TCFD提言への対応

当社は、金融安定理事会(FSB)により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures, TCFD)」の提言に、2019年4月に賛同を表明しました。
気候変動課題は、企業のリスクと機会になると認識しており、全社で取り組む必要があると考えています。
当社は、中期経営計画(2021年度~2025年度)の基本方針として、ESG経営の推進(社会課題の解決への貢献)を掲げており、気候変動課題をはじめとするサステナビリティを巡る社会課題の解決に取り組んでいます。
これまでの気候変動に関する取り組みをより一層推進するとともに、さらなる情報開示に取り組みます。

TCFD提言の推奨開示項目

ガバナンス

気候変動に関する取り組みを含む社会課題の解決に貢献し、当社の持続的な成長とSDGsの実現を目指すため、2021年4月にサステナビリティ委員会を設置しました。
気候変動に関する課題を同委員会を含む専門委員会で検討・協議し、推進状況などを経営会議に報告するとともに、重要なものについては、経営会議で協議・決定の上、取締役会へ報告しています。
中期経営計画(2021年度~2025年度)の策定にあたっては、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指して、サステナビリティ委員会、経営会議および取締役会で議論し、温室効果ガス排出量(CO2排出量)の削減を中期経営計画のESG目標として掲げています。

TCFDガバナンス

<専門委員会の主な役割>

  • 中長期的な対応方針の策定、取り組みの進捗状況の把握・分析
  • 気候関連リスクの状況などを把握・分析

戦略

リスクと機会

当社は、気候変動による当社への主な影響(リスクと機会)を生命保険事業、資産運用のそれぞれにおいて、次のとおり認識しています。

リスクと機会(生命保険事業・資産運用)

  1. 上記リスクと機会の特定に当たっては、想定される大小のリスクを洗い出した上で、当社事業における重要性を勘案し、影響度の高いリスクと機会を開示しています。
  2. 影響の受ける時間軸は、短期:5年、中期:15年、長期:30年程度と想定しています。

気候変動の機会を捉えた投資実績

当社は、気候変動に関するリスク・機会を踏まえ、社内検討のうえで戦略的に投資活動を実施しています。例えば、グリーンファイナンス市場の成長を機会として捉え、持続可能性のある低炭素経済への移行を目指したグリーントランジションや、新型コロナウイルス感染症危機からの経済復興と同時に気候変動対策の取り組みも加速させるグリーン・リカバリーをテーマとしたプロジェクトなどへ投資を行っています。

気候変動の機会を捉えた投資実績

シナリオ分析

TCFD提言では、2℃以下シナリオを含むさまざまな気候関連シナリオの分析を通じて、組織の事業への影響について説明することが推奨されています。
当社は2℃シナリオと、4℃シナリオの世界観を以下のとおり仮定し、現状では、資産運用事業に関する分析を中心的に実施しています。
今後については、生命保険事業に関する分析についても深めていくことを検討しています。

各シナリオの世界観

気候変動が当社の資産運用に及ぼす影響分析

(1)セクター別シナリオ分析

気候変動が当社の資産運用に与える影響分析に当たって、産業ごとに気候変動の影響度合いが異なることから、当社の投資ポートフォリオにおいてGHG排出量や投資エクスポージャーの観点から重要度が高いセクターの選定を行い、電力、エネルギー、鉄鋼の3セクターを分析対象として特定しました。この3セクターの気候変動の影響分析を通じて、当社資産運用に及ぼすインパクトの大きさを把握していきます。今後も分析を継続し、影響度を開示してまいります。

シナリオ分析のプロセス

重要セクター別のリスクと機会の重要度評価(STEP1)

国際機関等が発行する文献調査を中心に、外部有識者の協力を得ながら、当社にとって重要な3セクターにおけるリスクと機会の重要度を評価しました。

重要セクター別のリスクと機会の重要度評価(STEP1)

重要セクターへの影響(STEP2、STEP3)

STEP1で抽出した重要セクター別の重要度の大きいリスクと機会の項目について、STEP2として2℃シナリオと4℃シナリオ(※)における具体的な状況を想定し、STEP3として投融資先企業の業績・財務に与える影響について定性的に評価します。

  1. IEA「World Energy Outlook」の各シナリオ、IEAレポート、環境省他「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018 ~日本の気候変動とその影響)」などを参照

セクター①:電力

セクター②:エネルギー

セクター③:鉄鋼

対応策(STEP4)

当社においては、全運用資産を対象にESG要素を考慮し、広くSDGsの目標達成や社会課題の解決に貢献できる投融資を実施することで、持続的な社会の実現と長期的な投資成果の向上・リスク低減に取り組んでいます。投資先企業に対しては、建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)を通じ、投資先企業の財務情報のみならず、ESG(環境、社会、ガバナンス)要素を含む非財務情報の開示の充実を求める取り組みを行っています。
2022年2月には、当社の投資ポートフォリオにおけるGHG排出量に関し、2050年にカーボンニュートラルを目指すとともに、2029年度(2030年3月末)までの中間目標として50%削減(2020年度対比)を設定しました。
今後、重要セクターの投資先について、シナリオ分析で抽出された具体的影響を十分に考慮したエンゲージメントを実施することで、将来的な運用成果の向上を目指します。エンゲージメントにおいては、投資先に対し具体的影響への対応状況について確認すると共に、脱炭素化に向けた取組みを促していきます。

(2)NGFSの気候シナリオ分析

脱炭素社会への移行に伴う経済環境の変化により、当社保有資産への影響が想定されます。当社では、気候変動リスク等に関する金融当局ネットワーク(NGFS(※))が公開する複数の気候シナリオを使用して、2050年までの当社保有資産への影響を分析しました。
具体的には、①各国が現在行われている以上の気候変動対策を行わないために地球温暖化が進行するCurrent Policiesシナリオ(3℃以上上昇)、②2050年カーボンニュートラルおよび気温上昇1.5℃目標を各国が協調して計画的に達成するNet Zero 2050シナリオ、③2050年カーボンニュートラルおよび気温上昇1.5℃目標を達成するも、各国およびセクターごとに導入される政策が非協調的なため地球全体での総コストが高まるDivergent Net Zeroシナリオ、で想定される経済環境の変化(金利や株価水準の変動)が、当社の運用資産にどのような影響を及ぼすのかを試算しました。なお、本試算では、国内金利の変動に伴う将来の新契約の予定利率の変動も考慮しています。
本分析においては、気候変動対策を進める②および③については、①と比較して国内外の長期金利が緩やかに上昇することから、国債等の円金利資産を保有する当社においては、利差益の増加が見込まれる試算結果となりました。
一方、本シナリオ分析においては、金利上昇に伴う投融資先の与信関係費用の増加や、インフレ率の上昇等に伴う事業費の増加等の影響は考慮していません。今後、シナリオ分析の高度化を進める中で、こうした影響も取り込んでいきたいと考えています。

  1. Network for Greening the Financial System:気候変動リスクへの金融監督上の対応を検討するための中央銀行および金融監督当局の国際的なネットワーク。日本からも2018年6月に金融庁が、2019年11月に日本銀行が参加しています。
TOPICS:気候変動が当社生命保険事業に及ぼす影響分析

当社生命保険事業(保険金支払)に及ぼす影響について、保険金支払額の大幅な増加に繋がるような事象として、夏季の気温上昇による熱中症の罹患者の増加、感染症媒介蚊の活動可能地域拡大等による熱帯性感染症の罹患者の増加や洪水被害等の増加・長期化による健康被害などが考えられます。2021年度は、これらのうち熱帯性感染症の罹患者の増加による影響について定量的に分析した結果、保険金支払額の増加は限定的であることが確認できました。
感染症媒介蚊について気温上昇がもたらす活動地域・活動期間の拡大を推定し、蚊が媒介する熱帯性の感染症(デング熱、マラリア)による保険金支払額の増加について分析しました。
気温上昇としてIPCC第5次評価報告書に基づくRCP8.5シナリオを適用し、近年の熱帯地域における熱帯性の感染症の発生状況・本邦における感染例や衛生状態等を参考に、デング熱が日本国内でも流行し罹患者が入院されたり亡くなることを想定し、2031年度から2050年度まで毎年被害が発生すると仮定した試算では、保険金支払額の増加は20年間の累計で最大200億円程度でした。
また、当社生命保険事業(新契約価値)に及ぼす影響について、営業実績の大幅な低下に繋がるような事象として、熱帯林の開発、永久凍土の融解により、未知の病原体が顕在化し、新たな感染症の大流行(パンデミック)が発生することが考えられます。2021年度は、対面営業による営業活動が困難になることにより営業実績が低迷する影響について分析した結果、数十年に一度の発生確率と仮定した場合では、当社の財務健全性に与える影響が見られるものの限定的であることが確認できました。

なお、気候変動が生命保険事業に与える影響については、一般的に確立された計測モデルはない上、長期間にわたり発現するなど気候変動自体の不確実性が高いことから、分析の精度や信頼性についての課題は多いと考えています。今後、さらなる調査・ストレステスト等の分析を通して、リスク把握に取り組んでいきます。

リスク管理

当社は、気候変動に関するリスクを「重要なリスク」として分類しており、気候変動リスクの管理については、今後、シナリオ分析を継続・高度化するとともに、リスク管理プロセスの高度化(識別・管理・評価)を行います。
資産運用については、2021年10月に改定したESG投資方針に基づき、全運用資産を対象として、ESGの諸要素を考慮した投融資を行っています。
投資先の温室効果ガス排出量(CO2排出量)の計測結果を踏まえて、投資ポートフォリオの管理方法の検討を行っています。

指標と目標

事業会社としての指標・目標

2050年のカーボンニュートラルの実現を目指して、温室効果ガス排出量(CO2排出量)の削減目標を設定しています。
(2030年度目標:対2019年度比46%の削減)(※)

  1. Scope1(自社が直接排出する排出量)およびScope2(他社から供給された電気などの使用に伴う排出量)が対象。新規事業による増加分を除く。
サプライチェーン排出量(Scope1、Scope2、Scope3)とは

サプライチェーン排出量とは、事業者⾃らの排出だけでなく、事業活動に関係するあらゆる排出を合計した排出量を指します。つまり、原材料調達・製造・物流・販売・廃棄など、⼀連の流れ全体から発⽣する温室効果ガス排出量のことです。
サプライチェーン排出量=Scope1排出量+Scope2排出量+Scope3排出量

サプライチェーン排出量の図

Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム」(環境省)
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/supply_chain.html 別ウィンドウリンクをもとに株式会社かんぽ生命保険作成

機関投資家としての指標・目標

1.国内外株式・クレジットポートフォリオの温室効果ガス排出量関連指標

当社は、気候関連のリスクと機会を評価するため、2021年3月末を基準日として、4資産(※1)(国内株式、外国株式、国内クレジット(※2)、外国クレジット)を対象に、温室効果ガス(GHG)排出量関連指標(GHG排出量、カーボンフットプリント、炭素強度、加重平均炭素強度)を算出しました。
GHG排出量の算出は、投資先企業による温室効果ガスの直接排出(Scope1)、購入電力による間接排出(Scope2)に加え、購入電力以外のサプライチェーンからの排出(Scope3)を対象としています。カーボンフットプリント、炭素強度、加重平均炭素強度の算出においては、Scope1とScope2に加え、Scope3のうち直接的な仕入先企業からの排出を対象としています。

  1. 未上場株式、プロジェクトファイナンス、REIT、資産担保証券等を除く。自家運用だけでなく、委託運用を含みます。
  2. 事業会社等への融資を含みます。

資産ごとの排出関連指標

資産ごとの排出関連指標

当社の国内外株式・クレジットポートフォリオのGHG排出量のうち、Scope1・Scope2の合計は約1,024万tCO2eとなり、ベンチマーク排出量を上回りました。資産別では、国内クレジットポートフォリオの排出量がベンチマーク排出量を大きく上回っています。これは、電力をはじめとした公益事業セクターのウェイトが高いことが主因となっています。カーボンフットプリント、炭素強度、加重平均炭素強度についても同様の要因で、国内クレジットの値がベンチマークの値を上回っています。
また、Scope1・Scope2・Scope3の合計は約1,764万tCO2eとなり、ベンチマーク排出量を上回りました。これも国内クレジットポートフォリオのGHG排出量がベンチマークを大きく上回っています。国内株式ポートフォリオについては、Scope1・Scope2の合計はベンチマークよりも低い一方、Scope1・Scope2・Scope3の合計では、ベンチマークを上回っています。国内株式ポートフォリオに含まれる投資先では、自社でのエネルギー消費による排出量はベンチマーク対比で少ないものの、Scope3、つまりサプライチェーン全体まで計測対象を拡大するとベンチマークを超える結果となりました。
なお、GHG関連指標の算出において、Scope3をGHG排出量の対象とすることは、重複計上の問題(例えば、ある企業のScope1の排出量は、他の企業のScope3の排出量に該当します)について留意する必要がありますが、今回の計測ではサプライチェーンも含めた広範な排出状況をできる限り把握することを重視し、Scope3のGHG排出量も対象としています。

全ポートフォリオのセクター別GHG排出量構成

全ポートフォリオ加重平均炭素強度セクター構成

2.国債等ポートフォリオの温室効果ガス排出量関連指標

また、当社は投融資金額が大きい国債等(政府関係機関債や地方債等の準ソブリンを含む。委託運用を含む。)についても、2021年3月末を基準日として、GHG排出量や加重平均炭素強度を算出しました。当社の国債等ポートフォリオのGHG排出量は、約9,286万tCO2eとなりましたが、そのうち約6,321万tCO2eは、日本国債(日本の準ソブリン含む)が占めています。
当社の国債等ポートフォリオの加重平均炭素強度は3.22tCO2e/実質GDP(百万円)となりました。一方、ベンチマーク(Bloomberg Barclays Global Aggregate Treasuries Index)については3.82tCO2e/実質GDP(百万円)となりました。背景として、当社の国債等ポートフォリオでは、ベンチマークと比較して日本国債のウェイトが高く、GDPあたりの排出量が多い北米、新興国、オセアニアなどへの投資が少ないことが影響しています。

国債等ポートフォリオの国別GHG排出量(上位10カ国)

国債等ポートフォリオの加重平均炭素強度

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