ESG投資方針・推進体制等
当社は、幅広い資産を長期的に運用するユニバーサルオーナー(※)として、また、すべてのステークホルダーの皆さまに対する社会的責任を果たすという観点から、持続可能な社会の実現と長期的な投資成果の向上を目指し、ESG投資に取り組んでいます。
全運用資産を対象としてESG要素を考慮するとともに、広くSDGsの目標達成や社会課題の解決に貢献できる投融資を実施しています。とくに、「Well-being向上」、「地域と社会の発展」、「環境保護への貢献」を重点取り組みテーマとして、かんぽ生命らしい”あたたかさ”の感じられる投資を促進します。
また、気候変動対応として、投資先の低炭素社会実現に向けた事業活動を積極的に評価し、資金面でのサポートを行うことで、社会のカーボンニュートラルの達成を後押ししています。
- 投資額が大きく、資本市場全体に幅広く分散して運用する機関投資家
◆ 当社のESG投資やスチュワードシップ活動に関するより詳細な取組みについては「責任投資レポート」をご覧ください。
ESG投資の重点取り組みテーマ
当社は、取り組みテーマとして「Well-being向上」「地域と社会の発展」「環境保護への貢献」を重視し、かんぽ生命らしい“あたたかさ”の感じられる投資を行っていきます。
ESG投資方針
当社では、「ESG投資方針」として、ESG投資に対する基本的な考え方を明確化し、ESG要素を投資プロセスに組み込むことや、ESG要素を考慮した建設的な対話・株主議決権行使を行うことなどを定め、本方針に従って資産運用を行っています。
ESG投資方針
2021年10月15日(改正)
株式会社かんぽ生命保険
当社は、「いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を守り続けたい。」という経営理念のもと、「全国津々浦々をカバーする郵便局ネットワークを通じた保険サービスの提供」を念頭に、すべてのステークホルダーの皆さまに対する社会的責任を果たすという観点から、社会が抱えるESG(環境・社会・ガバナンス)課題の解決に向けた取り組みを推進し、企業価値の持続的向上とSDGsの実現を目指します。
長期的な資産運用を行うユニバーサルオーナーとして、持続可能な社会の実現と長期的な投資成果の向上・リスク低減を目指し、「Well-Being向上」、「地域と社会の発展」、「環境保護への貢献」を重点取り組みテーマとして、かんぽ生命らしい“あたたかさ”を感じられる投融資を促進します。
- 当社は、全運用資産を対象として、ESGの諸要素を投融資の判断の際に組み込みます。投融資およびモニタリングを行う際に、財務情報に加え、投融資先企業および運用受託機関等のESGに対する取り組みを総合的に評価します。
- 当社は、ESG要素を考慮した建設的な対話・議決権行使を含む適切なスチュワードシップ活動を通じた働きかけを重視し、投融資先企業等が事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献し、自らの企業価値を向上させることを後押ししていきます。また、投融資先企業等に対し、ESG要素を含む非財務情報の開示充実を求めます。
- 当社は、持続可能な社会の実現により一層貢献できるよう、アセットオーナーや運用受託機関をはじめとした資産運用業界に対してPRI(責任投資原則)が受け入れられ、実行されるよう働きかけるとともに、情報交換・協働に取り組みます。
- 当社は、ウェブサイトやディスクロージャー資料等を充実させ、ESG投資に係る活動状況を積極的に公表していきます。
- 当社は、環境に配慮した再生可能エネルギー発電事業への投融資実行など、脱炭素社会実現に資する投融資を積極的に行います。投資先企業等から排出されるGHG排出量の計測・分析を行い、分析結果を考慮した上で、投資先企業等に対するエンゲージメントを実施し、投資ポートフォリオ全体のGHG排出量を削減します。
責任投資推進体制
当社は、下記の体制のもとで、ESG投資やスチュワードシップ活動などの責任投資推進に取り組んでいます。
「責任投資諮問部会」では株主議決権行使等に影響を及ぼす利益相反に関する事項や機関投資家としての社会的責任を踏まえた投資に資する事項について、客観的かつ専門的な審議を行っており、原則として年2回開催しています。
なお、責任投資諮問部会の前身である「責任投資諮問委員会」は2017年に設置しましたが、2021年4月より当社のサステナビリティ推進体制の変更(※)に伴い「責任投資諮問部会」として改組しました。
また、資産運用部門の各部の実務者および担当執行役が参加する運用戦略会議において、資産ごとのESGインテグレーションやエンゲージメント(目的を持った対話)などの取り組みについて毎月議論・報告をしています。
加えて、ESG投資、気候変動対応などへの取り組みを促進するため、PRI、CDPをはじめとした、国内外のイニシアチブに署名・賛同しています。
※ 2021年4月より経営会議の諮問委員会として「サステナビリティ委員会」を設置
※ イニシアチブに係る詳細は「社外からの評価・イニシアチブへの賛同」をご覧ください。
責任投資原則(PRI)署名機関としての取り組み
当社は、2017年10月に責任投資原則(PRI)に署名し、PRIに則ってESG投資を推進するとともに、年1回、その取り組み状況を報告しています。また、報告内容に対するPRIによる評価結果を重要な指針のひとつとして、 ESG投資のさらなる高度化に向け取り組んでいます。

2022年9月に受領した評価結果は下表のとおりですが、本結果は2021年5月の報告内容への評価であり、2021年度以降の当社の取り組みへの評価を表したものではありません。当社は2021年度以降、全運用資産でのESGインテグレーションの導入など、責任投資態勢を急速に強化しており、それらの取り組みを反映した評価結果は、次回評価時(2023年)に得る予定です(2022年の年次評価は実施されませんでした。) 。なお、2021年の評価基準に則り、2022年9月現在の当社の取り組みに対する評価を試算したところ、評価が全体的に大きく向上することを確認しております。
<PRI年次評価結果(2021)>
項目 | 評価結果 |
---|---|
投資・スチュワードシップ方針 | ☆☆☆ |
上場株式(投資プロセス) | ☆☆☆☆ |
上場株式(議決権行使) | ☆☆☆☆ |
債券(国債・準国債・国際機関債、社債、証券化商品) | ☆☆☆☆ |
委託運用(上場株式) | ☆☆☆☆ |
委託運用(債券) | ☆☆☆ |
※評価結果は取組状況により5段階の星数を付与され、
「☆☆☆☆☆」が最高評価となります。
また、当社はPRIにより設定された機関投資家が人権および社会問題に関して行動するための協働スチュワードシップイニシアチブ「Advance」に賛同しています(※)。今後、責任ある機関投資家として、人権や社会問題に対するポジティブな影響を促進させることを目的に、投資判断やスチュワードシップ活動において人権を考慮した取り組みを進めていきます。
※ かんぽ生命は、AdvanceのEndorserであり、Advanceにおけるいかなるエンゲージメント活動にも参加しておりません。

イニシアチブへの参画
気候変動対応やインパクト投資、人権課題など、ESG投資に関する目的や問題意識を共有する国内外の投資関連イニアチブ等に参画するとともに、そこで得られた知見を踏まえて当社の取り組みの高度化を図っています。
機関投資家としての気候変動に対する取り組み
当社は、ESG投資方針に基づき、機関投資家として脱炭素社会実現に資する投融資を積極的に実施し、以下のような取り組みを行っています。
・ESGインテグレーションの実施
・スチュワードシップ活動の実施
・投資ポートフォリオのGHG排出量計測および管理
・社会の脱炭素化に資する投資の推進
取り組みの詳細は、「TCFD提言への対応」をご覧ください。
<参考:機関投資家としての目標>
投資ポートフォリオ全体のGHG排出量の削減 | 投資ポートフォリオの脱炭素化を推進するため、投資ポートフォリオにおけるGHG排出量について、2050年にカーボンニュートラルを目指すとともに、2029年度(2030年3月末)までの中間目標として50%削減(2020年度対比)を設定しています。![]() |
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再生可能エネルギー施設の総発電出力に係るKPIの設定 | 中期経営計画KPIとして、2021年3月末時点で60万kWであった再生可能エネルギー施設の総発電出力を2026年3月末までに150万kWとすることを目指しています。 |
機関投資家としての自然資本に対する取り組み
世界の経済価値創造の過半が何らかの形で自然に依存していると言われる一方、自然環境やそれを支える生態系の悪化が進んでおり、気候変動とともにグローバルな重要課題となっています。2022年12月には、生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)において、「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」が採択され、自然環境を回復軌道に乗せること(ネイチャーポジティブ)を目指した、2030年までの世界の生物多様性保全の目標が設定されました。
企業の事業活動は、自然環境や生態系のもたらす恩恵(水資源や森林資源、動植物性食品・日用品原材料など)に依存し、同時に自然にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。このため、事業と自然との関わり(依存と影響)は、企業経営上の重要なリスク、ないし機会として把握、管理する必要があります。
自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は、企業が自然に関連したリスクと機会を適切に把握し、ステークホルダーに向けて情報開示を行うための枠組みを策定中であり、2023年9月の提言公表に向けて順次草案を発信中です。
投融資活動における自然関連のリスクと機会
当社は機関投資家として、投融資先企業の事業活動を通じて自然との関わりを持っています。このため、当社投融資ポートフォリオは以下のような自然関連リスクと機会を持つと考えられます。
当社の株式・債券ポートフォリオが有する主な自然関連の依存と影響
ポートフォリオの自然関連リスクの分析には、一般にデータ、方法、ツールなどが開発途上にあるという大きな課題がありますが、ここではその第一歩として、ENCORE(※)(Natural Capital Finance Alliance等が開発した自然関連リスクの分析ツール)を利用し、当社株式・社債ポートフォリオが、どのような自然環境について、特に強い依存・影響関係を有しているか分析を試みました。これによると、当社株式・債券ポートフォリオは、主に風水害の抑制や水資源に関連して強く自然に依存し、また、主に水資源の使用や土地の使用に関連して自然環境に強い影響を及ぼす可能性があるとの結果となりました。
- Natural Capital Finance Alliance (Global Canopy, UNEP FI, and UNEP-WCMC) (2022).
ENCORE: Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure. [On-line], [11/2022], Cambridge, UK: the Natural Capital Finance Alliance. Available at: https://encore.naturalcapital.finance
DOI: https://doi.org/10.34892/dz3x-y059
算出方法:ENCOREによる自然関連依存・影響要素とその業態別評価をもとに、各要素につき「極めて依存/影響が強い」(Very High)と評価された業態への投資割合を当社にて集計し、投資割合を算出。
依存要素では、風水害の抑制へのエクスポージャーが大きく、電力、通信(発送電、通信インフラの保全・被害緩和)などが関連する業態となっています。一方、影響要素では、土地使用へのエクスポージャーが大きく、電力(ダム施設)、総合石油・ガス(パイプライン)、建設、不動産(インフラ建設、開発)などが、関連する業態となっています。
今後当社は、TNFDの枠組みに沿ってポートフォリオの有する自然関連リスクと機会の分析を進め、開示していく予定です。また、分析結果や社会的な要請等を踏まえて、自然関連課題の投資判断への組み込み、投資先企業に対する適切な自然関連エンゲージメント、自然環境の維持改善に資する投資を行ってまいります。
長期投資家としての取り組み
当社は、幅広い資産を長期的に運用するユニバーサルオーナーとして、資産運用において持続可能な社会の実現と長期的な投資成果の向上・リスク低減を目指し、投資判断にESGの諸要素を考慮しています。
当社は生命保険会社として長期の保険負債を有しており、資産運用においてはALMを基本方針としていることから、長期投資を前提とした確定利付きの資産を中心に運用しています。
確定利付き資産の中でも売却に制限のある資産が多く、2021年度末においては満期保有の債権が34兆円(50.8%)、責任準備金対応債券が8兆円(12.8%)、融資が4兆円(6.3%)となっており、合計で46兆円(69.9%)を占めています。(※1)
2021年度における平均総資産残高に占める売却額は2兆円で、回転率は3.1%となっています。(※2)
- 占率はいずれも総資産残高に対する割合
- 回転率は売却額/総資産平均残高として算出しています。
資産運用の状況
中期経営計画(2021年~2025年)におけるESG投資
当社の中期経営計画(2021年度~2025年度)では、「ESG投資の推進」を「資産運用の深化・高度化」「新資本規制対応」と並ぶ資産運用における3つの重点取り組みのひとつとして位置付けています。
また、ESG投資に係るKPIとして、中計期間中に投融資先再生可能エネルギー施設の総発電出力150万kWを目指すことを定めています。これは、一般家庭の約52.5万世帯分の電力需要に相当するものです。
投融資先再生可能エネルギー施設の総発電出力
ESG投資へのこれまでの主な取り組み
責任投資レポート
当社のESG投資やスチュワードシップ活動についてより詳細に紹介するため、責任投資レポートを発行しています。
<バックナンバー>
※ 掲載内容の拡充に伴い、2022年度より「スチュワードシップ活動報告」を「責任投資レポート」へ改称しました。






