であること」「退職日に出勤していないこと(産休中であること)」などの条件を満たせば、退職後も引き続き出産手当金を受給できます。

産休の期間や出産手当金・社会保険料について確認しよう

産休の期間は、「産前」「産後」に分かれていて、それぞれで取り扱いが異なります。

産前休業

産前休業は、出産予定日の42日前(6週間前)、双子など多胎妊娠の場合は98日前(14週間前)から取得できます。出産日も産前休業に含まれます。

産前休業は、必ずしも取得しなければならないものではありません。体調に問題がなく、本人が希望すれば、出産予定日直前まで働くこともできます。

産後休業

産後休業は、出産日の翌日から56日間(8週間)です。産後8週間は、原則として労働基準法により就業させてはならないと定められていますが、産後6週間経過後は、本人が希望し、医師が認めた場合は、簡易な業務にかぎり就業することができます。

実際の出産日が予定日より早まった場合は、実際の出産日の翌日から産後休業が始まります。

予定日より遅れた場合は、遅れた分も産前休業期間に含まれます。出産日の予定が変わると、産休期間や育児休業の開始日にも変更が生じるため、速やかにその旨を勤務先に連絡しましょう。

なお、産後休業の「出産」とは、妊娠4カ月(85日目)以上の出産を指し、死産や流産も含まれます。

出産手当金の支給額

出産手当金は、これまでの給与水準を基に計算され、1日当たりおおむね給与の3分の2相当額が支給されます。

  • 実際の支給額は、支給開始日以前の継続した12カ月間の標準報酬月額の平均額を基に計算されます。

ここでいう「標準報酬月額」とは、給与(基本給や各種手当を含む総支給額)を一定の区分に当てはめた金額のことです。なお、支給開始日前の被保険者期間が12カ月未満の場合は、次のいずれか低い額を使用して計算します。

①支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
②標準報酬月額の平均額
・30万円:支給開始日が令和7年3月31日以前の方
・32万円:支給開始日が令和7年4月1日以降の方

なお、企業から給与が支払われていて、その給与が出産手当金の額より少ない場合は、出産手当金と給与の差額のみが支給されます。

出産手当金は勤務先を通して健康保険組合に申請するケースが一般的です。産休に入る前に必要書類や手続き方法を確認しておきましょう。

産休期間中の社会保険料

産休期間中の社会保険料負担について気になる方も多いのではないでしょうか。

産休期間中は、所定の手続きを行うことで、健康保険料や厚生年金保険料が免除されます。

また、自営業者やフリーランスなど国民年金の第1号被保険者についても、一定の要件を満たすことで国民年金保険料の産前産後期間の免除制度を利用できます。

出産による休業期間の経済的負担を軽減するため、この制度が設けられています。

社会保険料が免除される期間は、産前休業の開始月から産後休業終了日の翌日の属する月の前月までです。

産後休業終了日の翌日の属する月分から、保険料の徴収が再開されます。日割りではなく月単位で計算される点に注意しましょう。

免除期間中も社会保険の加入は継続されるため、将来の年金額の計算において不利になることはありません。健康保険もこれまでどおり利用できます。

また、産休後に育休に入る場合、育休期間中も健康保険料や厚生年金保険料が免除されます。

なお、この手続きは多くの場合、勤務先を通じて行われます。産休に入る際には、会社が必要書類を提出してくれるかどうか、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。

ADVICE

専門家からのアドバイス

産前休業は、申請しなければ付与されません。取得するには、本人が勤務先に「産前休業を取得したい」旨を申し出る必要があります。

一方、産後休業は取り扱いが異なります。出産の翌日から8週間は、原則として会社は女性労働者を就業させてはならないと法律で定められています。

そのため、産前休業のように本人からの申し出がなくても、出産後は自動的に産後休業期間となります。

産休後に育休を取得する場合の流れ

産休と混同されやすい制度に「育休」があります。この2つの制度は、目的、対象者、期間等が異なります。

育休とは?

育休は、子どもを養育するために取得する休業制度で、育児・介護休業法に基づいて定められています。

原則として、子どもが1歳に達するまで(※)取得できますが、一定の条件を満たせば最長2歳まで延長することができます。

  • 民法の規定上、誕生日の前日をもって満年齢に達したとみなされるため、「1歳に達するまで」とは1歳の誕生日の前日までを指します。

産休と育休の大きな違いは、「産休は法律上、出産する女性のみ取得できる」のに対し、「育休は男女とも取得できる」という点です。

近年は、男性の育休取得も広がっています。「パパ・ママ育休プラス制度」や「産後パパ育休(出生時育児休業)」も創設され、より柔軟に取得できるようになりました。

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産休・育休取得の流れ

産休・育休取得の一般的な流れは、次のとおりです。

  1. 出産前42日間(6週間)の産前休業を取得
  2. 出産
  3. 出産後56日間(8週間)の産後休業を取得
  4. 産後休業終了後、育休(育児休業)を取得
産休・育休取得の流れ
  • 民法の規定上、誕生日の前日をもって満年齢に達したとみなされるため、「1歳に達する日まで」とは1歳の誕生日の前日までを指します。

産休と育休は連続して取得できます。産休取得後に一度出社してから、改めて育休取得の手続きを行う必要はありません。

産休制度と育休制度を理解しよう

産休は、女性労働者を対象に、出産前後の母体の健康を保護するために設けられた制度です。一方、育休は、子どもを養育するために取得する休業制度であり、子どもを養育する方であれば、男女を問わず取得できます。

それぞれの制度の違いを理解し、家庭や仕事の状況に合わせて適切に活用することが大切です。

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よくあるご質問と回答

出産手当金と傷病手当金は同時に受給できますか?

両方の受給要件を満たしていても、同じ期間に受け取れるのは原則として出産手当金のみです。

ただし、出産手当金が傷病手当金よりも少ない場合は、傷病手当金を申請すれば、出産手当金との差額を受給することができます。

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まとめ

産休は、出産前後の女性の身体を守るために労働基準法で定められている休業制度です。

出産予定日の42日前(6週間前)、双子など多胎妊娠の場合は98日前(14週間前)から取得でき、出産後は56日間(8週間)の休業期間が設けられています。

また、産休中は出産手当金や社会保険料の免除など、経済的負担を軽減する制度もあります。

産休に入る前に、勤務先の担当部署へ必要な手続きや申請期限を確認しておくと安心です。

産休や育休は、出産前後の生活だけでなく、子どもの将来に向けたマネープランを考える良い機会でもあります。出産手当金や社会保険料の免除の見通しが立ったら、教育資金の準備方法についても少しずつ検討を始めてみましょう。

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この記事の監修

監修者新井さんの顔写真

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員新井智美(あらい ともみ)

マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。現在年間200本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績は3,500本を超える。

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