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トップメッセージ

株式会社かんぽ生命保険 取締役兼代表執行役社長 谷垣 邦夫

業界第1位の保険金等支払金額に、お客さまや社会への大きな責任を感じる

 2023年6月にかんぽ生命の社長に就任してから約2年間が経ちました。私の社会人人生約40年間を振り返ると、日本郵政グループが国営だった時代と、民営化をしてからの時代がほぼ半々となります。国営である郵政省時代には地方の郵便局長を経験し、民営化後には日本郵政グループ3事業の副社長を務めました。この貴重な経験の中で強く感じたことは、「郵便局ブランド」が私たちの最大の強みであるということです。当社は、全国津々浦々の約2万局の郵便局を通じて、「簡易」で「小口」の分かりやすい商品を日本全国のお客さまへ提供してまいりました。それによって、「郵便局の保険」としての“信頼感”と“親近感”を多くのお客さまに感じていただいております。なお、現在では、約1,692万人という日本最大級のお客さま基盤を有しており、2024年度には保険金等支払金額として4.1兆円をお客さまにお支払いいたしました。これは、日本の生命保険業界の中では第1位の金額であり、お客さまからの信頼の証、そして社会に対する大きな責任を表している数字と考えており、私自身、その重責を日々感じております。
 一方で、今般発覚いたしました、日本郵政グループにおける非公開金融情報の不適切な取り扱いおよび一部保険販売に係る認可取得前の勧誘につきましては、お客さまをはじめ関係者の皆さまにご迷惑とご心配をおかけしたこと、深くお詫び申し上げます。本事案を厳粛に受け止め、グループの総力をあげて再発防止策を実行し、お客さま本位のサービス提供に全力で取り組んでまいります。

創業以来のDNAを継承し、企業としての新たな挑戦を推し進める

 「郵便局の保険」、そして「簡易保険」といった、創業以来100年以上に渡って当社の中で脈々と受け継がれるDNAを継承しつつ、近年では、お客さまへの安心のご提供や地域・社会への貢献に向けて、企業としての新たな挑戦を推し進めております。主な取り組みの一つ目としては、デジタル技術を活用した保険金等支払手続きの簡素化・迅速化が挙げられます。当社の前身である簡易生命保険は、1916年に「簡易な手続きで、国民の基礎的生活手段を保障する」という社会的使命を持って誕生しました。この社会的使命を果たしていくために、近年では、お客さまからのご請求に対して、デジタルの力を取り入れながら、簡易にお手続きできる仕組みや迅速に保険金等をお支払いできる体制を構築することによって、お客さま体験価値の向上を実現しております。二つ目は、インパクト投資の推進です。国営の時代から地方公共団体への投融資を行っており、その資金は全国各地の公共施設などのインフラ基盤の整備等に活用されてきました。この「健全な保険事業を営みつつ、お客さまからお預かりした保険料を原資とした投融資を通じて、地域・社会に貢献する」というDNAは脈々と受け継がれており、現在のインパクト投資の取り組みにつながっています。三つ目は、産学連携の拡大です。当社は、1971年に日本の生命保険会社として初めて学資保険を創設して以来、保険を通じて若い世代の人生に寄り添ってまいりました。近年は、アカデミアの持つ革新的な技術開発や事業に対する投資推進に向けた連携・協力のため、全国の大学法人等と覚書等を締結しております。今後は、インパクトファンドの組成や出張講義の実施、学生と社員の交流等、産学連携先と多角的な接点をつくり、社会全体の持続的成長と次世代を担う金融人材の育成を支え続けてまいります。

経営者として、変化を恐れずに持続的な成長を実現したい

 当社は、2015年に東証一部(当時)に上場してから、今年の11月で丸10年を迎えます。現在の当社への市場評価は、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回っており、経営トップとして強い課題認識を持っております。そのため、今後も引き続き、上場企業として、市場評価の向上に向けた取り組みに注力してまいります。2025年度の修正利益は、中期経営計画策定当初予想である970億円から大幅に増加して1,420億円と予想し、2025年度の1株当たり配当を20円増配し、配当総額を過去最高の460億円程度とするとともに、単年度で総還元性向55%程度の株主還元を予定するなど、株主還元を拡充しております。さらに、市場評価の改善に向けて、2024年11月に、会社として目指すべき当面の目安を「時価総額2兆円」と定めました。その実現に向けては、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、当社の強みを活かした成長戦略を着実に遂行していくことが不可欠です。今後も、株主・投資家の皆さまからのご期待にお応えするために、経営者として、変化を恐れず、着実な歩みを重ね、当社の持続的な成長を実現してまいります。

当社の強みを活かした成長戦略の3本柱を確実に遂行する

 2021年に公表した中期経営計画の最終年度となる2025年度は、当社の強みを活かした成長戦略の3本柱である「保険サービスの更なる拡充」「資産運用の深化・進化」「収益源の多様化」に取り組むことによって、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現してまいります。「保険サービスの更なる拡充」については、ライフステージや世代を超えてお客さまとつながり続ける取り組みを強化し、お客さま基盤の強化・拡大を目指してまいります。そのためには、(1)お客さまのニーズにお応えする商品開発、(2)営業体制の強化、(3)リアルとデジタルの融合によるお客さま体験価値の向上に取り組んでまいります。
 また、「資産運用の深化・進化」については、市場環境の変化を捉えた収益向上を図るとともに、収益基盤の多様化および資産運用力の更なる向上を目指してまいります。具体的には、2025年3月に発表した、株式会社大和証券グループ本社(以下「大和証券グループ」)、三井物産株式会社(以下「三井物産」)とのオルタナティブ分野での提携などの他社との協業戦略を発展させ、資産運用力の更なる向上を実現してまいります。また、持続可能な社会の実現に向け、社会課題解決に資するインパクト投資や産学連携を中核に、かんぽ生命らしい“あたたかさ”の感じられるサステナブル投資を推進してまいります。
 そして、「収益源の多様化」については、事業の安定化や更なる利益成長に向け、新たな領域から収益獲得を目指してまいります。引き続き、世界有数の資産運用会社であるKKR & Co. Inc.( 以下「KKR」)およびその子会社であるGlobal Atlantic Financial Group (以下「GlobalAtlantic」)との協業の推進により、海外からの収益の拡大を目指してまいります。さらに、生命保険事業と親和性があり、シナジー効果と利益貢献が見込める領域についても幅広く探索してまいります。

社員一人ひとりが自信を持って、「歴史を作る」仕事をしてほしい

 社員の皆さんには、当社が100年を超える長きにわたり、国民の皆さまに安心をお届けし、日本の経済・社会の発展に尽力してきたことへの自信と誇りを持って、堂々と仕事をしてほしいと伝えております。また、そうした自信と誇りを土台として、「歴史を作る側」の人間になってほしいと考えています。歴史を作る側の人間になるとは、あとから自身の仕事について振り返ったときに、「あの仕事は自分が成し遂げたものである」と自信をもって言えるような仕事を一つでも多く積み重ねていくということです。これが、仕事の醍醐味の一つであると私は考えております。
 また、一緒に働く仲間に対しては、常に「リスペクト」の気持ちを持ってコミュニケーションを取ってほしいと思っております。そうすることによって、社員一人ひとりがそれぞれの個性や能力を発揮し、保険会社としての社会的使命とお客さまへの責任をしっかり果たしていく「強い会社」にすることができると考えているからです。当社は2022年4月に新たな営業体制を構築し、日本郵便株式会社から約1万人のコンサルタントの皆さんを受け入れたことで、現在では約1.8万人の社員が全国各地で活躍しております。多様な人材が互いの「個」を尊重し合い、それぞれの役割を果たして活躍できる組織となるよう、女性活躍や仕事と育児・介護の両立、障がい者雇用なども具体的な目標に向けて強力に支援し、推進しております。こうして、社員一人ひとりが会社に愛着を持ち、この会社をより良くしようという気持ちで取り組めば、かんぽ生命は本当に強い会社になっていくと考えております。

お客さまに安心をお届けし続けるため、ブランドの確立と進化を目指していく

 当社は、お客さまからの信頼こそが企業価値の源泉であるという原点を忘れずに、「お客さまから信頼され、選ばれ続けることで、お客さまの人生を保険の力でお守りする」というかんぽ生命の社会的使命(パーパス)を着実に果たしてまいります。2023年6月に、私がかんぽ生命の社長に就任した際には、2019年度に発生した募集品質に係る諸問題による影響が残っておりましたが、全社員一丸となって取り組んだ結果、その成果を果たすことができたと確信しております。今後は、「かんぽ再生」から「かんぽ成長」という新たなフェーズに移行し、当社の持続的な成長を実現するとともに、お客さまに安心をお届けし続けてまいります。そのためには、お客さまの一生のライフイベントをタイムリーにお支えしていくというコンセプトを大切にし、お客さまから日本一の“信頼感”と“親近感”を持っていただける「かんぽブランド」の確立と進化を目指していきます。
 ステークホルダーの皆さまにおかれましては、引き続きご支援とご指導を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

株式会社かんぽ生命保険
取締役兼代表執行役社長

谷垣 邦夫

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