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保険契約者等の保護の取組み

2013年度審査手続終了分

【111】傷害保険金の支払の可否

ご請求の
内容
被保険者は、自宅の石段で転倒したこと(以下「本件事故」という。)により、脳皮質下出血を発症し、意識障害をきたし、日常生活が全介助の状態になったものであり、不慮の事故によるものであるから、傷害保険金の支払を求める。
審査結果の
概要
被保険者が本件事故当時に治療ないし経過観察を受けていた医師によると、被保険者は、糖尿病及び高血圧により脳の血管の動脈硬化が進んでいたこと、脳梗塞の存在、主要血管に壁不正が進行していたことに加え、血圧の高い状態が続いていたこと及び抗血小板療法を受けていたこと等が認められ、これらが本件脳皮質下出血の大きな要因になった蓋然性が高く、本件脳皮質下出血の原因は、既往症である高血圧症によるところが大きいものと認めざるを得ず、また、被保険者が本件事故後に救急搬送された病院の診断書等からは、本件事故を原因として、本件脳皮質下出血に至ったとの証明は認められない。
したがって、請求人の主張は認められない。

【112】特約保険料支払債務不存在確認

ご請求の
内容
契約申込時、郵便局員から「加入時に一括で保険料を前納すればその後の保険料の払込が不要になる」との説明を受け、それを信じて申し込んだのであるから、特約保険料の払込期間は、基本契約と同じく平成14年11月分までである。したがって既に支払った同年12月分以降の特約保険料の返還及び特約保険料の払込義務がないことの確認を求める。
審査結果の
概要
簡易生命保険法第7条の規定によれば、簡易生命保険契約の内容は、同法及び同法に基づく命令に定めるもののほか、簡易生命保険約款によるとされているところ、本件保険契約申込み当時の簡易生命保険の範囲及び簡易生命保険の締結に関する約款第48条によると、特別終身保険契約に付された特約について、その特約保険料の払込種類を分割払いとした場合の払込期間は、特約の効力発生日からその基本契約の保険期間の満了の日までとされており、本件保険契約の基本契約の保険期間は終身となっているから、この場合の特約保険料の払込義務も終身継続する。
したがって、本件保険契約に付された特約の保険料の払込期間は、特約の効力発生日から基本契約の保険期間満了の日まで、すなわち終身であって、基本契約の保険料払込期間が平成14年11月で終了したとしても、終身にわたり特約保険料の払込義務があるといわざるを得ない。
よって、請求人の主張は認められない。

【113】手術保険金の支払の可否

ご請求の
内容
被保険者は、急性胆のう炎の診断の下に入院し手術(1)(2)(3)を受け、縦隔腫瘍の診断の下に再入院し手術(4)を受け、手術保険金を請求したが、他社と比べ支払倍率が60倍分少ないことに納得いかない。よって当該倍率分の手術保険金の支払いを求める。
審査結果の
概要
手術(1)(2)(3)について、入院・手術証明書(診断書)によれば、いずれも内視鏡を使用した手術であり、開胸又は開腹を伴う手術ではなく、いずれも急性胆のう炎での入院中に行われており、1の疾病による入院によるものと認められる。この場合、別表第3の備考(6)に該当し、1回の支払いを限度とすることから、いずれかの手術に対して1回、支払倍率10倍を適用した手術保険金を支払うこととになる。
手術(4)について、入院・手術証明書(診断書)によれば、内視鏡の一種である胸腔鏡を使用した手術であり、開胸を伴う手術ではなく、縦隔腫瘍の診断で入院したものであり、手術(1)(2)(3)の入院の原因である急性胆のう炎とは別の疾病であると認められる。この場合、別表第3の94に該当し、支払倍率10倍を適用した手術保険金を支払うことになる。 会社は、特約約款の規定に基づき、手術(1)(2)(3)については、これらの手術のうち、いずれかの手術に対して1回支払倍率10倍を適用した手術保険金を、手術(4)については、支払倍率10倍を適用した手術保険金をそれぞれ支払っていることから、請求人に対し、追加して支払うべき手術保険金はない。
よって、請求人の主張は、認められない。

【114】復活申込みの承諾の可否

ご請求の
内容
失効した契約について復活の申込みをしたところ、告知した健康状態を理由に謝絶された。命に関わる病気ではなく、容態も安定しているにもかかわらず、通院及び投薬を受けていることのみを理由として契約が復活できないことに納得いかない。よって、復活申込みを承諾することを求める。
審査結果の
概要
保険契約の復活は、保険契約者の復活の申込み(旧簡易生命保険法(以下「法」という。)第71条)に対し、保険者が承諾することにより成立する(法第72条1項)ものであるところ、保険者(以下「会社」といいう。)がどのような場合に承諾するかについては、新規の契約の場合と同様と解釈され、会社は、復活の申込みに対して、社内で定めた基準に従い審査を行い、被保険者として適格であると判断できない場合には、これを謝絶することができるものである。そして、会社は、本件復活申込みに対して、請求人の健康状態を検討し、会社の基準に従い審査した結果、復活の申込みを謝絶したもので、当該謝絶は妥当であると認められる。
よって、請求人の請求は認められない。

【115】保険契約者及び保険金受取人の確認

ご請求の
内容
保険契約者を父とし、被保険者を母として成立した(1)契約及び(2)契約について、父の死亡後、保険契約者及び保険金受取人を請求人に変更していたが、請求人が知らない間に保険契約者が父に戻されている。保険契約者及び保険金受取人が請求人であることの確認を求める。
審査結果の
概要
簡易生命保険法第34条第1項の規定により、第三者に保険契約者の権利義務を承継させるためには、保険契約者、すなわち、請求人の父の相続人全員が当該権利義務の承継に同意し、かつ被保険者である請求人の母の同意を得る必要がある。
(1)契約及び(2)契約の契約関係者異動通知書によれば、当時の相続人全員の同意があったとは認められず、保険契約者の地位が適法に任意承継されたものとは認められない。また、保険契約者の地位が適法に任意承継されたものとは認められない以上、権限のない者が保険契約者として行った保険契約者の地位の任意承継及び保険金受取人変更の手続も当然無効である。
したがって、請求人の請求は認められない。

【116】告知義務違反による契約解除の取消の可否

ご請求の
内容
平成22年6月28日に本件保険契約が成立し、入院保険金を請求したところ、告知義務違反により契約が解除されたが、被保険者の健康状態は、包み隠さず告知しており、告知義務違反の事実はない。また、被保険者の受けたいじめについて受理者に話したが、告知する必要がある旨の説明はなかった。告知義務違反による解除の取消しを求める。
審査結果の
概要
提出された資料によれば、被保険者は、平成20年12月16日に病院を受診し、適応障害の診断の下に外来にて診察を受け、また、平成22年6月21日に別の病院を受診した際には、心理療法を施され、投薬を受けたことが認められ、被保険者には、本件保険契約申込み当時、医師による診察を受け、投薬を受けていた事実があったにもかかわらず、本件告知書にその事実が記載されていない以上、普通養老保険普通保険約款第16条第1項の告知義務違反があったと言わざるを得ない。
また、仮に請求人が、受理者に対していじめの事実を説明したとしても、請求人又は被保険者により、告知すべき事実が告げられていない以上、普通養老保険普通保険約款第17条第1項第1号から第3号に定める告知妨害等に該当することはなく、その他会社が本件保険契約を解除することができない事由もない。
したがって、請求人の請求は認められない。

【117】手術保険金の支払の可否

ご請求の
内容
良性腫瘍の摘出術(入院・手術証明書(診断書)上の手術名は「胸壁悪性腫瘍摘出術(胸壁形成手術)」(以下「本件手術」という。)を受け、手術保険金の支払請求をしたところ、10倍の手術保険金が支払われたが、被保険者が受けた手術の種類は悪性新生物摘出術であり、摘出した腫瘍が悪性ではなかったことを理由に40倍の手術保険金を支払わないということに納得できない。よって、40倍の手術保険金の支払いを求める。
審査結果の
概要
簡易生命保険特約簡易生命保険約款別表第3の「88 悪性新生物摘出術」とは、悪性新生物の治療を目的として悪性新生物を摘出する手術、「90 その他の悪性新生物手術」とは、悪性新生物の治療を目的とした摘出や放射線照射、温熱療法以外の悪性新生物に対する手術であると解釈されるところ、入院・手術証明書(診断書)には、「胸壁形成を併施する胸壁良性腫瘍の保険術式が存在しないため、術式は胸壁悪性腫瘍摘出術(胸壁形成手術併施)とした」との説明があり、また、本件手術施行後の病理診断は良性腫瘍であったことから、本件手術は、「悪性新生物」に係る手術には該当しない。
したがって、40倍の手術保険金を支払うべきとする請求人の請求は認められない。
ただし、更に別表第3の他の手術該当性を調査したところ、本件手術は、胸壁形成手術を併施するものとして施行されていることから、胸膜にも操作を加えていると認めるのが相当であり、別表第3の「20 肺・胸膜の手術(開胸を伴う手術に限る。)」(支払倍率20倍)に該当するものと認められることから、会社は請求人に対して10倍の手術保険金を追加して支払うべきである。

【118】手術保険金の支払の可否

ご請求の
内容
平成24年7月10日に左目の、同月24日に右目の白内障手術(以下「本件手術」と総称。)をいずれも日帰り(以下「本件入所」という。)で受けたため、入院保険金及び手術保険金を請求したところ、入院の事実が認められないとしてその支払を謝絶されたが、医師から、本件手術がかんぽ生命のしおりに示されている入院基準を満たすとの見解を得ており、本件手術は入院保険金の支払われる入院中に手術をしたものであるので、入院保険金及び手術保険金の支払を求める。
審査結果の
概要
本件入所及び本件手術の原因となった疾病は白内障であるところ、請求人自身が認めるとおり、請求人は本件保険契約成立の17日前である平成22年8月30日に受診し、医師から両眼について老人性白内障の診断を受けているので、本件入所及び本件手術は無配当疾病傷害入院特約条項第2条第1項第1号の要件(この特約の責任開始時以後この特約の保険期間中にかかった疾病を直接の原因とする入院であること)を満たしているとはいえない。
したがって、本件入所及び本件手術が同条同項4号の要件(病院または診療所への入院であること)に該当するか否かについて判断するまでもなく、本件入所及び本件手術について、入院保険金及び手術保険金を支払うことはできないことから、請求人の請求は認められない。

【119】解約の無効確認

ご請求の
内容
保険契約者である請求人が知らないうちに本件2件の保険契約に係る解約還付金が支払われているが、解約還付金の支払請求時に提出された委任状は正当権利者である私が作成したものではない。よって、解約前の状態に原状回復することを求める。
審査結果の
概要
会社の取扱いでは、一定の場合には委任者本人に面談または電話連絡を行い、委任行為が正当なものであるか確認することとしているところ、本件解約還付金支払手続においては、通常、本人の了解を得ずに提出することはできない保険証書及び印鑑登録証明書が提出されており、しかも、これらの書類は請求人の妻から提出されたものであったことから、盗難等の犯罪行為は考えられない状況であり、また、委任状の委任者欄及び委任代理人欄の筆跡が返戻金(還付金)支払請求書兼受領証の受取人欄の筆跡と似ている事情はなく、その他、請求人の妻が無断で本件解約還付金支払を請求していると疑わせるような事情もない。このような状況の下で郵便局員が請求人の妻に代理権があると信じたことは相当であり、請求人に電話等で確認すべき義務はなかったと考えられる。したがって、本件解約還付金支払を行うに当たって会社には過失はなく、民法第478条の類推適用により本件解約還付金支払は有効であると認められる。
よって、請求人の請求は認められない。

【120】年金受取額の確認

ご請求の
内容
契約時に渡された「受取り年金試算額」表(以下「本件表」という。)に記載されている年金額と実際に受取る年金額が違っている。本件表のとおり支払うことを求める。
審査結果の
概要
剰余金の分配は、基本年金額に加算されるもの(積増年金)であるが、簡易生命保険事業の経営上剰余が生じたときに分配されるものであり、予め確定しているものではないため、本件表の受取り年金試算額欄に記載の額の年金の支払を請求することはできない。
本件表には作成者及び作成日の記載がなく、本件契約の申込時に使用されたものか明らかではなく、本件契約の受理職員及び本件表の作成者は不明である。
また、本件表には、受取り年金が「試算額」と明示して記載されており、本件表により受取り年金額欄記載の額が確定的なものであるとの説明が行われたとは考えられない。
さらに、本件保険契約申込書には、ご契約のしおりについて請求人の受領印があり、受理職員が請求人に対し本件表を交付したとしても、誤った説明により、請求人に受取り年金額試算額欄の額が確定的なものであると誤信させたとは認められない。
したがって、請求人の請求は認められない。

【121】傷害保険金の支払の可否

ご請求の
内容
洗車機と車に挟まれる事故(以下「本件事故」という。)による受傷を原因として脊柱の自動運動範囲が制限され、身体障害の状態になった。傷害保険金の支払を求める。
審査結果の
概要
本件診断書によれば、請求人は、頚椎捻挫及び腰椎捻挫を原因として、頸部脊柱の自動運動の範囲が正常値の合計の2分の1に制限されているとされているが、請求人が提出した書面の「頸椎捻挫後の頚部から両肩の痛み、両上肢のしびれ・痛み等の症状については、提出の頸椎画像上、本件事故による骨折等の外傷性の異常所見は認められません。」との記載等から、本件診断書をもって、請求人の頸部の自動運動の範囲が正常の場合の2分の1に制限されたものと認めることはできない。
また、本件診断書によれば、30分以上の運転が困難(頸部の痛みのため)等との記載があるが、頸部の痛みについては他覚的所見が認められていないこと等からすると、本件診断書をもって、請求人の日常生活動作が制限されているものと認めることもできない。 さらに、本件診断書の「ア欄 障害の原因となった傷病名」欄には「頚椎捻挫、腰椎捻挫」と記載されているものの、「イ欄 アの原因」欄は空欄であり、かつ、本件診断書において、本件事故に関する記述がないこと等から、請求人の身体障害の状態は、本件事故による傷害を直接の原因とするものと認めることもできない。
以上からすると、請求人の身体障害はいずれも傷害保険金の支払事由には該当しない。
したがって、請求人の請求は認められない。

【122】保険契約の引受の可否

ご請求の
内容
保険契約(65歳払込済特別終身保険)の申込みをしたが、告知内容から引受を謝絶された。具体的な理由を尋ねたがその説明もなく、納得できない。本件申込みを承諾することを求める。
審査結果の
概要
審査会に提出された資料によれば、本件保険契約の申込みについて、会社は会社の定める査定標準にしたがってこれを謝絶したものと認められ、恣意的な謝絶をしたものとは認められない。
引受謝絶理由の説明に関しては、査定標準はそれを公表すると、保険事故発生率の偏在を招きかねず、保険という制度の成立基盤を損なうおそれがあることから(いわゆる「逆選択」)、会社はこれを公表しないこととしており、そのことはやむを得ないものと認められる。査定標準を公表しない以上、本件保険契約の申込みを謝絶した理由の説明が抽象的なものとなるのはやむを得ないので、会社は可能な範囲での説明を行っているものと認められる。
したがって、請求人の請求は認められない。

【123】死亡保険金の支払の可否

ご請求の
内容
父を被保険者とする保険契約について、死亡保険金受取人が請求人であることを郵便局で確認しており、また、父の遺言もあるので、正当な死亡保険金受取人である請求人に対して、死亡保険金を支払うことを求める。
審査結果の
概要
本件各保険契約の保険契約申込書、保険証書及び契約内容調査票によれば、本件各保険契約の成立時点における死亡保険金受取人は被保険者の配偶者であり、その後死亡保険金受取人は変更されていないことが認められる。
請求人は、請求人が死亡保険金受取人であったことを郵便局が認めたと主張するが、郵便局員名、郵便局員の発言の具体的な内容やその日時について明らかにしておらず、証拠も提出されていないので、請求人の主張は採用できない。
また、保険契約者兼被保険者が生前に死亡保険金受取人を請求人に変更するという意思表示をし、同内容の遺言を残したと主張するが、当審査会に当該意思表示や遺言に関する証拠は提出されておらず、そのような意思表示や遺言があったと認定することもできない。 なお、そもそも保険金受取人の変更は、保険者に対して通知しなければ保険者に対抗することができない(旧簡易生命保険法第61条第2項)が、本件各保険契約の死亡保険金の支払の日より前にそのような通知がなされた事実は認められないので、遺言等の有無にかかわらず、会社による死亡保険金の支払は正当なものであったことになる。
したがって、本件各保険契約の死亡保険金受取人が請求人であるとは認められず、請求人の請求は認められない。

【124】満期保険金等の支払の可否

ご請求の
内容
請求人を保険契約者兼被保険者兼受取人とする保険契約について、平成24年9月に初めて契約が存在することを知った。併せて、当該契約に係る入院保険金及び満期保険金について、請求人が委任代理人に委任し、委任代理人に保険金が支払われていることが分かったが、請求人は委任をしていないし、保険金も受領していないので、正当権利者である請求人に入院保険金及び満期保険金を支払うことを求める。
審査結果の
概要
本件保険契約の申込書の筆跡が、審査請求書の請求人の筆跡とは異なっていることからすると、本件保険契約の申込みは請求人が行ったものではなく、また、請求人自身も、平成24年9月まで本件保険契約の申込みについて知らなかったと述べていることからすると、本件保険契約の申込みは無権代理人によって行われたものであり、無効であると考えられる。そして、本件保険契約は、請求人の追認の意思表示のないまま、既に保険期間満了により消滅したことから、請求人には入院保険金及び満期保険金の支払請求権はないものと認められる。
仮に、本件保険契約の申込みが有効であった場合、その後に行われた入院保険金等の支払手続は、当時国が請求人本人の確認をしないまま入院保険金等を支払ったものと思われ、その支払手続は無効であると認められるが、簡易生命保険法第87条の規定によれば、保険金及び還付金の支払義務は5年を経過したときは、時効によって消滅するとされているところ、本件入院保険金及び本件満期保険金等については、その支払事由発生日の翌日から起算して既に5年以上が経過していることは明らかであり、かつ、その間、時効の中断事由があったと認めるに足りる事情は見当たらない。そのため、仮に、本件保険契約の申込みが有効であったとしても、会社が請求人に対し時効を援用する場合は、本件入院保険金及び本件満期保険金の支払義務は、法第87条により時効消滅するものと認められる。
したがって、請求人の請求は認められない。

【125】手術保険金の支払の可否

ご請求の
内容
ICD(植込型除細動機)交換手術(以下「本件手術」という。)をしたが、開胸手術に該当しないとのことで支払謝絶されたことに納得できない。以前同様の手術をしたときは手術保険金が支払われており、約款に1回の支払限度と明記もされていない。したがって手術保険金を支払うべきである。
審査結果の
概要
入院・通院・手術証明書(診断書)及び被保険者症状調査票から、本件手術は「植込型除細動器交換術」であり、その操作に関しては、前胸部の本体上の皮膚を切開して本体を取り出し、新しい本体を接続して切開した皮膚を縫い合わせたものであることが認められる。従って開胸はされていないため、別表第3の「28 体内用ペースメーカー埋込術(開胸を伴う手術に限る。)」には該当しない。また、新しいリードの追加もされていないため、別表第3の「94 内視鏡、血管カテーテル又はバスケットカテーテルによる脳・喉頭・胸部臓器・腹部臓器・四肢の手術(検査・処置を除く。)」にも該当しない。さらに、別表第3に掲げるその他のいずれの手術にも該当しないので、本件手術にかかる手術保険金支払いの理由はない。
したがって、請求人の請求は認められない。

【126】損害賠償の請求

ご請求の
内容
前納払込について、受理職員の「6か月前納すれば得になるし、1年、2年まとめて払っても割引率は同じだから」との言葉を信じて6か月前納してきた。長期前納が有利との説明があれば、保険料を長期前納していたはずであるので、長期前納した場合の保険料との差額の支払を求める。
審査結果の
概要
簡易生命保険約款第38条第1項の定めは、保険料は月掛けを原則とし、長期不在がある者など月掛けを不便とする者の便宜のために例外的に保険料の前納を認めたものと解されているところ、前納の場合は、集金手数を省くことができる上に、保険者である国は前納のために利子を得ることができるため、保険料について一定の割引をすることとしたものである。
本件保険契約は約30年前に申し込まれたものであるため、受理職員の申込み当時の説明内容は不明であるところ、保険契約の保険料は月掛けが原則であるから、長期前納制度については、申込者が説明を求めたり、まとまった額の資金を保険によって運用したいと相談する等の事情がある場合を除き、当時国の受理職員には、これを積極的に説明する義務はない。長期前納制度とその割引率の記載のある「ご契約のしおり」を受理職員が交付したと認められる以上、受理者には、さらに長期前納制度について説明する義務はなかったものと認められる。
したがって、会社には説明義務違反はなく、請求人に対し、既払保険料と全期前納した場合の保険料の差額を支払うべき理由はない。

【127】満期保険金の支払

ご請求の
内容
満期保険金の支払請求をしたところ、本件保険契約は撤回されているため支払えないといわれたが、納得できないので、満期保険金を支払うよう求める。
審査結果の
概要
本件保険契約のマスタ記録によると、その申込みの日から間もない平成10年3月30日に請求人によってその申込みが撤回され、本件預り金も請求人へ還付されたものと認められる。
更に、請求人が所持する保険料預り証の写しの摘要欄には、「10.3.30 年月日契約申込撤回 預り金還付済」との印字があり、郵便局の日付印が押印されており、このことから本件保険契約は、平成10年3月30日にその申込みが撤回され、本件預り金を請求人に還付済みであることが認められる。
したがって、請求人の請求は認められない。

【128】特約還付金の支払

ご請求の
内容
被保険者の死亡に伴い支払われる特約還付金が保険契約者の相続人(保険契約者死亡のため)に支払われることが納得できない。死亡保険金受取人に支払うべきである。
審査結果の
概要
特約において、被保険者が死亡した場合に被保険者のために積み立てられた金額があるときは、「保険契約者」が特約還付金の支払を請求することができるとされているところ(簡易生命保険約款第55条)、本件において、保険契約者が死亡していることから、特約還付金を受け取る権利は相続財産となり、保険契約者の相続人全員が有するものとなり、死亡保険金受取人が有するものではない。そして、法第36条1項によると、同一の保険契約について、保険金請求者が数人あるときは、これらの者は、代表者1名を定めなければならないとされている。
なお、本件特約還付金請求権の金額が50万円を超えることになることから、「誓約書」の提出という簡便な手続きにより、特約還付金を請求することは認められない。
よって、請求人の主張は認められない。

【129】加入限度額一部超過にかかる保険料の返還

ご請求の
内容
本件契約は、保険金額1000万円として申し込みしたものの、保険金額900万円として締結されたが、その差額100万円に見合う保険料(以下「本件差額保険料」という。)が返還されていないので、その返還を求める。
審査結果の
概要
保険金額を900万円とする本件保険証書の作成日が平成11年7月23日と記載されていることから、遅くとも同年7月31日ころには、請求人へ、本件保険証書が郵送により配達されたものと認められ、このころに、保険金額を900万円とする保険契約が、当時国と請求人との間で確定的に成立したものと認められる。
この点会社は、請求人との面談において、請求人に対して10年の消滅時効を援用する旨を述べている。
したがって、請求人の請求は認められない。

【130】傷害保険金の支払

ご請求の
内容
被保険者は、転倒して身体を強打したことにより心肺停止し、その後遺症で全介助の状態になったところ、不慮の事故とは認められないとの理由で傷害保険金の支払を謝絶されたが納得できない。傷害保険金の支払を求める。
審査結果の
概要
事故の直後の入院に関する入院・手術証明書は、入院の原因となった傷病名を「心肺停止」とし、その原因を「急性薬物中毒」としており、転倒事故の存在及び影響について一切言及しておらず、また、会社からの照会に対する医師の回答書は、顔、胸、前歯その他の外傷状況について「明らかな外傷の所見を記載するカルテ内容は認められません。また、胸部レントゲン上も骨折を認めません」としており、転倒事故及びそれによる顔や胸の打撲による傷害の事実自体を認めるに足りる資料はないと言わざるを得ない。
また、仮に転倒事故やそれによる打撲等の傷害が存在したとしても、心肺停止を来すような重大な傷害ではなく、むしろそれ以前から存在する請求人の疾患が転倒をきっかけに増悪したものである可能性が高く、提出された資料では、転倒事故と請求人の身体障害との間に相当因果関係を認めることができない。
よって、請求人の請求は認められない。

【131】保険金の倍額支払及び特約死亡保険金の支払

ご請求の
内容
被保険者は転倒(以下「本件事故」という。)を原因とする大腿骨骨折を直接の原因として死亡したにもかかわらず、誤嚥を原因とする肺炎が死因であるため不慮の事故とは認められないとして保険金の倍額支払及び特約死亡保険金の支払を謝絶されたが納得できない。これらの支払を求める。
審査結果の
概要
被保険者は、本件事故による左大腿骨転子部骨折(以下「本件障害」という。)の治療のために入院をしたものの、被保険者の身体の状態が本件傷害治療のための手術に耐えられないと判断され、手術は施行されず、安静と鎮痛剤による保存的治療が行われていたところ、唾液の誤嚥あり、唾液の吸引、酸素マスク装着等の処置が行われたが、死亡したものと認められる。
また、死亡診断書を作成した医師は、「骨折を原因とした入院でしたが、骨折が(死因の)直接の原因ではなく、骨折による入院はあくまでも入院に至った切っ掛けにすぎません。」と述べている。
一方、入院以前の被保険者の身体状況については、報告書によれば、本件事故以前に心不全等に罹患していたことが認められる。
以上より、被保険者の本件傷害自体は手術の可能性があったにもかかわらず、被保険者には入院前から心不全等があり、その心不全等の悪化により、手術ができず、その心不全等が全身状態を悪化させて唾液の誤嚥が生じ、死亡に至ったものと判断される。 よって、請求人の請求は認められない。

【132】解約の無効確認

ご請求の
内容
保険契約者である請求人が知らないうちに契約が解約されているため、解約が無効であることの確認を求める。
審査結果の
概要
本件契約の申込み手続きは、請求人の母親が請求人の指示によらずに行ったものであり、本件保険契約の締結は無権代理行為によるものと認められる。そして、本件契約の解約等手続き以前に、請求人が会社に対して保険料の払込み等の追認の意思表示をした事実は認めれられない。
本件解約等手続きの際、保険証書の提出を受けていること、請求人と面識がある職員が受理しており、請求人も同職員と面識があったとしていること等から、本件契約が有効に成立したことを前提に、請求人自らが本件解約等手続きを行い、会社に対し、本件契約を追認したものと認められ、請求人の追認によって本件契約は有効となり、請求人本人が行った本件解約等手続きも有効であると認められる。
仮に、請求人が主張するとおり、本件解約等手続きを請求人以外の者が行っている場合、本件契約は、請求人から会社に対する追認の意思表示がないままに消滅したこととなり、本件契約が無効のまま消滅した以上、請求人には、本件保険契約に基づく何らの権利義務の主張を行う権利はない。
したがって、請求人の請求は認められない。

【133】死亡保険金の支払

ご請求の
内容
被保険者はドアノブに首を吊って死亡したところ、加入後3年以内の自殺として死亡保険金が支払われなかったが、当時、ストーカー被害のため精神疾患があり、正常な判断ができずに自殺に至ったものであり、免責事由には該当しないので、死亡保険金の支払を求める。
審査結果の
概要
身死亡証明書によれば、被保険者は縊死したとされ、死因の種類は自殺とされていること及び警察署によれば、被保険者の死亡については、遺族に対し、自殺であると説明をしたとされていることからすれば、被保険者の死亡原因は自殺と認められ、また、被保険者の自殺の日は本件保険契約の責任開始日の日から3年以内であることが認められる。
よって、被保険者の自殺が本件約款第15条第1項第1号に規定する「自殺」と認められるので、請求人の請求は認められない。

【134】傷害保険金の支払

ご請求の
内容
傷害保険金支払請求時、被保険者は寝たきりの状態であったところ、その原因は右大腿骨転子部骨折であり、不慮の事故を原因として身体障害の状態となったことは明らかであるため、傷害保険金の支払を求める。
審査結果の
概要
請求人は、被保険者が平成18年10月に転倒したと主張するが、これを目撃したとの資料及び転倒直後の治療等に関する診断書は提出されておらず、また、医師の回答書では、平成18年12月9日における被保険者の診断病名は老年期認知症であるとされており、被保険者の両下肢の状態は3/6程度の筋力低下、及び大腿骨頸部骨折後寝たきりにて廃用萎縮と記載されていることからすると、被保険者は、老年期認知症に肺炎等の疾病が重なって寝たきりの状態となり、寝たきりで動かないために筋力が低下して歩行困難になり、さらに下肢の廃用萎縮となったものと考えられる。
他方、請求人は、平成21年3月31日に被保険者が転倒したとも主張するが、前記の回答書記載の事実から、被保険者が、平成21年3月31日に自宅の玄関前で転倒するという事態は考えられず、同日に転倒事故があったとする請求人両名の主張を認めることはできない。
以上より、平成18年10月もしくは平成21年3月31日に、被保険者が不慮の事故によって転倒した事実は認められず、また、転倒事故が直接の原因となって寝たきり状態の身体障害が生じたものとは認められないため、請求人の請求は認められない。

【135】傷害保険金の支払

ご請求の
内容
【134】と同様。
審査結果の
概要
【134】と同様。

【136】生存保険金等の支払

ご請求の
内容
契約申込時に受理者から渡されたリーフレットには高校進学時に一時金が支払われる記載があり、また、受理者から、前納割引率は変動しない旨の説明があり、それを信じて加入した。誤説明を信じて加入したのであるから、当初説明されたとおりの一時金の支払及び前納割引率の変動により過分に支払った保険料相当額の返還を求める。
審査結果の
概要
以下のとおり、和解案を請求人及び会社に提示し、その受諾を勧告する。
【和解案】 請求人と会社は、次のことを確認し、会社は必要な処理を行うこと。
  1. 請求人と会社は、本件保険契約に関し、被保険者が高校進学時における生存保険金(基本保険金額の10%に相当する金額として20万円)の支払義務が存在しないことを相互に確認すること。
  2. 請求人は、会社に対して、本件保険契約に係る既払込保険料の返還を求める権利がないこと。
  3. 会社は、請求人に対し、20万円を限度として解決金を支払うこと。
  4. 本件の審査請求に係る手続に要した費用は各自の負担とすること。
  5. 請求人と会社は、本件和解条項に定めるほか、何らの債権債務がないことをそれぞれ確認すること。

【137】死亡保険金の支払(受取人変更の無効請求に伴うもの)

ご請求の
内容
保険契約者、生存保険金受取人及び死亡保険金受取人が2度変更されている(異動(1)、異動(2))が、申込み当時の保険契約者兼被保険者Aは視覚障害者であり、受取人変更の書類は本人が作成したものではないため、当該受取人変更は無効であり、死亡保険金受取人は無指定である。したがって、遺族(第8順位)である請求人に死亡保険金を支払うよう求める。
審査結果の
概要
Aは視覚障害者であり自署ができないにもかかわらず、請求人欄及び被保険者欄にAの名前が記入されていること、特約保険料の支払いを中止するまで、Aが支払っていたこと等から、異動(1)における保険契約者の地位の任意承継及び生存保険金受取人の指定変更について、保険契約者であるAの意思表示があったとはいえないものと判断できる。
異動(1)における保険契約者の地位の任意承継は有効なものとは認めらないことから、異動(2)当時の保険契約者はAと認められ、異動(1)後の保険契約者Bの死亡後にBの相続人が保険契約者として行った異動(2)は無効であると認められる。
Aにより、死亡保険金受取人であるCの死亡後、死亡保険金受取人をBに指定する旨の意思表示が行われ、Bの死亡後、死亡保険金受取人をDに指定する旨の意思表示がそれぞれ行われたことは、請求人も、Dも認めていることから、本件各保険契約の死亡保険金受取人はDであると認められる。
よって、本件各契約の死亡保険金受取人が無指定の状態であるとの請求人の主張は認められない。

【138】入院保険金及び手術保険金の支払

ご請求の
内容
(1)~(3)入院及び本件手術は、本件保険契約の効力発生(平成16年1月20日)前に罹患した疾病によるものであるとして、謝絶されたが、少なくとも1年以上はタイムラグがあり、1つの疾病が継続しているとはいえないので、入院保険金及び手術保険金の支払を求める。
(1)入院   平成16年7月23日~平成16年9月24日 頚椎後縦靱帯骨化症
(2)入院   平成25年2月27日~平成25年4月23日 頚椎後縦靱帯骨化症
 本件手術 平成25年3月12日 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術
(3)入院   平成25年5月13日~平成25年6月24日 頚椎後縦靱帯骨化症
審査結果の
概要
(1)入院に係る入院証明書等から、平成11年1月頃から頚椎後縦靭帯骨化症の症状があり、同年11月に頚椎後縦靭帯骨化症と診断されて、その後通院治療を継続していたところ、平成16年2月に症状が増強し、(1)入院に至ったものと認められる。
(2)入院に係る入院証明書及び頚椎後縦靭帯骨化症の特性に鑑みれば、頚椎後縦靭帯骨化症の症状は、(1)入院における治療により軽減したものの完治することはなく、(1)入院後も外来にてブロック治療、投薬を継続していたが、症状は徐々に増強し、平成24年頃からの増悪により(2)入院及び本件手術に至ったものと認められる。
(3)入院に係る入院証明書等から、(3)入院は、(2)入院中における本件手術後の治療のため、引き続いてなされたものと認められる。
以上のとおり、(1)入院、(2)入院、本件手術及び(3)入院いずれも、本件保険契約の効力発生日より前に罹患した頚椎後縦靭帯骨化症によるものと認められる。
したがって、請求人の請求は認められない。
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